ほんとうは和製中世西洋風ファンタジーの金字塔にしてライトノベルの先駆け、『ロードス島戦記』を書こうと思ったが路線変更してこれ。ご存知の方はいるかな? 『ソード・ワールドRPG』

 テレビゲームのRPGをサイコロ使って遊ぶようなもので、スゴロクのような感覚がある。要するにボードゲーム。

 それがTRPG(テーブル・トーク・ロールプレイングゲーム)なのである。特にこの『ソード・ワールドRPG』はルールブックとなる単なる廉価な単行本一冊と、普通の六面体サイコロが二つあればもう遊べる手軽さから、おそらくいちばん日本で広まった。グループSNE制作の、日本のゲームである。

 (作家水野良による、このゲームのノベライズ版が『ロードス島戦記』)

 ソード・ワールドの名前の通り、剣がまかり通る、中世西洋風のファンタジー世界の冒険ゲームだ。魔法も魔物も登場する。いまでこそよくある設定だろうが、当時は斬新だったのだ。

 戦闘のダメージ算出に、いちいちレーティング表を参照するのがやや遊びにくい感もあるが、ゲームバランスはそこそこ好い。なんらかのアクションに対する成功判定とかのバランスは。

 

 対するに、元祖の世界初のTRPG、『D&D』(ダンジョン・アンド・ドラゴン)は、序盤を遊ぶだけで当時の価格で五千円近くするルールブック一式がないと遊べない不便さがあった。本格的に遊ぶなら一万円は軽く掛かった。

 しかも遊ぶのに普通の六面体サイコロの他に、当時はほとんど流通していない、四面体・八面体・十面体・十二面体・二十面体のサイコロも必要なので、無くしたら入手困難だったし。しかもそのゲームバランスときたら、文字通り致命的なものがあった。パラノイアが設計したとしか思えない。←暴言。

 しかし、その後TRPGがパソコンゲーム化され(Wizardryとか)これがファンタジーテレビRPGの火付け役となり、大流行した経緯がある。日本で言うドラクエとかFFの走りだ。つまり日本ではTRPGは、テレビゲームの後追いの形で流行した。

 ちなみに当時は理解者が少なく、遊ぶ相手を見つけるのがたいへんだったものだ。最低四人はいないとゲームにならないし(逆に多すぎても困る。せいぜい九人まで)。

 いまでは情報端末の進化ですっかり影が薄くなったTRPGだが、現代のジャパニメーションに代表される文化の偉大な礎である。

 現代のネット技術を生かして、それらとシームレスに融合し、このTRPGの長所が映えるようなインフラ設備できないだろうか。

 否、まさに生かしたのがテレビゲーム化であるし、故に現代ネットRPGこそ盛んだが、それにのめり込める魅力をぼくは感じないのだ。もう一ひねりほしい。