オレ、ユウキたち一行は『事実』の前に打ちのめされていた。ジオン軍がオレたちの勤務していた『黒色拍車』艦隊を、無慈悲にも旧ザクの核バズーカで全滅させた……
中立の黒色拍車は、核兵器を使用禁止とした南極条約に抵触しなかったのか。それに国力で連邦の数十分の一のジオンなら、兵士を第三国に亡命されては不利になる率は格段に高いから。
それでもオレたちは生きていかなければならない。一行……オレユウキ、エリック、ロウ、ヨウ、公星は凶事の前に矜持を新たにした。
紅一点でブルジョア育ちのロウお嬢様ですら、涙は見せず気丈にふるまっている。もっとも口は堅く結ばれ、唇の端に血がにじんでいたが。
テレビ端末にトピックニュースとして流されモニターされるのは、連邦からの鮮明な映像。黒色拍車艦隊全滅の……。
こいつら知っていながら見殺しにしたな! ジオンの悪逆性を説くプロパガンダのために!
ジオンも連邦も味方する理由は無い。ただ、無益な戦いから徴兵された両軍兵士を助けるのが……黒色拍車艦隊!
無言の内にみんなで肯きあい、ただ犠牲者に黙祷を捧げる。それが済むと、今夜とあす朝の食べ物の調達に出かける。
まだ個人の戦闘力を無敵化する、特製の空飛ぶフルアーマーは公星しか装備していない。いざというときは食材にもなるし、目下こいつがいちばん頼り、か。
こうしてオレは魚介類に海藻を仕入れに浜へ向かった。釣り竿と手網、熊手キットを器用に手作りしたエリックも一緒だ。ロウとヨウは、草地を調べている。迷子にならないよう、森林には入らない。
公星は単騎空を舞い、獣を狩るといっていた。ケダモノがケダモノを……皮肉なものだな。否、自然の摂理か。
……こうして日が暮れる前には、新鮮な生きた雑魚の群れ、名前の知らない貝に海藻、野菜に火を焚くマキが仕入れられた。しかし。
目下メインディッシュを調達する予定の公星、なかなか帰らないな……仕入れられないなら、あいつに主菜になってもらうまでだが。
とにかく鍋に食材を入れ、火であぶる。雑魚のごった煮スープ。待ちきれない、いただくか。あの万能ハムに無敵のフルアーマー、心配はいらない。
かなり経過して、そこそこ満足の食事も終わり真っ暗になりキャンプファイヤーを囲み一息ついたころ、公星が帰ってきた。なんとフルアーマーに、意識の無い若い(人間の)すらりとした娘さんをお姫様抱っこして。ついでに背には野生の仕留めたクマを負っている。それらをそっと地面に下ろす公星。
一同どっと騒ぐ。この女性のノーマルスーツは、ジオン公国軍のもの! ならば、黒色拍車のかたき! しかし何故か階級章に、公国章ははぎ取られているが……
激情したが、思いとどまる。黒色拍車艦隊は、兵士たちの救出が任務なのだ。その大義を失っては、戦争に反対することはできない。
脂汗を流し娘さんは、苦しげにうわごとをつぶやいていた。
「アルバート……」
後書き お解りの通り、邂逅となりましたね。そろそろご参加キャラ一同全員会する時です。共通の目的のために生きられるのか……? なにか御希望があれば連絡ください。
今日はただ追悼のため黙祷を……
ユウキ 初孤羅さま
エリック ゆきえもんさま
ロウ、ヨウ にゃんたれママさま
河馬鳥 カバパンダさま
公星 すまいるまいるさん
アヴィ akiruさま