恩田陸『きのうの世界』上・下巻 | はんなのはんなりblog*〜日々のことや育児のこと〜

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2013年、35週でおなかの中で赤ちゃんとお別れしてしまいましたが再び授かることができ、2015年に元気な女の子を出産しました。
アラフォーの迷える日々のことや、プロテインS欠乏症(不育症)で世間の少数派に入り、そこから見えた世界のことなどを書いています。


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上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。

一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。

そこは塔と水路のある、小さな町。


塔のある町が抱える秘密を住人たちは何も知らない。

夜に塔を見てはいけないという町に伝わる不思議な教え。

亀とハサミと天の川のステンドグラスが表す意味とは。


彼は町の秘密に触れてしまったのか。

雨が降る。町の本当の姿が明らかになる。


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恩田陸さんの作品で長編は初めて読みましたキラ


第1章 捨てられた地図の事件

第2章 日没から夜明けまでの事件

というように目次には全て「事件」と付けられており

町で起こる事件を、失踪した男、あるいは町の住民の視点からそれぞれ語られています電球


いくつかは、「あなた」という誰か分からない人物を中心に書かれた章であり

この「あなた」は誰であるか後々分かるようになっていて

それぞれの事件が町の秘密に、また、男が失踪した理由に徐々に繋がって行きます星


「町の秘密」については住民がひた隠しにしているような印象を持ちますが、

漠然と想像していたようなものではなく、

どちらかと言うと”いい話”で、隠さないといけない後ろめたいものではないと感じましたぐるぐる

また、塔と関わるシンボルなどは、伏線の割にやや曖昧に終わった感がありましたしょくぱん

失踪した男には特殊能力があり、少しファンタジー要素がありますが、

男の持つ特殊能力について、本人の思いや今までの人生など

しっかりと書いてくれているので、面白かったですクマ


元々私が「TRICK」や「SPEC」など、特殊能力者が出てくる話が好きなのもあると思いますがきゃはっ


ちなみに、人間の脳の使われていない部分を使える者がいた、、、というSFっぽいものも好きですねおんぷ


それと、「町の秘密」という、大掛かりな謎も好きです猫村1

本作も興味深い設定でしたし、「ダ・ヴィンチコード」とかそんな感じがあったようなaya

殺人事件の謎を解明するまでに、町の秘密を避けては通れないのですが


下巻

第15章 彼女の事件

第16章 彼らの事件

第18章 私の事件

第19章 水無月橋の殺人事件


で、町の秘密、最後の最後で殺人事件の真相が明らかになりますsei


独特な世界観がありました。

解説で書かれていますが、


「読み進める中で手に入れられる情報は、ほんの少しづつ。

そのため、自分がどこに向かって進んでいるのかわからない。

知っている情報がその都度空白を生み、その空白を埋めたい欲求が読むことを駆り立て、

ページをめくる手が止まらなくなる。」

                                     鈴木理策さん(写真家) 


まさに、そんな感じでしたびすけっと


ミステリーでも様々な作風があって、

殺人事件をこう描くのか、と興味深く、

また、最後の真相を知るとちょっと切なく感じましたさびしいうさぎ











「町の本当の姿が明らかになる。」というフレーズに惹かれましたくも。