今日も家の外で木刀を素振りしたが。私にはどのみち剣道はできない……
 
 どこかで述べたかもしれないが。私の左手の小指はマヒしている。正確にいうと、薬指も半ば。感覚がまったくないわけではないし、動くが、力が入らない。それに、しびれがひどいときは、ほとんど痛みを感じる。
 
 マヒした理由……高校のとき、柔道の乱取りで投げられたからだ。当時理想標準体重も割っていたほど痩せてクラスで二番目に背の低い私が、30cmは違ういちばん背の高いヤツから組まされたのだ。
 そいつは手放し(危険な反則)で私を投げ、頭から落ちた私は一時半ば失明していた。私はたしか早退しなかったし、病院にもいかなかった。このあたりの顛末は私の過去作品、『東京新選組 悪鬼』の冒頭そのまんまだ。
 
 
 とにかくそのときから、左手はマヒしている。目が見えるようになったから、手もいずれ治る……と信じていたし、当時の愚劣な環境でそんなこと話せばいじめられるのは目に見えて(←文章が韻を踏んだ)いたから、誰にも話さなかった。
 
 しかし、マヒはずっと治らなかった。そのマヒがあったおかげで、私はパソコンに向かうときも、ブラインドタッチができない。
 ゆえに、単なるワープロオペレーターになることはそのころから諦めていたし、車などの運転手なども将来の職種として想定しなかった。肉体労働どころか軽作業すら不安だから、学生時代はエンジニアになることだけを目標にしていた。
 
 まあ代償として、私はローマ字入力とかな文字入力、両方できる。右手しか使えないがふつうのひとが使うローマ字入力に比べ、和文を打つときは入力が数割早い。(ふつうのひとが両手でブラインドタッチするよりは、はるかに遅いが)
 それに身体を鍛えるようになったが。まあそれは意味も価値もない。
 
 
 精神科にかかってから、格闘技をする友人知人は十数名できていた。彼らは他人に技を見せないし、教えようともしない。
 これは弱いものに大勢でつるんではかじった格闘技技をかけようとする、小中学のガキどもとは決定的に違い過ぎる。
 友人曰く、「ガキに格闘技教えるな」、である。
 
 いまはただ健康のためと、ストレス解消だけを目的にシャドーボクシングとかをたまにする。