この自由を失ってしまいそうな近年の国際社会情勢の流れが嘆かわしい。日本で言論統制なんか始まったら、たまったものではない。自由の名の下の『平和』なだけが取り柄なのに。国家の、というか世界の終りというものだ。鬱々と思い巡る。

 いつの時代もどこの国も、体力気力だけは充実した純真でいて、社会に無知な少年少女が権力者に利用される。高校どころか並みの大学を出たくらいの知識では、ほんとうの公平な国際理解なんて知りようもないのだ。

 そして若者こそ世界に生きる意味を求め、なにより自分を大義名分で正当化できる、戦うべき『敵』を必要としている。だから兵士なんかになる。

 敵と戦えば、なにより社会に貢献した気分になれるのだから、平和な街の甘ちゃん坊やはヤンキーとなり、親に教師に反発し、異端児たる弱者をいじめて自分の立場を築く。

 愚かしいがこれが現実……悪い発想ばかり浮かぶな。

 僕も未熟だ。少しニュースに触れるや新しい視点の社会観理念を多々見付け、ときとして納得し、ときとして激情し触発される。これで一面的な視野に陥らないで、常に反証の声があるのが、まだ国家が健全に機能している証拠だろう。

 ゆとり世代の高校生の能力は、過去の中学生並みなんて皮肉られるし。かつてティーンの文化だったジュヴナイル作品が、いまや大人でも愛読の書になっているし。

 というか、みんながただ、若者のころの趣味を続けているだけなのかな? ラノベ読者の平均年齢は、毎年一歳上がる、とも言うし。

 ラノベはかつてジュニア向けとされていたが、大人でも根強い読者層がいる。もっとも、活字小説を読むのって、全人口に比較すると、決定的に少ないのだよな……漫画読者の五分の一未満ではないか? 漫画ならおそらく人口の半数が読むかな。

 毎年単行本小説を十冊以上読むなんて、人口の一割もいないだろう。まあ僕みたいに読む人は寸暇を惜しんで一週間に一冊は軽く読むからな。これを錯覚しても仕方ないか。

 この当たり前の数字を無視して、『もし小説を書けば日本人の千人の一人も買えば十万冊、一冊百円の印税としても一千万円にはなる! 自費出版費百万円の元手なんて安い』なんて大真面目に小説に馴染みの無い素人が考えたら悲惨だ。

 ちなみにそのオヤジのセリフは、『もっとも俺に小説を書くような暇はないのだけれどな。芸能人の体験談なんて比較にならない人生送って来たが』と、ふざけるのだが。

 事実はサイト運営していると解るが、僕みたいなアマチュア作家への日々のアクセス数はせいぜい数百件のユーザーが大半、その内訳はほとんど横繋がりの常連なのだから、かれらが全員買ってくれたとしても、数百部しか売れない計算になる。

 否、SNSによっては商売絡みが圧倒的多数だから、それすら危ういし。事実は自費出版して元が取れるはずはない。元が取れる本なら、そもそも出版社が作者からお金を取る理由はないのだから。ネットをしているとつくづく甘言が横行しているが。

 かく言う僕も、ブログ作家初心者だったあるときメールで自費出版の誘いが届いたのだが。原稿用紙にして百数十枚程度の中編、文庫で千冊出すのに百万円近い金額に悩んだ。

 著者が一冊当たり千円払って出版して、その価格以下で販売して、さらにもらえる印税は、はるかに少ない?

 で、それを友人に話した時。彼女は熱烈にこう語ってくれた。

「すごいじゃない、出したらどう? 一冊くらいなら買ってあげるわよ、ブックオフで」

 僕はつくづく良い友人に恵まれたものだ。さもないと、おそらく大出費し困窮していた。痛烈だけれど、現実を把握したよ。無名の活字本なんて、儲かる商品ではないのだ。