過去ABという偉人は警句を語られた。
 
 『歴史とは悪辣な支配者と馬鹿な軍人により歪められた嘘の記録である』との旨を。
 追従実験により確実に再現できる自然科学であるから、歴史は科学とは違う。
 
 ゆえに歴史は真理を模索するものにとっては取るに足らないのである。
 しかしこの言葉は、絶対に正しい真理など存在しないという唯一の真理から矛盾している。(当然か、この論理も破綻しているから)
 
 視点を変えれば科学史も重要だ。この世界文明の生い立ちを知ることができ、科学概念の律するところとなる。科学史は怠けて受けていたが。
 
 どうせ世界は完璧にはなれない。そして世界は取るに足らない。
 と、騙る私である。
 
 いのちに限り有って幸いだ。この欺瞞から逃れることができる。
 人生も半ばになると、秋に親しみ夏に疲れ春を恐れ、冬だけを見つめるようになるな。
 
 それでも進み続けることが大切だろう。