美人妻と高収入の勝ち組人生を送るファンドマネージャー麻生貴志、42歳。
だが、かつて憧れたミチルに持ちかけたインサイダー行為が、彼を終わることのない地獄へと転落させていくーー。
不倫、脅迫、解雇、離婚。未公開株詐欺に手を染め、保険金目的で殺されかけても、残酷な負のスパイラルは終わらない。それでも、かすかな光が残っていた。
しーちこさんに貸して頂いた本、
次はこちらの『ジバク』を読ませて頂きました


面白くて、一気読みでした


「ジバク」=「自爆」だと聞いていたので、暗い感じかなというイメージだったのですが、暗さよりも、内容の面白さの方が上でした

主人公の麻生貴志はファンドマネージャーで、ファンドマネージャーという職業について詳細に書かれており、株には全く疎い私でも、そういう醍醐味があるのだな、と、知ることができたり、職種自体を知ることができて、とても楽しく読めました

(麻生貴志が転職を繰り返すのですが、その他の職業についても同じことが言えます

巻末の参考文献の数がすごく多かったので、だからこんなにリアルに書けるのだなと思い、すごいと思いました


それに、主人公の状況は確実に悪化していくものの、冷静に現実を受け入れ、自分にできることを模索し、真面目に仕事に取り組む姿は好感が持てましたし、
悪い人ではないので、心の中では応援しているような気になっていました

貴志が保険金目的で殺されかけたのに、
犯人である女の減刑に協力しようとする時には、なぜみすみす危険なことをするのか?と、もどかしく思いましたが、
ファンドマネージャーをしていて高収入だった時から心は満たされず、
その後の生活は孤独で、最後のあたりには友人との交流もなくなってしまい、人の温もりを求めていたのだな、と思いました

転落のきっかけは
貴志のほんの少しの驕りと見返してやりたいという気持ちのように思えたので、
ちょっとした気のゆるみから、どうつながるか分からないなと、現実の厳しさを改めて感じました


山田宗樹さんは、『嫌われ松子の一生』を書かれた方でもあるんですね

他の本も読んでみたくなりました


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