それはむかし……いまから何千万年も何億年もまえのこと。

 そのかつて、恐竜と人類が平和共存していた時代があった。地上を支配する絶対的な特権を分け合う平和と友好のもと信頼の共和社会。

 当時はこの両者が、晩餐の席で楽しく山海の珍味を楽しみ美味い酒を飲んでいたのだ。

 しかし深刻な氷河期の到来により、人類は生き残るため、恐竜を糧にすることにした。

 乱獲が行われた。恐竜たちは人間の仕掛けた狡猾な罠に狩猟具に次々と倒され、その巨体のたっぷりした肉を存分に食われた。

 この原始の人類による徹底した殺戮の元、恐竜は絶滅した。

 もちろんこの史実は、悠久の時の流れの中に風化し忘れ去られ、いまは誰も知らない。

 

(終)