引き続き思い出話です。このシリーズはタイトルに◆がついています。
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プラクティカムの会社が決まるまでは◆BVC(プラクティカム)①をどうぞ。
さて、プラクティカムの初日。29日火曜日の朝8時に受付でボスのコレットと彼女の部下のドリーンに会いました。
仕事の時間はフレックス制なので8時間働けば(昼休みを除くので実質9時間は会社にいる事になる)始まる時間も終る時間も自分で決められそうでしたが、コレットが8時半ごろ出社との事だったので、私は8時~17時を自分の仕事時間として選びました。
フロアに着くなり驚いたのは、私の机がすでにあったことでした。キュービクルという区分けされた私のスペースにはすでに私の名前のプレートまでありました(右の写真の椅子の横の壁にある丸いプレート)。
HR(人事)のクラスで習った「初日の印象が新入社員に及ぼす影響は強く長く続く」という事がそのまま実現されています。
人事の教育が行き渡っているのだろうと、大企業の良さを実感した。
コンピューターもセットされており、L字型の机は広くて使いよかったです。
内線電話も設置されているし、社内向け(業務用)イントラネットのPhone Listにも私の名前が載っていました。私なんて4週間だけのプラクティカムの学生なのに。そして「私の」オフィス。パソコン机に座って振り返ると丸テーブルがあり、接客も出来る(客は来ないが)ようになっている。素晴らしい。
さて、私が配属されたのは秘書課。法律家(弁護士)たちが集う部署の中にある一部署でした。
ここの弁護士たちは会社が各国の法律を遵守した形で業務が遂行されているかを確認・手続きをし、法的書類を作り、株や証券の発行に関わり、株主への説明・市場へのニュースの内容の確認とリリース、社員による株のインサイダー取引を防ぐためのポリシーの確認、会社や土地の買収などに関わる仕事をしているということでした。
これらの内容は会社の業務上、重要な部分でもあるので殆どが取締役会(Board of Directors)や各協議会の中で決定されます。
この秘書課では取締役会(Board of Directors)の手配、決定事項についての書類管理、弁護士からの問い合わせによる決定事項(Resolution)の検索が主な仕事になるとのことでした。
取締役会のメンバー(ボードメンバー)は社内だけでなく、社外にもいるため、誰にどの情報を渡すかの制約も厳しく、神経を使う仕事だそうです。
AGMが終ったばかりで5月は大きな会議もないとの事で重役会議に関する事が主な仕事内容のこの部署は暇な時期に入っていました。
特にする事もないので過去30年間の議事録をスキャナーで電子ファイル化することが私の主なプロジェクトとなりました。はっきり言うと退屈で単調な仕事です。
それ以外には過去2年間の重役会議の議事録を簡単なデータベースにしました。
これはエクセルを使っての簡単な作業で私の得意分野。
最初から任せてもらえたので好きに作らせてもらいました。
議事録に目を通したりパソコンに疲れるとスキャナーの前で1時間くらい書類をスキャンしていく。机に戻りスキャンしたファイルにわかりやすい名前をつけ、年毎、協議会毎のフォルダにしていきます。
合間に重役の住所録更新、郵便物発送、バインダー作成、書庫の整理。
何度も言いますが、正直に言うと退屈で単調な仕事ではあります。
しかしここでも人間関係に恵まれました。
第一にボスがよかったです。Students’ Association(SA)での仕事にも興味を持ってくれて、私たちがちょうどAGM(BVCSAは学期ごとにAGM—この場合は生徒総会を開いている)の準備のためにSAのBy-Law(規約)やポリシーの更新をしているというと「私たちと同じような仕事なのね」と言って会議のある日には早く(4時頃)帰宅させてくれました。
私の仕事ぶりを気に入ってくれて、「うちの会社にはあなたのような人が必要」といって私のレジュメをいろんな部署にまわしてくれもしました。
プラクティカムの最終週の2日間は自分の仕事はそっちのけで、手当たり次第に内線電話をしては面接を取り付けてくれました。
その結果、3部署と面接をした上で、2部署が私を気に入ってくれました。
実はこの時、他にも就職活動をしていて他の会社2つの仕事が決まりかけていましたが…プラクティカムを通してこの会社の事が好きになってきたので、ここで仕事が決まりそうになったのは本当にうれしかったです。
就職が決まったのはそのうちの1つ。
派遣会社を通さなければいけないポジションだったのでコレットは不満だったようですが(もう一つの部署は社員雇用だった)、仕事内容とボスや同僚の雰囲気の良さで決めた仕事でした。
ビザが切れる1年後には帰国する予定だった私にとっては仕事の内容の方が、自分のステータス(社員か契約社員か)より重要だったのです。
日本では派遣社員はと悲壮なイメージですが、カナダで重要なのは仕事の内容でありステータスの違いは大した違いではないように思えました。
BVCのプラクティカムは無給での職場経験。会社はそんな私のために、最終日にThe Bay(カナダの老舗デパート)の商品券100ドル分をくれました。
あとはコレットからはオシャレな入浴グッズのプレゼント。
面接に落ちた、で始まったプラクティカムでしたが、終わりよければすべてよし。
ここでも不思議な良い出会いがあったし、良い経験ができました。
何が良いほうに繋がるかは先に進まないとわからない。
部署は違うが同じ会社での就職が決まったので、最終日も別れが湿っぽくなる事はありませんでした。
一応は2人に手作りのThank You Cardを渡したものの、別れ際の挨拶は「See you next week」。
先日、現在のボスの計らいでコレット、どりーん、クリスティーン(彼女の産休をカバーするために私が雇われた)とのCoffee Meetingの場が設けられました。
コーヒーを飲みながらの30分程度の近況報告会(プロフェッショナルな言い方ではTouch Base Meeting)ですが、そこでコレットもドリーンも何故私がこの部署を選んだのか判ってくれたようでした。
繰り返しますが、何といっても人間が良いのです。
次の回で紹介しますが、私への卒業式祝いだと言って、雇われて間もない(派遣社員の)私のために花やプレゼント、カードをくれるようなチームなのです。
コレットが納得して、喜んでくれてほっとした。親に交際相手を認めてもらったような感覚。
こうして私のプラクティカムと同時に学生生活が終わり、社会人としての新しい生活が始まりました。
引越し先も決まって、色んな意味での変化のときになりました。
こうして、また曲がり角を一つ曲がった気がしたのでした。