久しぶりにヴェルディオテロをみて、色々考えてしまった。
オテロは…実は音楽的にはそれほど好きではない。
好きなのはイアーゴの「無慈悲な神の命ずるままに」と デスデモナの「柳の歌」くらいのものだ。
ストーリィが好きだからに他ならない。
イアーゴは確かに性根の腐った男かもしれない。
人種偏見に満ちており、ムーア人(黒人)のオテロが白人の美しい上流階級の妻を持ち、そして自分の上司であることに(理不尽な)怒りと憎しみを持っている。
しかし彼は憎しみや醜い思いを人には見せない。
それどころか誰に対しても味方のように振る舞い、 助言をしているように見せかけて、実は毒を撒いている。
助言を受けたものが破滅へと向かうように。
しかし彼の行動は理解できるものである。
なぜなら…よくいるよね、こういう人。
逆恨みと妬みが胸に渦巻いている。
自分の境遇に満足していないが、自分の心持を変えるのではなく、自分の仕事の仕方、人との接し方を変えるのではなく、自分が高みに登ろうと努力するのではなく、他人を自分と同じくらいに不幸な(と当人は思い込んでいる)レベルに引きずり落としたいと願っている。
それでも集団の中で生きていく上で、意識的あるいは無意識的に自分の醜い感情を覆い隠してしまう。
憎しみは渦巻いており、昇華される事は無いため
何らかのきっかけにより、表面化される。
彼の妻への愛情と執着、そして自己評価の低さを知る。
彼の劣等感と激しい欲望に気づく。
彼が立派であればあるほど、彼が立派に振舞うほど オテロの小さな心の傷はイアーゴの欲望を燃え立たせる油になる。
イアーゴの毒は徐々にオテロの全身にまわる。
イアーゴの良心が彼の悪意を暴く。
イアーゴの良心…それこそがイアーゴの妻エミーリアだと思う。
しかしイアーゴは裁かれるだろうか?
彼は何をしたと言うのだろう?
直接に手を下すことは無かった。
法はイアーゴを裁けないだろう。
彼は裁かれるだろう。
社会的に。
しかし彼の心境に違いが在るだろうか。
もともと彼は孤独だったのだから。
オテロは…実は音楽的にはそれほど好きではない。
好きなのはイアーゴの「無慈悲な神の命ずるままに」と デスデモナの「柳の歌」くらいのものだ。
…ベタですが。
では何故こんなに気になるのか?
ストーリィが好きだからに他ならない。
これから3回にわたって主要登場人物についての私の感想/思いを綴ってみます。
はい。主人公ではありません。
でも最重要人物だと思います。決して私がバリトン好きだから最初に持ってきたわけではないです、多分。
イアーゴは確かに性根の腐った男かもしれない。
人種偏見に満ちており、ムーア人(黒人)のオテロが白人の美しい上流階級の妻を持ち、そして自分の上司であることに(理不尽な)怒りと憎しみを持っている。
その鬱憤は頂点に達しており、逆恨みのあまり周囲の誰をも憎まずにはいられない。
しかし彼は憎しみや醜い思いを人には見せない。
それどころか誰に対しても味方のように振る舞い、 助言をしているように見せかけて、実は毒を撒いている。
助言を受けたものが破滅へと向かうように。
しかし彼の行動は理解できるものである。
なぜなら…よくいるよね、こういう人。
逆恨みと妬みが胸に渦巻いている。
自分の境遇に満足していないが、自分の心持を変えるのではなく、自分の仕事の仕方、人との接し方を変えるのではなく、自分が高みに登ろうと努力するのではなく、他人を自分と同じくらいに不幸な(と当人は思い込んでいる)レベルに引きずり落としたいと願っている。
それでも集団の中で生きていく上で、意識的あるいは無意識的に自分の醜い感情を覆い隠してしまう。
憎しみは渦巻いており、昇華される事は無いため
何らかのきっかけにより、表面化される。
直接的に、あるいは間接的に。
イアーゴはオテロの弱みに気づく。
イアーゴはオテロの弱みに気づく。
彼の妻への愛情と執着、そして自己評価の低さを知る。
彼の劣等感と激しい欲望に気づく。
彼が立派であればあるほど、彼が立派に振舞うほど オテロの小さな心の傷はイアーゴの欲望を燃え立たせる油になる。
そしてイアーゴは仕掛ける。
イアーゴは囁く。
イアーゴの毒は徐々にオテロの全身にまわる。
そしてダムの堰に開いた小さな穴のように、ある瞬間からオテロの全てを破壊する事になる。
イアーゴの暗い喜びが頂点に達したとき…。
イアーゴの良心が彼の悪意を暴く。
イアーゴの良心…それこそがイアーゴの妻エミーリアだと思う。
しかしイアーゴは裁かれるだろうか?
彼は何をしたと言うのだろう?
直接に手を下すことは無かった。
オテロもロデリーゴもイアーゴの毒に侵され、自滅しただけ。
法はイアーゴを裁けないだろう。
しかし彼の良心(エミーリア)により彼の悪意は暴かれた。
彼は裁かれるだろう。
社会的に。
しかし彼の心境に違いが在るだろうか。
もともと彼は孤独だったのだから。