現代といっても、もはや二十年古い本だ。いわゆる第四世代戦闘機の空中戦の図解説明本。しかし、市販されているゲームはたいていこれに基づくのでコアなゲーマーなら一読の価値はある。
それを言うなら戦闘機の歴史はWW1からだから、いまからちょうど一世紀前に始まったのだ。ライト兄弟による初の有人動力飛行は1903年、航空機の歴史は新しい。単に滑空機や気球による飛行ならかなり古くなるが。
この本に記されているが、無人機の登場概念はそう新しいものではない。発達する誘導ミサイルにより、戦闘機不要との説はWW2終戦数年後からすでに始まっていた。ミサイルや機体を遠隔操作するなら飛行機に乗員は不要、という筋書きだ。
コンピュータの進化したいまになって新型機が無人となるとささやかれているが、この本の時代はまだパイロットの技量がものを言うドッグファイト(近接格闘戦)を想定している。
しかしドッグファイトなんて大戦時から『最後の手、窮地からの脱出法に過ぎない』とエースパイロットが語っている。まあ「敵機に襲われたら正面から応戦せよ!」とも、他に活路がなければ絶対のセオリーなのだが。
さて、ドッグファイトでは物理、中高生レベルの力学が幅を利かす。運動エネルギー(速度)と位置エネルギー(高度)を共に高く保つことが重要とされる。さらに速度を高さに、高さを速度に変換しつつ戦うのだ。これが損なわれることを『ステイルメイト』(手詰まり)と呼び、対抗策は敵機に正面から向かうしかなくなる。
現実の空中戦は、ここ百年もずっと変わらずの「陶物斬り」。とにかく敵機に気付かれず接近して、機銃なりミサイルを放ち戦線を離脱、これで片付いていたと。
現代の第五世代戦闘機でもほぼ変わらない。ステルス機能を生かして気付かれずに接敵し、敵に名乗りを上げず攻撃し落とす。これで戦闘機戦闘の9割は終わるらしい。もし気付かれたらそのまま離脱すること。
名誉ある騎士道に基づいた映画のようなロマン的な空中戦など、WW1初期にしかなかったのだ!
しかし軍事を知らない多くの一般人は、アニメやゲームのような機体の性能とパイロットの操縦技量に頼る派手で正々堂々とした戦いしかないと思い込んでいる。
現実は5W1Hで敵に攻撃されるかですら、肉眼でも計器でも完全には解らないのだし。こればかりは単に技量で左右されるものではない。
決してネットで流れる戦闘機動画なんかに騙されてはいけない。F15は時代遅れ即全滅としているのに、最新鋭機ATD-Xは数が少なくとも無敵だなどと。ステルス機では内部に二発程度しかミサイル積めないのに。外部兵装積んだら第四世代機と変わらない。
近年のステルス機のシミュレーターは、ゲームとしてはつまらない。なんか奇襲と暗殺、テロの繰り返しみたいで。アクティブレーダーやアフターバーナーなどで故意に自らのステルス機能を絶って、敵レーダーに映り敵機を誘い、派手に格闘戦するプレイヤーが大半とか。
改めて記すが、戦闘機とは他の航空機を落とすのが主眼の兵器である。地上攻撃も兵器の換装によれば可能だが、他の兵器に比べ戦闘機は極めて高価なのでどうしても制約がある。
おまけにジェット戦闘機は速度と機動性を代償に航続距離・飛行時間が短く、行動半径は限られている。これを失念して、どんな戦場でも最新鋭機無敵と信じるひとは多い。まあ秒速100発の20ミリ機関砲は上方装甲薄い戦車を含む並みの陸上車両破壊できるが。
以上軽く扱いました。
それを言うなら戦闘機の歴史はWW1からだから、いまからちょうど一世紀前に始まったのだ。ライト兄弟による初の有人動力飛行は1903年、航空機の歴史は新しい。単に滑空機や気球による飛行ならかなり古くなるが。
この本に記されているが、無人機の登場概念はそう新しいものではない。発達する誘導ミサイルにより、戦闘機不要との説はWW2終戦数年後からすでに始まっていた。ミサイルや機体を遠隔操作するなら飛行機に乗員は不要、という筋書きだ。
コンピュータの進化したいまになって新型機が無人となるとささやかれているが、この本の時代はまだパイロットの技量がものを言うドッグファイト(近接格闘戦)を想定している。
しかしドッグファイトなんて大戦時から『最後の手、窮地からの脱出法に過ぎない』とエースパイロットが語っている。まあ「敵機に襲われたら正面から応戦せよ!」とも、他に活路がなければ絶対のセオリーなのだが。
さて、ドッグファイトでは物理、中高生レベルの力学が幅を利かす。運動エネルギー(速度)と位置エネルギー(高度)を共に高く保つことが重要とされる。さらに速度を高さに、高さを速度に変換しつつ戦うのだ。これが損なわれることを『ステイルメイト』(手詰まり)と呼び、対抗策は敵機に正面から向かうしかなくなる。
現実の空中戦は、ここ百年もずっと変わらずの「陶物斬り」。とにかく敵機に気付かれず接近して、機銃なりミサイルを放ち戦線を離脱、これで片付いていたと。
現代の第五世代戦闘機でもほぼ変わらない。ステルス機能を生かして気付かれずに接敵し、敵に名乗りを上げず攻撃し落とす。これで戦闘機戦闘の9割は終わるらしい。もし気付かれたらそのまま離脱すること。
名誉ある騎士道に基づいた映画のようなロマン的な空中戦など、WW1初期にしかなかったのだ!
しかし軍事を知らない多くの一般人は、アニメやゲームのような機体の性能とパイロットの操縦技量に頼る派手で正々堂々とした戦いしかないと思い込んでいる。
現実は5W1Hで敵に攻撃されるかですら、肉眼でも計器でも完全には解らないのだし。こればかりは単に技量で左右されるものではない。
決してネットで流れる戦闘機動画なんかに騙されてはいけない。F15は時代遅れ即全滅としているのに、最新鋭機ATD-Xは数が少なくとも無敵だなどと。ステルス機では内部に二発程度しかミサイル積めないのに。外部兵装積んだら第四世代機と変わらない。
近年のステルス機のシミュレーターは、ゲームとしてはつまらない。なんか奇襲と暗殺、テロの繰り返しみたいで。アクティブレーダーやアフターバーナーなどで故意に自らのステルス機能を絶って、敵レーダーに映り敵機を誘い、派手に格闘戦するプレイヤーが大半とか。
改めて記すが、戦闘機とは他の航空機を落とすのが主眼の兵器である。地上攻撃も兵器の換装によれば可能だが、他の兵器に比べ戦闘機は極めて高価なのでどうしても制約がある。
おまけにジェット戦闘機は速度と機動性を代償に航続距離・飛行時間が短く、行動半径は限られている。これを失念して、どんな戦場でも最新鋭機無敵と信じるひとは多い。まあ秒速100発の20ミリ機関砲は上方装甲薄い戦車を含む並みの陸上車両破壊できるが。
以上軽く扱いました。