初期の和製ファンタジーTRPGに、敵を転倒させるように地面を盛り上げる魔法があるが……ゲームでは相手を一時的に動けなくさせるだけで、ダメージは負わせられない。しかしもし、坂道の隘路とかに仕掛けるようなトリックにすれば致命的な威力となる。草むらや山岳なら目立たない罠になるし。
 こんなこと、魔法使いでなくてもこそ泥にもできる。足を取るロープさえ設置すればいいのだから。
 センスがゲームデザイナーにはないな。魔法を兵器と取り違えている。
 
 しかし古典ダンジョン&ドラゴンと、それのパクリトンネル&トロルは違った。一見「何の役に立つの?」ものだが、興味深い魔法が列挙してある。
 
 テーブルゲーム版の元祖は実に発想豊かなのに、パソコンゲームの古典ウィザードリィが当時の限られたマシンのスペックの因果で戦闘ゲームに固執してしまってから、以後のゲームデザインに進化ない感がある。
 
 
 たとえば、ただものを遠くへ浮遊させる魔法だって、鋭い小物を敵の急所へ飛ばせば致命的な武器となるのに。
 それをゲームでは派手にストーンレインとかする割には、ダメージこそそこそこあっても一撃必殺とはならないのが普通。相手がPCならぬ人間のゲームマスターなら、もっと発想を広げる融通を利かせてほしい。
 
 最強に近い魔法のメテオ(隕石落とし)も、こうした軽い遠隔操作魔法を使った上での、強引に小惑星の軌道を少し反らせて目的の地点へ落とす……なんて数学的物理学的な計算のもとに使えてこそ、真の賢いが語源の「魔術師」というものだ。
 これはちょっとした大きさなら核爆発並の破壊力となる。単なるモンスターどころか砦そのもの、はたまた国、島、生物種……惑星半壊できるな。
 
 なんでこんなこと考えたかというと、ファイアボールの素材に燃える硫黄使ったり、サンダーボルトの素材に静電気発生させる布切れと棒なんてあったりしたからだ。
 それって爆弾とか放電とかじゃん、タネ物理や化学の工学技術分野だ……
 
 と、まあスプーン曲げ(古い!)みたいに、ただ念じるだけで超能力が使える、なんてご都合主義なお子さまの夢見る俺様無敵最強魔王な魔法にいささか水を差す意見だが。
 
 悪巧みは思いつくものだ。弓の弦を切るとか。油を手に浴びせるとか。着火するとか、照明を消すとか。
 敵の城や地下迷宮に、突けば崩れる支点を数学的に探し出し、そこめがけ一撃爆破。雑魚やボスと戦うまでもなく敵軍は全滅する。これこそ利口だ。
 って、古典戦争映画にあったな。なんとかの要塞……ダム爆破するやつね。