[準備室]
準備室には、広いテーブルが2つほど
置かれていて、周りの棚には
紙や木材、石、ダンボール、画材が
雑然ときれいに収まっていた
「ほかの方は。。?」と言いかけて
出された紙コップのコーヒーの先の
棚の上に目がいった
ワークショップとバレンタインデーが
ちょうど重なった時、こうめが
チロルチョコと一緒に渡した
’いつも、ありがとう’とクレヨンで書いたカードが
女王さまの形をした紙人形の中心に貼ってあった
「あっ、立ってるww」
ずっと、だまっていた彼のメガネの
奥の目が緩んだように見えた
「じゃ、’つづき’やってみる?」
立ち上がり、CDのスイッチを押した
静かに流れたのは、大滝詠一の
『君は天然色』
「え~、いが~い、クラッシックとかかと
思いましたよぉww」
「専門はクラッシックですけどね
最近、CMでまた流れてたから懐かしくて」
「腰がぬけるほど、なつかしソング~*」
「こ、腰がぬける?いいですね」
「?」
彼は、大きな模造紙に、こうめが描いた
森や海や街を道路で結んだ地図を
準備室の壁に貼り始めた
「ぼくも、作っておいたんです」
彼は、こうめの地図と自分の地図を
ていねいにうまく重ね合わせて
道路をつなげた
「つながった~!車走らせようか?」
どこからか、おもちゃの小さな車を
取り出してきて、こうめにはピンクの車を
彼はブルーの車で、隣り合うように
地図の上を走り始めた
地図には、こうめが大好きな
ハローキティの文字を書こうとして
途中でわからなくなり、あきらめた
’Hello Kitty’が、 ’Hell Kita’
になっているのを、見つけた彼は
「これは、これで面白いんだけど。。」
と言いながら
Oをゆっくりと、付け加え
’Hello Kita’
に変えた
