登場人物
方城逢香(ほうじょう ほうか) 身長171センチ、剣道三段、新体操選手。『ソードダンサー』主演。マジ強い。
新庄真理(しんじょう まり) 身長156センチ、化学専攻女ヲタ。『シュリーク』主演。潔癖鉄壁無敵の少女。
藤村千秋(ふじむら ちあき) 身長148センチ、事実上無敵の魔女。『竜騎兵の変人!』ヒロイン。正直暴れまくり過ぎ。
水沢瞳(みずさわ ひとみ) 身長164センチ、毒されていないまともな少女。実は霞の名で『ステイルメイト』ヒロイン。
逢香は与えられた『脚本』に目を落とし、思わず叫んだ。「うわぁ! なに、このタイトル? この世界の『紙』悪いものでも食べたの?」
千秋はやれやれと答える。「『紙』、どうやら世に出回る魔法少女ものに対抗して、格闘少女ものを始めたいらしいですね。ここの四人で」
真理は安堵していた。「なら、私はジェイルバードの中では、アルケミスト。錬金術師と位置付けられているから対象外ね。よかったわ、馬鹿な茶番に出ないで済んで」
逢香は意見する。「私だって剣道使いよ。ソードダンサーだもの。素手での格闘技なんて知らないわ」
千秋は指摘した。「私なんて最初から魔法少女よ。今回は出番ないわね。すると適格者はただ一人」
瞳は驚いている。「え?! 私ですか? 少し合気道習っているだけです。それに逢香さんには……不知火くんを奪ってしまったみたいで気に病んでいます」
逢香は優しく語った。「気にしないで、あいつ根っから純真だもの。そういえば、私たち今回年齢設定がされていないわね。私と瞳さんでは、十●歳の差があるはずなのに。魔法少女は小中学生のものでしょう? 私は初出演時でも十八歳だったわよ」
真理は肯く。「私が最年長か……最初は十六歳だったけれど」
瞳は発言した。「私も十六歳でした。この世界の『紙』ロリ板志向よね、危険です!」
千秋はぶうたれている。「私は十八歳だったけれど……ロリキャラとして登場させられたわね」
真理は怒っている。「まったく、喜劇王チ●ップリンかしら!? 人生で四回結婚して、相手は三人が十六歳、一人が十八歳。それも婚前交渉が無かったとも、婚約者以外にも性関係が無かったとかとも断定できないから、変態よね」
逢香はいやいやをするように首を振った。「少女が少女で無くなってしまったら用無しなのね、そんな悪徳の塊みたいな男でも、スターになればもてはやされるのよね」
真理はふと言う。「そういえば、直人が吹いていたわ。『マイケルは所詮、整形野郎だから、地ではおれの方が上だって』」
逢香は吐き捨てた。「あの馬鹿……亡き大スターに失礼な! ファンに知られたら殺されるわよ!」
真理は愚痴った。「でもその大スターも、幼い少年と性関係を持ったのに、無罪放免だものね。財力に権力があればなにをしても許されるのが世の中なのよね」
ここで四人一息入れ、現状を確認した。現在は二十一世紀初期、舞台はさいたま市新都心、いまはファミレスの中四人席。ここに集った四人はみんな、学生服とは違うリクルートスーツに似たブレザーを身につけている。年齢はみんな初登場時のものだ。高校生少女鉄拳伝……世の中は狂っていることを、ひしひしと感じる四人であった。
ここで、逢香は『論点』に気付いた。「で、戦隊ものとなると、戦うべき敵が必要でしょう? 誰なの、敵って」
真理は意見した。「また日中バイオかナノテックか、あるいはADIかしら……武器は使わず、素手のみで戦うのがルールだなんて」
千秋はぼやく。「私たちなんかがわざわざ戦わなくても、時雨ちゃんがいてくれたらどんな敵でも、軽く粉砕してくれるはずなのにね」
瞳「あ……端末情報を整理したら、敵はすべてのジェイルバードの男なの! 彼らと拳を交えて、そのスキルを盗むのが目的だって。おまけに戦うべきラスボスに四グレーターデーモンが」
千秋は驚いている。「大悪魔、グレーターデーモンが四匹もいるの? 忌々しき事態ね」
瞳「いえ、時雨タンデーモンなの! 悪魔化した彼がラスボスなのよ!」
逢香はめまいがするのを耐えていた。「男すべてを敵にするシナリオね。時雨はまともに相手にするには強大過ぎるわ」
真理はセオリーを提案した。「ここは片端の雑魚から削っていきましょう、端末データによると直人と涼平が一緒にこの近くの居酒屋で飲んでいるわ」
千秋は席を立った。「私抜ける。もちろん時雨ちゃんの味方に就くわよ。こんど逢うときは敵同士ね。じゃあね~!」
瞳「待ってください! ……といって待った人の話は聞かないか。ああ支離滅裂……」
逢香は断言した。「ここは直人と涼平を狩りに行きましょうか。他に選択肢もなさそうだし」
真理は気合を入れていた。「昔日の恨みも込めて、打倒するわ、二人とも」
(終)
後書き 格闘技スキル無くても強すぎる女性キャラの面々に、もはや敵はいない……惨劇はかくして起こる。