引き続き思い出話です。このシリーズはタイトルに◆がついています。

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前回はカレッジ全体(?)のことだったので、今回は私がとっていたプログラムについて。

 

私がとっていたのはOffice Administration Certificate Programというプログラムでした。

 

これは会社での事務の仕事について学ぶためのプログラムです。

 

事務仕事というとエントリーレベルではReceptionist(会社の受付)、Administrative Assistant(一般事務員)を初めとする各部署でのアシスタント業務のポジションを目指すものとなります。

 

ステップアップすればExecutive Assistant(重役の補佐業務、あるいは事務の管理職)やSecretary(秘書)、総務課での管理職へと道が開けるのですが、このプログラムはその最初の一歩を踏み出すための基礎を学ぶ場です。

 

カルガリーのカレッジでは1年以下のプログラムで取得できるCertificate(サーティフィケイト)か2年程度のプログラムで取得できるdiploma(ディプロマ)という資格があります。

 

私がとっているのは8ヶ月の学内での勉強に加えて、1ヶ月のPracticum(プラクティカム。インターンともいわれます。有料の事もありますが、このプログラムについていたのは無給で、仕事をするよりは職場体験をする、というものでした)がつくトータル9ヶ月のプログラムでした。終了後にはCertificateがもらえます。

 

社会に出るための基本を学ぶ、ということで、カナダ人でも高校をドロップアウトした後、高校の資格をとりなおして人生をやり直す、移民としてカナダにきたけれども、この地でやっていくために一からやり直したい、といった人たちがたくさんいました。小さな子どもを抱えて、大変な中で人生の再スタートをかけてがんばる人たちがたくさんいて、刺激になりました。

 

8か月の学内での勉強が終わるころにはみんなが「同志」のようになっていて、クラスがしっかりまとまっていて、こういうのは大きなカレッジや大学では見られない、どちらかというと日本の中学や高校のような雰囲気。クラスがこれだけまとまったのはインストラクターのモニカの温かさと、彼女が作る「クラス全員が何かに参加いs手力を発揮できる雰囲気」のたまものなんだと思います。

 

プログラムが始まったときにはESLのような和気あいあいとした雰囲気がなくて、人とのつながりが薄いのが寂しかったのですが、各人が自分の目標を達成するための、あくまでも個人主体のカレッジならではの雰囲気なのだろうと諦めていましt。あ

 

それが小さい学校というハード面と温かいインストラクターというソフト面の上手い組み合わせで、ここまでまとまった、互いに別れを惜しみあい、互いの成功を祈りあうクラスに変化していったのは嬉しい驚きとなりました。

 

プログラム自体は勉強と言うよりも訓練の意味合いが強いもので、覚えることよりも練習することが多いし、考えるよりも課題をこなしていくことが多かったです。

 

それ故に会社勤めの経験がある者にとっては簡単すぎて退屈することもあるかもしれないとおもいましたし、事実、私がそうでした。

 

でも、このことが私の人生に味を加えることになりました。あまりにも物足りなかったので、プログラム外の様々な活動に参加することに積極的になれたからです。

 

前回触れたStudents' Association(SA)は学友会や生徒会のようなものですが、日本の生徒会と違うのは、これがアルバータ州のBy-Law(条例)にそって運営されている点です。

 

きわめてフォーマルな組織で、学生の生活向上のためにいろんなイベントを企画したり、ボランティアの場を作ったりと活発に活動をしていました。

 

あとは、Student Ambassador Program(リーダーシップとコミュニケーションを学びつつ、ボランティア活動にも参加するプログラム)に参加したり、学校外でのボランティア活動(科学館でボランティアをしました)、夜間の人事(Human Resource)のプログラムも同時進行で取ることができました。

 

色々なところに顔を出すことで英語も上達したと思うし、人前で話すのは相変わらず苦手であるものの随分ましになったと思います。

 

人のために動くのが好きだし楽しいことも知った。みんなで努力したことが実を結ぶ事の達成感も味わった。授業だけではない色々な人や物との出会いがあり、人間関係が広がり、助けられることも多かったです。

 

のちに仕事の話がいくつか入ってきたこともありましたが、ボランティアを通しての知り合いからだったりしたので、ネットワーキングは大切だとつくづく思います。

 

母国語ではない言葉の中で暮らす上では欠かせない「情報」も、人の中に入って活動をすることを通して入ってきたのもよかったです。

 

日本にいたときには悩むばかりで一歩が踏み出せず、悪い方にばかり考えて自身を不幸にしていた自分が、どんどんポジティブになるのは幸せな体験でした。

 

「自分なんかが…」が口癖だった私はかなり鬱陶しい性格だったと思います。セルフエスティームが低くて自分が大嫌いだったんですね。幸せになれるわけがない。

 

カルガリーに来てからは、色んな幸運な出会いがあり、自分に自信ができてきて、自分と共存できるようになっていました。

 

その結果でしょうか。いつも行動的だとか、前向きだとか、リーダーシップがあるとか、周囲の人から言われるようになったのが不思議でした。

 

どうもカルガリーでの私は元気でエネルギーが有り余っているように見えるらしい。

 

興味があるならやってみる、できるか判らないけど動いてみる、だめでも世界は終らないし、そこから学べばいい。

 

失敗は恥ではない。

 

出来るも出来ないも、できるまでやりつづけるか諦めるかの違い(いいところで諦めるのも時には大切ですが…私たちには永遠の時間はありませんものね)。

 

自動車の育ての親とも言われるヘンリー・フォードの言葉。

Whether you think you can or whether you think you can't、 you're right.

(自分にはできるとの考えも、自分にはできないとの考えも、どちらにしても君は正しい)

 

当時の私の支えとなった言葉です。

 

自分には出来ないと諦めた時点で、それは実現しない。自分には出来ると信じ続けて行動すること(信じることに加えて行動することがポイント)がCan(できる)へと繋がるということ。迷ったら動く。

 

落ち込むときには自分をごまかさずに落ち込むことも忘れてはいけないというのも学びました。

 

落ち込んで永遠に立ち止まるのは問題だとしても、落ち込む自分の感情に蓋をしてしまっては、後で必ず大きなしっぺ返しがくる。

 

落ち込むのも人間らしくていいじゃないか。辛い気持ちを知ってこそ人の辛さもわかるようになるのだから。

 

クラスメイトの1人があるとき言ってくれました。「人生には無駄なことは一つだってない」。

 

カナダに来て良かったことの一つは、こんな素敵な事を日常の中で言い、苦しさの中でも輝く人々に出会い、影響されたことです。

 

さっきの言葉も単なる言葉じゃなくて、彼女の体験からでてきた生きた言葉だというのがいいのです。

 

体験からくる実感を伴う新しい価値観に触れることができた。

 

カナダに来てBow Valley Collegeに入学してよかったと思います。