引き続き思い出話です。このシリーズはタイトルに◆がついています。
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Office Administration Certificate Programも8ヶ月の授業が終ると残されているのは4週間のPracticum(プラクティカム。インターンシップともいう)。
まずはどんな会社(業務内容、職場環境、場所)がいいのか、嫌なのか、自分の強みは何か、苦手な事は何か、将来的にはどんな方向を目指しているのか、などのアンケートに答えてWork Experience Officer(職場体験のコーディネーター)のジーンにレジュメ(日本の履歴書と職務経歴書が一緒になったようなもの)とあわせて提出しました。
ジーンは学生の要望や成績(学校の評判と今後の受け入れ先獲得にも繋がるため、一応は成績のいい学生を良い会社に配属する傾向がある)、スキルや目標を考慮した上で配属先を決めていくとのこと。
実は私はプラクティカムもさることながら、卒業後の就職が心配だったので、3月の終わりから就職活動を始めていました。
それを知ったジーンからは「配属先を決める前に貴女が行きたい会社(某石油関連会社の人事部のアシスタントのポジション)に応募して御覧なさい。いい機会だし(練習にもなるし)、求人広告をみたけど良さそうな会社だから」と言われたこともあり、応募していました。
1社と言われたけれど、実は2社アプライしたのは内緒。当時は就職活動に焦っていたのです。
もしもここで就職が決まるようだったら、プラクティカムも同じ会社でできるように手配をしてくれる予定だったらしい。
残念ながら2社ともだめだったので、その旨をジーンに連絡。
その2日後にはプラクティカムの配属候補会社の住所と担当者、面接日を告げられました。
私の場合、珍しい事に競争相手がいまいした。
通常、BVCのプラクティカムでは1社(1ポジション)につき、学生一人だけが割り振られます。
そのため面接とは言っても「顔合わせ」が殆ど。
しかし何故か私の場合はカナディアンの女性との競争ということでした。
会社は日本でも知られた石油会社のShell(シェル)。私が火曜日、クラスメイトは木曜日に面接するとの事でした。
多少のプレッシャーは感じていましたが、実は大した興味もなかったためかなりのリラックス状態で面接を受けることができました。
面接官はExecutive Assistant(事務の管理職)のモニカ。
彼女自身も南米からの移民ということもあり、私の外国人としての立場にも理解があるようでした。
仕事内容はデータベースのデータ入力・管理が中心。チームのメンバーが他にもいるので、面接は人柄調査のような感じにしたいとのことで、つまりチームの雰囲気に馴染みそうな方をとりたいという事のようでした。
面接は約1時間(カナダでの通常の面接時間)。
普通カジュアルな会話をしているような和やかな雰囲気でした。
「最後に1つ人事面接風な質問をするわね」と1時間が経過した頃にモニカが切り出しました。
「さて我が社はどうして貴女を選ぶべきなのかしら」。
ほらきた!というような典型的な「最近の面接質問」。
HR(人事)のクラスをとっていて良かったと思いました。あまりにも典型的な質問なので授業でも取り上げられていたし、お陰でとりあえずの心構えができていたのです。
「私は事務経験が長いですし、コンピューターの扱いにも慣れています。クラスでもエクセルとアクセスの授業は得意でしたし、何よりも真面目で一生懸命に働きます。覚えも早いし仕事の途中で他の人から頼まれごとをされても混乱したり優先順位を見失うこともありません。使ってみたら必ず確信することでしょう。私を選んでよかった、と。きっと私の事が好きになりますよ」
日本人らしからぬ謙遜のかけらもない受け答えでしたが、答えを聞いてMonicaが笑っていたので(特に最後の I am sure you will like me. が気に入ったようであった。難しい英語が使えなかっただけなのですが…)、この質問への回答としては良い出来であったと思います。
授業の前に面接だったので、学校についてからクラスメイトに報告。
特にもう一人の候補者の彼女が不安そうにしていたので、授業が終ってインストラクターに面接についての不安を個人的に訴えていた彼女に具体的な質問内容、面接官の様子や性格などを事細かに教えてあげまそた。
自分でもバカだと思う。わざわざ敵に塩を送る行為をしなくても良さそうなものなのに。
それでml不安そうな彼女を見てしまったからには、そして彼女とは8ヶ月間の労苦をともにしてきた仲なのだから、言わずに内緒にする方が自己嫌悪になりそうな気がしたのです。
私が選ばれなかったとしても、それもまた運命。もっと自分に合うところが別にあるという事なのだから気にしてはいけない。
「就職活動に失敗する」、というのは別に選ばれなかった事を意味しているのではないと思うのです。
単なる「縁がなかった」「タイミングが悪かった」を自分の人格や能力、人間性を全て否定されたかのように感じて、自分に対する自信と未来を信じる心を失うことこそが「就職活動に失敗する」ことなのだと思います。
というわけで結局は彼女の方が選ばれたのですが、悔しさは少しあっても(負けず嫌いなんです)清々しさを感じたのも確か。
遠慮がちにこちらを見る彼女にも「おめでとう。よかったね」と伝えて安心させました。
まるでアメリカの大統領選挙のようですが、ちゃんと敗北宣言をして、自分と自分のチームを讃え(選挙や仕事の場合)、相手の未来を祝福する事で「お互いが」先に進めるのだと思います。
ジーンは人の気持ちを傷つけないコツを知っていて、シェルがだめだった事を伝えた直後には別のオイル・ガス会社(カルガリーでは オイル・ガス系は安定しており、給料も待遇もよいので人気の業種)を配属先として伝えてくれました。
こちらもカナダ-アメリカ-メキシコにオフィスを持つ大手企業。
今年(2008年当時)はカナダの記念切手にもなったほどの歴史と実績がある会社です。
ジーンなりの気配りだったのだと思います。
こうして回り道をしたものの配属先が決まり、2008年4月28日(月曜日)からのプラクティカムが始まる事になりました。
「そうそう、貴女が配属される部署、秘書課なのだけど25日(金曜日)にAGM(Annual General Meeting。この場合は株主総会のようなもの)があるので28日は休みなんですって。火曜日からお願いね」。
思いがけず、休みまでいただける事になりました。
さて、いよいよ次回はプラクティカムの開始です。