正式名 :槇尾山 施福寺
      所在地 : 大阪府和泉市槙尾山町136
      宗 派 : 天台宗
      創 建 : 伝 欽明天皇(勅願)・伝 行満上人
      本 尊 : 弥勒菩薩
      霊 場 : 西国三十三所4番、和泉西国三十三箇所第1番
            神仏霊場巡拝の道 第52番
      参拝日 : 2017.7.14


泉北高速鉄道終点の和泉中央駅からマイクロバスに乗り換えて、終点で降りました。
さて、がんばりますか。
バスを降りたとたんに、ムッとまとわりつく暑さ。これはきついわ。
目の前の急な坂道を見て、最初からめげそうになります。
なんだか行ける自信がないなあ。

でも、ここまで来たら行くしかないのです。
仁王門のところに、杖が置かれてありました。山の上のお寺に向かう時の必需品なので、一本拝借します。





暑い中、延々と続く石段を、一歩一歩踏みしめて登って行きます。
うー、きつい。
大分の国東半島にある熊野磨崖仏へ続く、鬼が作ったゴツゴツの石段を思い出しました。



石段に加えて、小さな虫が大量にずっとまとわりついてくるのが大変。
目に飛び込もうとしてくるので、細目にしていないといけません。
オーストラリアのエアーズロックにいる、大きなハエを思い出しました。
あそこは乾燥した砂漠地帯なので、水分を求めて人間の汗に寄ってきます。
でもここの小さな虫は、肌につこうとはせず、ただひたすらぶんぶん飛び回り、目をめがけて向かってきます。
虫よけスプレーも、全く効果がありません。
暑さと急勾配に加えて、虫の襲撃という三重苦。
気分は、ひとりアマゾン探検隊です。

片手で杖をつき、もう片手で目を守って、バランスを保ちながら石段を上っていくのは、骨が折れます。
牛の尻尾のようにタオルをブンブン振って、その風で虫を払いながら進みました。



途中「本堂まで後250m」の表示があります。
おお、もうすぐね。
と思いましたが、それは平地での話。
ずっと石段を登って行くため、かなり歩いたように思えても、距離はあまり進めていません。

上から参道を降りてきて、すれ違った人は4名。
私のほかに登っていく人は見かけません。
やっぱり普通は、猛暑時間は避けますよね。



暑さと疲れで気が遠くなりそうな中、小さな愛染堂にたどり着きました。
空海が髪を剃ったとされる場所に立つ、弘法大師御剃髪所跡です。

そのそばには、剃った髪を祀っている弘法大師御髪堂がありました。
このお寺は、延暦12年(793)、真魚という名だった20歳の青年空海がこのお寺を訪ね、滞在中の奈良の高僧勤操を導師として出家剃髪したという場所なのです。



そこから、さらに絶望したくなるような石段がありました。
うわー、夢に見そう。最後の最後まで追い込むお寺です。
息を整えて、残り少なくなってきた体力をかき集めます。



麓の駐車場からひたすら登って1キロメートル。ようやく参道を上りきった時には、もうフラフラ。
暑さで頭がポーッとして、何も考えられなくなっています。

しゃくれ気味の手水舎の龍がありました。
その向こうには、奉納されたブロンズの馬の像が見えました。



すぐに参拝できる心の余裕はありません。
まずは本堂横のベンチに腰掛けて汗を拭き、少し休憩しました。
(そこに誰かいるのかな)といった風に覗き込んだお寺の人と目が合ったので、ご挨拶しました。



本堂にはご住職とお寺の人が2名。
今は山じゅうが青々としていますが、秋になると紅葉が色づいて、それはきれいになるそうです。



境内には、西国三十三観音のお堂があり、無事に全部周れるようにとお祈りしました。



見渡すと、そこは山また山の緑の中。人が住んでいる気配はありません。
こんなに上まで、自力で上ってきたんだなあと実感します。



とても大変な行程でしたが、そういうことを考えたら、そもそも行けない場所が、西国巡礼にはいくつもあります。
無の気持ちになるしかありません。これぞ修行だわ。

参拝を済ませ、再び登ってきた山道を降ります。
ダイヤモンドレールというすてきな名前がついていますが、そちらは山越えルート。
無理~。迷わずバス停への道を選びます。



体力温存のために下りはゆっくり降りようと思いましたが、再び虫たちがつきまとってきたので、それを避けるために早足で下ります。
気をつけてはいたものの、膝が笑って足がガクガクになりました。



またもや無の境地で、ただ降りていきます。



涼しそうに見えるかもしれませんが、すっごく暑いです。



そろそろお寺が閉まる時間。下り道は誰にもすれ違わず、山の中ではほとんど一人でした。



仁王門のところまで戻ってきた時には、ほっとしました。
山から下りると、虫たちも執拗に追ってこなくなったので、あずまやの木のベンチでしばし休憩します。



仁王門の屋根の軒下に大きな丸いものがふたつありました。
あれはもしや、蜂の巣?



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