引き続き思い出話です。このシリーズはタイトルに◆がついています。
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2007年6月
5月24日に「may storm(5月の嵐)」がやってきました。こうして5月にがくるのは例年のことらしいのですが、今回は嵐ではなくて普通(時期は普通ではない)の降雪だったようで…。それでも暖かな湿った重い雪は市内の多くの樹を痛めつけたようでした。
これが冬将軍の最後のあがきでもありました(と、信じたい)。
その後は暖かな日が続いており、公園でも人々のくつろぐ姿がみられましたが、6月に入ってからは一種の梅雨のような状況になっています。
実際には「梅雨」というのはないようだし、元来カルガリーは年間降雨量も少ないと聞いていましたが、先週などは曇りの日が続いて、毎日ように夕方になると雨が降りました。
当然ながら最高気温も15℃に満たない日が続き、「夏はどこへいった?」「太陽はどこだ?」と嘆く学生たちは、寒さで上着が手放せない日々(カナダ人には充分に暖かい)です。
6月第一週には嵐がきて、外の景色は風のない台風のようでした。「6月はもともと雨が降る月だけど、1か月分がいっぺんに降った感じね」とホストマザーのジャッキーも感心(?)していました。
そんな大量降雨のためか、土地が低いためか、もともと雨が少ないため排水システムが整備されていないためか(あるいは全部)、ダウンタウンの南にあるシヌーク・モール(Chinook mall)周辺は床上浸水するほどの騒ぎに(先週から救済措置のための窓口が開かれています)なっていました。
ゴルフ場では2人のゴルファーが雷に打たれて負傷とのニュースもあり、台風並みの雨でもプレイをやめないのも驚きました(それは日本でも同じかな?ゴルフをしないのでわかりませんが)。
今週は打って変わって夏のような(実際に夏なのですが)日が続いています。
午前中は8~10℃と低めなのですが日中は27℃くらいまで上がります。天気がいいと気分も上向きになるので、毎日のように近くの公園(オリンピック・プラザ)で昼食をとっています。
私のランチタイムの過ごし方はこんな具合。
日差しが強いのでサングラスは手放せません。オリンピック・プラザの中央には大きな噴水があってその周りに芝の生えたなだらかな段があるので、その辺りに陣取ります。
公園到着後すぐは日向に。冷房が効いた教室で冷え切った体を温めます。
食べている間に体が温まりますが今度は陽の強さで皮膚に痛みを感じるようになるので日陰に移動。
そのまま時間が許す限り図書館で借りてきた本を読みます。
時に公園でバンド演奏があるので音楽鑑賞を楽しみ、噴水の中で水遊びをする子どもや若者をながめることもあります。
公園でバンド演奏…までは日本でもありそうですが、驚くのは水遊びの人々。
広い(1辺が20mくらいか?)とはいえ公園の噴水。水深はふくらはぎ位まで。
幼児が愛らしい水着を着て水遊び…までは私にも理解の範囲内。
しかし高校生くらいの女の子までが水着姿で遊んでいるのには正直首をかしげました。
別に水遊びが「悪い」というのではなくて…。
福岡在住の方は天神ど真ん中の公園の噴水で高校生が水着姿で遊ぶ姿を想像ください。他の土地に暮らす方もそれぞれのダウンタウン(街中)の噴水を想像してください。
(疑問1)彼らは水着姿でダウンタウンにやってきたのか?
(疑問2)彼等は一体、どこで着替えているのだろう?
まぁ、それぞれの土地ならではの楽しみ方があるかと思いますし、北アメリカ地方ではこれは普通の光景のようです。これでは有料のプールなんて行く人が居ないだろうな、と思いました。
散歩好きな私なので、前から気になっていたC-トレインから見かける川沿いの小道を歩いてみました。
動物園付近からダウンタウンに向かうBow川(ロッキー山脈から流れてくる川です)に沿った多くのランナーやサイクリングの人が行きかう小道です。川の中ではボート遊びを楽しむ人々や釣りを楽しむ人も居て、夏の1ページの雰囲気に溢れていました。
お気に入りのPrince’s island park(プリンス島公園)では成鳥しか見ることができずにいたカナダ・グースですが…居ました!子連れ夫婦。
見づらいので子どものアップの写真もつけておきます。
「baby geeseは可愛いわよぉ」と散々に聞かされていたので、やっと見ることが出来て大満足。
そのままダウンタウンに近づくにつれて野外生活の方々が増えてきて雰囲気は単独の散歩向けではなくなってきたため、一気にダウンタウンに抜けました。
天気がよかったのでダウンタウンの公園ではいつもどおり噴水池にて水着姿で遊ぶ人が居ます。週末が平日と違うのはStephen avenue(スティーブン通り)で結婚式の写真撮影の様子を見ることが出来る点です。
今のところ週末に3回ほど行って3回とも見ることが出来たので、夏の間はここで結婚式の写真撮影をするのが流行りなのかもしれません。
甘い雰囲気漂う2人を囲む写真家2人と、横のベンチで待つブライズ・メイド(花嫁の付き添い。友人や親戚から通常2~5人が選ばれます)の対比が面白かったので写真を撮りました。
別の日は更に日差しが強かったためかブライズ・メイド、ベストマン(新郎の付き添い。祭壇の前で一緒に花嫁を待ちます。披露宴ではスピーチも行うそうです)&アッシャー(ベストマンの補佐的役割。ブライズ・メイドと同じ人数で、ブライズ・メイドとペアになって登場します)の全員がドレスやタキシード姿なのにサングラスをかけているのが、堅気の結婚式の雰囲気とはかけ離れていて面白かった。
結婚式のセレモニーではなくて写真撮影なのでこういうこともあるのでしょう。映画に出てくるような長いリムジンに乗っていたので余計に別世界な感じをかもし出していました。ゴッド・ファーザーの映画のような…。例えが古いかな。
Stephen avenueはダウンタウンの中心ともいえる通りで、C-トレインが走る7th avenue(7番通り)から1本南に行った8th avenue(8番通り)の一部分です。ヨーロッパ調の建物が並んでおり、外(通り)に席を設けたカフェやレストランが立ち並んでいて雰囲気を味わうだけでも楽しい。
Stephen avenueの西の端あたりにTDスクエアという建物(高級デパートからチェーン店までさまざまな店が店舗として入っている)の中にはDevonian Gardens(デボニアン・ガーデン)という世界で最も大きな室内庭園の一つがあります。ここも私のお気に入りの場所のひとつ。室内の庭園なので全天候型。冬の寒さも雨も関係ありません。ベンチやガーデンチェアがあるので天気が悪い日のランチはここが定番です。すぐ隣にTDスクエアのフードコートもあり、そこで購入したファーストフードを持ち込むことも出来ますが、私は通常は自宅からの持参したランチを広げます。
この席が私の気に入りです(写真上)。この日は天気がよかったので日差しが差し込んできれいですね。池には亀が棲み、コイやフナが放されています。鯉の餌も自動販売機で購入でき、子どもがよく餌をやっています。スズメも入り込んでおり、室内でありながら鳥の声を聞きながら、気配を感じながらのランチは気分もよいです。
このDevonian Gardens にはクリスマスツリーに似たメモリアル・ツリーが飾ってあります。
クリスマスツリーと違うのはオーナメントが全て天使の人形であること。そして天使にはそれぞれ人の名前と生年・没年が書かれていることです。
天使によっては更にくわしい情報(年齢)や写真がつけられていることもあります。これは臓器移植のドナーを記念している木なのです。
木のそばには「それぞれの天使は他の人の命を救い、そしてあるいは充実させるために臓器、目、その他の組織を提供した人を記念するものです」という説明がありました。
中には4歳くらいの幼い子どもや、中学生の少年のものもありました。感動するべきなのか、悲しむべきなのか複雑な思いに駆られる木であります。
最近の休日はこんな風に散歩三昧です。夏のありがたみを感じています。
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【2017年現在の追記】
デボニアン・ガーデンは改修され、噴気がすっかり変わって2012年に再オープンしました。
私は昔のごちゃごちゃとした、うっそうとした、植物と水のにおいで植物園の温室内のような匂いだったデボニアン・ガーデンが好きでした。もちろん、お気に入りだったあの席はもうありません。
でも確かに新しいデザインの方がモダンでオープンで清潔そうです。ピアノが置いてあって、誰でも自由に演奏していいようになっていて、たまにものすごく上手な人が演奏しているのにあたったりします。
カメとコイはいなくなったのかな?
メモリアル・ツリーはまだあるのかな?
さて、この公園、2016年から現在まで、一部が閉じられています。補修が必要になったとの事。再開はいつになるのやら(2017年6月現在ではプレイグラウンドエリアが再開したようです)。
待ち遠しいですね。