引き続き思い出話です。このシリーズはタイトルに◆がついています。

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前回、◆レイク・ルイーズへキャンプ①の続きです。

 

 

翌日はレイク・ルイーズ周辺は晴れたものの、目的地のYoho national park(ヨーホー国立公園)は雨との事。

 

ヨーホー国立公園はアルバータ州(略称AB。私が滞在している州)の隣の州、ブリティッシュコロンビア(略称BC)に位置し、カナダ第2の落差(380m)を誇る滝、Takakkaw Falls(タカカウ・フォール:タカカウ滝)やエメラルド・レイクなどの素晴らしい自然を楽しめる場所です。

 

ちなみに「タカカウ」は先住民族の言葉で「素晴らしい」という意味。いかにも期待できそうな名前ですね。

 

3日目(カナダ・ディ)にバンフのダウンタウンにカナダ・ディに関するイベントを見に行きたいと願っていたマージ((我々、日本人留学生に見せたいと思っていた)は予定変更に難色を示しながらも、天候のせいとあっては無理をするわけにもいかず、2日目は湖巡り&スパイラル・トンネル見学ツアーと相成りました。

 

Moraine Lake(モレイン・レイク)に到着し、湖に駆け寄ろうとしたところでキャムとマージに止められました。

 

「もっといい場所があるから」と指差すそのさきには岩場の小山。

 

訝しがりつつも岩場や藪漕ぎが好きな私は勇んで登りました。たどり着いてみるとこの景色。

美しいエメラルドグリーンの水は背景のロッキー山脈との美しい対比をなしています。

 

こんなに「完全な」美しい景色があっていいのか…カナダ旧20ドル札の図柄として有名な景色にユミコと一緒になってはしゃいでしまいました。風の冷たさもなんのその、カメラを持つ手に力がこもります。

 

キャムは「写真を撮るなら陽がさすまで待ったほうがいい」と我々を止めましたが、あいにくの曇り空になかなかシャッターチャンスは訪れません。

 

かろうじて湖の一部に太陽の光が当たったところで撮影。

 

光が当たったところと当たっていないところの微妙な色の違いがわかりますか?

 

このあたりの湖に多く見られる特徴、エメラルドグリーンは氷河が溶けるときに周りの岩石を削って、その細かな岩粉(Rock Flour)が流れ込むことによるものです。

 

岩粉がただよう水は、湖面に太陽光が当たったときに青い光を反射します。

 

「空が青いのは空気中のチリに太陽の光が反射するため」というのに似ているのでしょうか。

 

岩粉の量の違いにより湖ごとに、季節ごとに湖の色は変わるのだそうです。

 

そんなわけで流れ込む川の水は一見透明。

 

湖に流れ込み、ある程度の深さがでたところに太陽光があたって、このような緑色があらわれるのです。

 

別の湖では細かな粘土の粒子を含む乳白色の川が流れ込んで、同じエメラルドグリーンでもミルクを流し込んだかのような不思議な乳白色がかった緑が見られるところもあります。

 

その乳白色が見られるのが次の目的地のLake Louise(レイク・ルイーズ)。乳白色の川が流れ込んでいることもあり、ミルキーなエメラルドグリーンになっています。

湖畔の高級ホテル「シャトー・レイクルイーズ(写真中央の建物)」は屋根の色が湖の色に合わせてあり、風景にマッチしています。

 

湖の名前はビクトリア女王の娘で、カナダ総督の妻だったルイーズ・カロライン・アルバータが訪れたことを記念してつけられたものだそうです。

 

王女の名前が付いているからではないのでしょうが…その美しさから「カナディアン・ロッキーの宝石」とも呼ばれている湖です。

 

写真の構図としてはシャトー・レイクルイーズ側からとったこちらのほうがなじみ深いかもしれません。

湖の周りを一周するウォーキング。おかげで、先ほどのシャトー・レイク・ルイーズの対岸からの写真が撮れたわけです。

 

ロック・クライミングをしている人たちがいました。

 

この日の夕食後には、キャンプ場で夏のキャンプシーズンに毎晩行われている自然教室を見に行きました。

 

この日のテーマはグリズリー・ベア。

 

この自然教室、6月末~8月末まで毎日(毎晩)開催されており、劇や体験(熊の毛皮を触った)を交えた勉強とはいえ楽しい催しでした(子供向けなのでしょうが、私はこういう自然教室が大好き)。

グリズリーベアといえば、私にはシートン動物記の「ハイイログマの一生」が記憶に残っています。

 

 

ハイイログマがグリズリーベアだということを知ったのはずいぶん後になってからでしたが、今でもグリズリーベアと聞くと、ワーブ(主人公のハイイログマ)の孤独な一生が思い出されて涙が出そうになります。

 

現実のグリズリーベアも、危険な動物だというイメージばかりが先に立っていますが(確かに危険なので注意が必要なのですが)、実は絶滅が危ぶまれている希少種。

 

今ではアメリカのイエローナイフ国立公園とカナダのロッキーにしかいないのだとか。

 

イエローナイフなどは他の生息地から隔離されているので、更に問題とのこと(繁殖期に出会いが少ないという問題と、血が濃くなるという血統の問題)。

 

肉食のイメージが強いが、その食のほとんど(80-90%)は植物食だそうです。

 

アルバータ州の州花でもあるワイルド・ローズ(写真下)の実が好みとか。

 

他にもバッファローベリーなど、意外にもフルーツ好きなのだそうです。

 

そして残りの10-20%が動物食。前述のキンイリジリスに近い種の「コロンビアジリス」がグリズリーベアにとっての「ファーストフード」と紹介されました(参考までにネットで見つけた写真を載せておきます)。

この自然教室で紹介されていたコロンビアジリスの写真は、実に「悪そう」な顔つき。いつもの愛らしい姿とは違う裏の顔を見た気がしたのでした(注:というのはちょっとした大袈裟表現です)。

 

インストラクターのお姉さんが 「コロンビアジリスはグリズリーベアにとってはファーストフードみたいなものです。なにせ数が多いので捕まえるのは簡単だしそして味といったらまさしく…」

 

ここで観客がいっせいに「チキン!」と叫んだのは言うまでもない(私もその一人)。

 

当然、お姉さんもその回答は期待していたらしく「味はまさしくリス…に決まってるじゃないの~」とおどけて訂正。まんまとひっかかりました。

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注:「It tastes just like chicken(味はまさしくチキン)」って何?という人のために…

 

「まさしく鶏肉のような味」というのはゲテモノをはじめとする「変わった」食べ物の味を表現する常套句です。

 

(例1)

勧める人:食べてごらんよ。まさに鶏肉のような味だから大丈夫!←いかにも怪しい

 

(例2)

食べた人:美味しかったよ。正に鶏肉みたいな味だった←不味いと言えずにi嫌味を込めて婉曲表現

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私はスケジュールの関係でグリズリーベアの回しか参加できませんでしたが、他にも「エルク」「ウルバリン」「氷河」など、 日によって違うトピックで開催されているようででした。いいな、全部参加したかった。

 

3日目の話は次回。

 

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今日のおまけ。

ゴミ出し場。熊対策で頑丈にできています。

 

そして公衆トイレも熊対策でドアが重いです。

窓の下の落書き…トイレが顔になってます。こういう落書きってキュートだと思うのですがどうでしょう?