酒飲み不良中年の直人(なおと)は聖夜に仲間集めるパーティーの準備をしていた。
酒は十分。大山当てて輸送コンテナごと手に入れたのだ。こんな危ない橋もザ・マスター、ゼロの加護があれば余裕なのが、直人ジェイルバード隊員なゆえん。
で、さっそく味見としゃれこみ、こたつの中へ。ぬくぬくとしたたかに痛飲していた。ワイン、ビール、シャンパン、ウイスキー、ジン……酩酊し、心地よい夢の中へ落ちていく。
……しかし。
幸せな眠りから、ここで真理(まり)にたたき起こされた。
「直人、あんたケンタッキー予約していなかったの!? いまからではとても間に合わないわよ、フライドチキンが足りない! 幹事の責任として、肉を調達しなさい」
「こんなとき、なんか好い非常食があったような。巨大なハム」
「それもう何回も使い古されているからだめ。クレーム来るわよ。とにかくガキの使いじゃ許されないからね!」
で、やむなく冬の夜、新都心を歩き出す直人だった。
外は寒くて冷たいな……酒なしでは人とは生きられないものだ、と痛感する直人だった。しばし街をうろつき……
……? そのとき。連呼される年齢性別不明なきゅーきゅー声。
「御用だ!」「御用だ!」「御用だ!」「御用だ!」
と、直人に詰め寄るは人間サイズの、ふさふさした毛皮のずんぐりむっくりな二足歩行ハムスターの群れである。なんか数増えたな。ざっと十匹はいる。……? なぜかみんなパリッとしたスーツ着ているな、生意気な。
「なんだ、狩るまでもなくこいつら出迎えてくれたではないか……おれってラッキー♪」
しかしハム☆たちの反応はクール……もとい、シュールだった。
「直人さん、あなた、昨日の貨物船強奪犯ですね。あなたを逮捕します」
「え、なんでわかったの?」
「自首しても遅いですよ。もう逮捕令状届いているのですから。さあ、一緒に裁判所へ。検察は極刑を求めています」
「極刑って……」
「もちろん火炙りです。あなたを照り焼きにして、みんなで美味しくいただきます。本日即決有罪確定、上告は不可却下です。イブの食材となって贖罪を果たされてください」
直人は施錠され連行された。
むろんこれは、魔女狩りならぬ間男狩りの一風景である。