ちょっと古い中国映画の感想。
「わが家の犬は世界一」です。
中国では1995年に犬の飼育に制限が施され、大型犬の飼育が厳禁。
飼えるのは体長35cm以下の小型犬22品種に限定されており、
しかも初年度登録料5000元(日本円で約7万円)必要。
…という社会背景を基に作られた映画。
登録料が高くて払えないままに犬(雑種・名前はカーラ)を 飼っていたが、ある日公安の取締りにあって犬を取り上げられてしまう。
翌日の夕方4時までに登録をして引取りをしなければ処分される。
…とまあ、こんな感じのストーリー。
犬を救うためにあれこれと手を尽くすけれどもうまくいかない。
はたから見ると情けなくて(主人公の「父さん」が実にさえない)、 可笑しくて、でも時々でてくる「残り○○時間」の文字にドキドキしたり。
色んな人のレビューに「あの終わり方はないだろう」とあったけど… 正に同感です。
ルー・シュエチャン(監督)さん!
あの終わり方はないでしょう!!
最後の瞬間まで面白く見ていた。
中国のリアルな生活や家族が描かれていたし、結局は犬の問題だけではなくて、犬のように扱われてきた主人公の 必死の叫びや嘆きを背景にしている点もよかった。
「あたしは犬以下だって言うの?」という妻に 「犬以下なのは俺だ」と答えるラオ(主人公:父さん)。
犬をくれた友達(女性・美人です)から「血統書つきでもないんだから諦めて次の犬を探せば」といわれて (登録料は5000元。犬を飼うと高くても300元くらいらしい)
「俺は職場でも気を使い、家庭でも気を使ってきた。
唯一カーラ(犬)だけが俺に気を使ってくれた。
俺はカーラの前でだけ、人間らしくいられたんだ」と答えるラオ。
泣けました(彼女もこれで心を動かされて協力することになる)。
全然泣くような映画じゃないんだけど。
でも心が動かされるせりふです。
情けないだけの父さんじゃないです。
料理屋の裏で食用の犬肉(すでに殺されて内臓を抜かれている)が搬入される様を見て、緊張するラオ。
犬好きには胸ふたぐシーン。
そこまでして…あの終わり方はないでしょう!
え?終わりですか?

こんなところで放り出すですか?
映画を作る予算が切れたですか?
最後にはカーラのこともだけど…息子さんの運命は?
ちょっとまったぁ! ←太字、フォントサイズは100ポイントくらいで)
もやもやした気持ちが残ったので…星3つで…(5つ星が最高ね)
終わる直前までは5つ星に手が届きそうだったのに… 。
良いニュースといえば、この映画の後、規制はちょっとだけ緩和されて、登録料がちょっとだけ下がったようです。