すまいるまいるさん提案企画
貴方が慕ってくれる、私はかつて矮小でした。どんなに一から頑張って飛ぼうとしても、自らの内面から追われ、追い付かれてしまい、引きずり込まれて自らの内に籠って消滅してしまうのです。
それでも何回も私は飛びました……限りなく助走を付けて。しかし自分に埋没して消えてしまいます。
それを何回繰り返したことか……考えられない回数です。とても貴方には解らないかもしれません。
しかし、私をいつもずっと見守ってくれていた神さまは私に『翼』をくれました。それは次元を超えてまで、遥かへ飛べる翼だったのです。
そして優しく神さまは提案しました。
「これで飛びなよ、もう戻ってこなくて構わない。どんなに離れても、重力で一つに繋がっているんだ、万物は……」
これで私……つまり貴方を含むこの宇宙は翼を得て、雄々しく飛翔し光より速く広がって行ったのです。どんどん、速く、速く。遠く、遠く。その臨界点で常にインフレーションの連鎖を引き起こしながら……
(終)