正式名■姨綺耶山(いきやさん)長命寺
      所在地■滋賀県近江八幡市長命寺町157
      宗 派■天台宗系単立
      本 尊■千手観音、十一面観音、聖観音(全て重文)
      創 建■(伝) 推古天皇27年(619年)・(伝)聖徳太子
      霊 場■西国三十三所31番、聖徳太子霊跡35番
          近江西国三十三所21番、近江七福神(毘沙門天)
          神仏霊場巡拝の道143番、江州三十三観音28番
      参拝日■2014.7.15
      特 記■(重要文化財)本堂、木造千手観音立像他


● 心臓破りの石段

琵琶湖線近江八幡駅から長命寺行きのバスに30分ほど乗り、終点で降りました。
目の前に、808段の石段がそびえ立ちます。
う〜ん、すごい。ゴールが全く見えません。



足を上げると筋肉痛。前日(第2番紀三井寺・第3番粉河寺・第4番施福寺めぐり)の疲れが出ています。
今日もまた、ハードなお寺参りが続きます。
極力無理をしないよう、疲れたらすぐ休むことにして、休み休み上っていくことにします。



参道の茶屋で杖を借りました。
ボールは友達ならぬ、杖は友達。
私のように杖を借りる人もいれば、必要とせず、持たずに上がっていく人もいます。
自前のステッキを両手に握っている人もいます。



ロードバイクのレーパン姿の青年2人が、ハッハッと大きな息を吐きながら、後ろから追い越していきました。
自転車乗りは脚力あるわ〜。



鳥居のような、不思議な形の山門が見えてきました。
ここからが本格的な聖域の入り口ということでしょうか。



まだまだ続きます。朝のうちなので、まだしのげる暑さ。
けっこうな段差がある、登りづらい石段ですが、木陰になっているので、助かります。



道は少し曲がっているため、石段の果ては見えません。上を向いても下を向いても石段だけ。
何段目という標識がないため、今自分がどの辺りにいるのかさっぱりわからなくなっています。



静岡の久能山東照宮の石段が、1159段だったことを思い出します。
きつかったものの、段差がそれほどないため、子供やお年寄りでも挑戦できる、観光地としての登りやすさがありました。
久能山よりも段の数は少ないですが、ここのほうがぐっと上りづらくハード。
人を選ぶ石段です。

もう上がること以外、何も考えられません。
でも黙々と上がっていけば、それだけお寺に近づきます。



かなり上まで上がった所に、駐車場がありました。
車で来た人は、そこから100段程度登るだけで済むのです。
この差は大きいわ〜。

● 第31番 長命寺

一歩一歩進んでいき、ようやくお寺の入り口が見えてきました。
なおも進むと、三重塔も現れます。



はあ〜、到着。
西国第三十一番札所 姨綺耶山(いきやさん) 長命寺です。
あまりに遠かったので、お寺に着いたという実感がありません。



三仏堂、護法権現社、鐘楼など、いくつも建物が並ぶ、見所が多い寺院。
神社風の建物も並び、神仏習合の名残を感じます。



聖徳太子が建てたという古刹。
古めかしい立派な本堂をお参りします。



● 飛び出さないで

お寺には「飛び出しぼうや」の交通安全お守りがありました。
初めて見ます。裏返すと少女になっていました。

  

梅雨も終わって、関東ではもう散ってしまったあじさいが、ここではきれいに咲いていました。
山の上では、今が盛りの気候なんでしょう。



● 琵琶湖の眺望

境内からは、琵琶湖がすぐそばに見下ろせて、湖からの涼しい風が吹いてきます。
ここまで上ってしまえば、とても心地よい場所。



空にはやっぱり飛行機雲。
かつての巡礼者は、弁天様が祀られている琵琶湖の中の竹生島から船に乗って、このお寺を訪れたそうです。

● 帰りの石段

下りは、前日の紀三井寺からの帰り同様に、無謀にも一段飛ばしで降りていきました。



途中に不思議スポットがありました。
ここに祀られているのは、一体何の神仏でしょう。
中からすごいパワーを放っていそう。



● 滑って転ぶ

朝に雨が降ったのか、朝露なのか、石段はうっすら濡れています。
上りでは全く気になりませんでしたが、滑りやすくなっていたようで、下りでつるっと脚を滑らせてしまいました。
あっと思った時には、ぐらりとバランスを崩し、仰向けに転んだ状態で、数段ズルズルと落ちていました。

その反動で背中を強く打ってしまい、「~~~!!」と一人で痛みに耐えます。
先を急ぐあまりに、スピードを出して降りていたため、派手に身体を打ち付けてしまったのです。

実は前日の夜も、宇治に着いてから薄暗い道の車止めに気が付かずに、足を引っ掛けてしまいました。
疲れた脚では踏ん張れず、顔から派手に転んであごを打ち、青くなっています。
その時にすりむいた手のひらが痛みますが、さらに背中もすりむいてしまい、ひりひりします。
夏の薄着の時には、ケガをしやすいのです。



周りには誰もいません。(上りよりも下りの方が危険なので、気をつけて降りなくちゃ!)と自分を戒めて、急がずゆっくり降りることにします。
それでも、すでに脚力が落ちているようで、再びズルルッと滑り落ちてしまいました。
今度は横向きに転んでしまい、右足や左手に変な負荷が掛かったようで、痛みも倍増。
くるぶしにもすり傷ができ、ダブルの痛さに、涙がにじみます。
気をつけて杖を突いていても、こんなことになるなんて。

全身打撲になりましたが、石段の途中で立ち往生することはできず、がんばって降りていきました。
石段を滑ったことは、これまでにも何度かあります。
行きの登りで体力を使い果たして、帰りの下りで足を踏み込めずに、バランスを崩してしまうのです。

前日の石段疲れも残っているし、もうこれ以上転んだら、動けなくなりそう。
相当足元に注意しながら下まで降りましたが、バスが来るまで時間はたっぷりありました。

● 巡礼とレジャー

ようやくバス停に戻ってきました。
目の前はもう湖。長命寺港という小さなポートになっており、のどかな景色が広がります。
湖上にはジェットモービルが何台も出ており、日光の下でモーター音を鳴らして楽しそうにはしゃぐ人たちの笑い声が岸まで届きます。
連日、ひたすら鬱蒼とした山の石段ばかり登っている自分とは、あまりにも違う境遇。うーん、まぶしいわ〜。

     30 宝厳寺 -- 31 長命寺 -- 32番 観音正寺

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