過去私は大企業の本社開発部電算機室勤務が命じられ、初任給は30万円とされた。
 バブル崩壊後の大卒初任給平均20万円の時代だから、並みの五割増し……に、一見思えるが。
 これは信じられない好条件に思うだろう、現場を知らない人は。
 
 しかし、プログラマって信じられない超過労働なのだ。一日16時間勤務当たり前。こうなると、計算すると解るが時給1000円以下になる。
 ふつうの人にはできない専門技術を駆使して、この給料では社畜というものだ。
 
 先輩が風邪をひいて病欠したな。しかし話を聞くと、倒れて救急車で運ばれ病院に入院し点滴を受けていた……って、言い換えると『過労で死にかけた』って話ではないか!
 恐ろしい職場だったな。私だって統合失調症を発症して精神病院送りになった。いまではこの仕事はデスマーチと呼ばれているな。
 
 それから時は流れ……障害者年金を受給する身となったが。
 いざ働いてみると、時給800円の軽作業アルバイトでも良い仕事だな。残業がなく、ラジオのナックファイブ(795MHz)流れる穏やかな環境の職場。
 内容は内職と大差なく、内職の数倍の時給だし、仕事の受け取りや売り込みの外回りの必要もないし。これはとてもすごい。
 おまけに障害者年金も同時にもらえるのだから渡りに船。短時間の仕事だから余暇はたっぷり。しばらくここで羽根を伸ばそう。