今週読み終えた一冊

風車小屋だより / ドーデー / 岩波文庫


「風車小屋だより」との出会いは小6の頃

当時の担任の先生が授業の中で

「涙が出た」と教えてくれた本です


担任の先生は

読書とクラシック音楽と登山を愛する方で

クラスのみんなが尊敬していました


先生が涙したというこの本

「私も読んでみたい」と親に言ったら

父が買ってきてくれたのです


しかし

当時の私が親しんでいた物語は

「若草物語」などの児童向け文学のみ


プロヴァンスの情緒を綴った短編集の

悲喜交々を理解するにはあまりにも若過ぎて

最初の数ページで挫折したのです


それから何年も何年も

いずれと思って本棚に残していましたが

いつの日か手放してしまいました


挫折した本として心残りだったその本

淡い色で描かれた風車小屋の表紙

そんなふうに心に記憶しています


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さて…それから45年経った今


最近読んだ現代小説のなかで

「風車小屋だより」に再開したのです!


まるでドーデーの風車小屋だよりのよう

とか そんなさり気ない一文でしたが

私の胸は懐かしさでいっぱい キラキラ


今こそもう一度読む時なのだ!と

さっそく購入いたしました キラキラ


淡い色で描かれた風車小屋の表紙

当時と同じ装丁ではないけれども

早く読みたい一心でページを繰ると…


最初のページから

物語の世界に引き込まれてしまいましたあんぐり


美しくて切なくてやるせなくて

可愛くて温かくて心豊かで…


満員電車の中で読んでいても

周りの喧騒がまったく遠のいてしまうほど

物語に入り込んでしまいました


同じ物語でも

それなりに経験を積んでから読めば

こんなに違うものなのかと感動した一冊


そういえばこの本を「泣けた」と言った時の先生は

今の私と同じ50代でした


60代 70代 80代になった時にも

新しい感性でまた読んでみたい

そんなふうに思っています