心地よい匂いのものを
香ると表現します。
香母酢
この果物にピッタリの名前です。
カボスは
日本料理に香りを添える
自然の調味料。
ユズの親戚で
スダチよりも大きめ。
大分にご旅行された方が
お土産に買ってきてくださいました。
地元ではコンフィチュールやジュースなど、
カボスをメインにした加工品があるのですって。
いろいろ調べてみましたが
カボスの来歴は
謎に包まれています。
江戸時代京都から宗源というお医者様が
苗木を持ち帰ったという説がありますが…。
98パーセントが大分県産という現在の流通をみると
大分県以外であまり生産されていないものを
京都からとは…???
でも、柑橘類は
枝変わり といって、
同じ樹から、違うものができやすい性質がありますし、
植物としてみても
気候や土地が変われば
同じものができるとは限らないので、
何とも言えません。
そしてもうひとつ
カボスという名前…
少し不思議な響きを持っています。
橙のような柑橘類のカブスがなまったとか
蚊をいぶすからとか…
学名をみると
カブスはf. kabusu
カボスはC. sphaerocarpa
姿は似ていますが、
まったく別のものです。
こんなふうに、
カボスには謎がたくさん。
しかし、わからなからといって、
カボスの魅力が減るものでは
ありません。
むしろミステリアスな部分が
人を惹きつけるのかもしれませんよ。
大分(豊後)、京、来歴の謎
そんなイメージから
私の頭にすぐに浮かんだのは
能の曲「夕顔」でした。
豊後の僧が京へのぼったときに
源氏物語に登場する
夕顔という名の美しい女性の霊に出会うお話です。
光源氏と夕顔は
互いに名を明かさぬまま惹かれあいますが、
夕顔は光源氏に恋焦がれている女性の生霊に
とり殺されてしまうのです。
夕顔は身をやつしてはいましたが
本当は光源氏のライバル頭中将の側室「常夏の女」
光源氏は素性を語らない
夕顔のミステリアスな部分に
惹かれたのでしょうか…。
夕顔が「源氏物語」に
登場しるのは、ほんの少し。
しかし、二人の貴公子を引き立たせる脇役として、
読む人の心に大きな存在感を残します。
やわらかい酸味のカボスもまた、
決して主役の味の邪魔をしませんが
その香りによって
食べた後にまで
爽やかな印象を残してくれる
そんな果物です。
それにしても
「夕顔」という曲の作者は
どうして「豊後」の僧をつかったのでしょう?
実は夕顔を同じように主人公にし、
内容もほぼ同じ「半蔀」という曲があるのですが
そこに登場するのは京都の雲林院の僧侶なのです。
そしてまた、
この「夕顔」の作者についても、
どこのだれなのか…わかっていないのです。
カボスに触れたことで
私はたくさんのミステリーに
遭遇してしまいました。
こんなにイマジネーションをくすぐる
果物に出会ったのは初めてです。
カボスのことをもっと知りたい方は![]()
カボスのことは
ひょうたん君さんのブログが
とても参考になります。
http://ameblo.jp/shokokai-bungoono/theme-10014756617.html
花から実になるまで、
美しい写真でつづられ
心なごむ素敵なブログです。

