アシモフの著作はこの『ロボットと帝国』で、おそらく集大成となる。『ファウンデーション』の銀河帝国ものとロボットものが融合する。登場する人物がごく当たり前の(有能ではあるが、新人類(?)のスペーサーと比べて等身大の限られた命の)人間で、ある意味切ない悲恋とも読める。

 そしてはるか未来への希望の……遠く長い重い道のりが、最後のキャラ(おそらくアシモフ著作でいちばん多くの作品に登場する)一人の双肩に課せられるのは感動の圧巻。

 英語の読めないぼくは、これらのシリーズの邦訳版をすごい待望していた。ちなみに待ち切れずうっかり原書(フォワード・ザ・ファウンデーション)を買ってしまって、辞書片手に読んだものの冒頭の5ページで挫折した痛い記憶がある。辞書に載っていない単語や造語、専門用語多すぎるのだもの。

 しかしロボットもの長編で有名な、アシモフの初期作品『鋼鉄都市』『はだかの太陽』は、ぼくの目が節穴のためだろう、すごい駄作にしか映らなかった。推理小説なのだろうが、正直意味不明の冗長な描写が多すぎる。余計な未来世界背景説明の羅列に続き、唐突に最後にトリックが暴かれるとしか取れないのだが。

 正確には、ロボット工学三原則のジレンマを突いたトリックが秀逸とされるが。ミステリーは決定的に読解力に劣るな、ぼくは。

 

 追記……この枠に入らない、独立した作品集(『木星買います』とか)は、確信犯コメディが特に面白かった。ちなみにアシモフは多くの科学エッセイを出しているが……それらは何故かつまらないのだ。ぼくがむかし科学少年で、雑誌NEWTONを購読して当時最新トピックに触れていたからだろうか。

 

 余談……ぼくはこの『ロボットと帝国』と、漫画家手塚治虫の『火の鳥』に触発されて、統一された世界観を目指し拙作『ジェイルバード』の創作活動を始めた。ゆえにバイブルである。