私の通っていた高校では
1年生の家庭科の授業で
浴衣を縫うのが伝統でした
生地は各自で準備するということで
私も母と一緒にデパートに
初めて自分で反物を選ぶ私が
一目惚れした生地が これでした

でも 高校生の私が扱うには
少し高価だったらしいのです
「失敗したらやり直せないし
もう少しお手頃なのにしたら?」
と やんわり説得する母
お店の女性までが
「一作目ですと失敗してしまっては…
あじさい柄でしたら こちらにも」
と お安い方を勧めてくださる始末
せっかくだけれど 私が惚れたのは
「あじさい柄」ではなくて
「色合い」だったのです

しかし…
母もお店の方も 正しかった
家庭科の先生が
「ここだけは 裁ってはいけませんよ」
と言った「ここだけ」を
裁ってしまったんです ザックリと

…泣きたい気持ちでしたが
結局 「もう少しお手頃な」反物を
買い直して 浴衣は仕上がりました
(それはそれで嬉しかったです
)

それから3年後の19歳の夏
ザックリ裁ってしまったところは
帯で隠れる部分だとわかった私

高校の時の教科書を見ながら
自力で完成

あれから さらに数十年
既成の浴衣を幾つか
買ったりもしましたが
結局はこの手縫いの浴衣が
一番着やすいのです
私の気持ちを上げてくれた浴衣ですが
夏はもうおしまい
また来年お会いしましょう
Candyからの投稿