目覚めると晴天の青空が広がっていた。

 うぅ……ここはどこだ、私は猫の優輝に捕まり……七十度くらい後ろにリクライニングされたF16戦闘機の操縦席にいる、きゃあ! 食べられてしまう。

「おとなしくしてなさい、生ハム」、と黒猫。

 誰が生ハムですか! 私は闘って死ぬ……違った、生き抜きます。奥義鮮烈屑竜閃を発動。気を溜める……はぁああああ!

 優輝はさらりと言う。「四次元ポケット」

 ひええっ! 古今東西世界最強の猫型ロボット……私はまた意識を失っていきました。

 私は身体が麻痺したまま意識は覚醒していました。小さな黒猫が戦闘機を操縦する……操縦桿ではなく、電子式のジョイスティックだから可能な技。と。

 突然、アラーム音が鳴り響きました。レーダー照射を受けている警告です。優輝は速やかに急旋回しました。ミサイルが機をかすめていきます。

 私は苦心して首を巡らし、敵機を視認しました。東側戦闘機Mig29ファルクラムが二機!

「無事か公星!」凛々しい男の声。グレイルさん!

「いま助けます!」高い少年の声。リオンさん!

 グレイルとリオンが救援に来てくれた! 頼もしい仲間です。私が独裁者になった暁には、側近にしてあげましょう。後からさらにMig29が三機……。ディオとエクステルミにアントワーヌも一緒です。それに。F16が五機も近付く。助かるかな?

 と、突然風防が開きました。猛烈な風圧が痛く襲い掛ります。優輝は外へ飛び降りた様子です。逃げたか……。風防を閉じる。通信……この声は!

 問います。「神無月さん……生きていたのですか」

「は、勝手に人を殺すな。地面に水を撒いてスタンガン炸裂、効いたな。憲兵まとめて一個小隊潰せた。俺も感電したが、ありがとよ、ハム」

「でも他の面子は? あれれ……」

「ハムさん独断専行ずるいです」と、里見さんの声。

 またもハムサンド! 血の気がどっと引きました。

 つうか三好先生と石田さんと浅尾さんの他に、里見さんが一緒なのはなぜ? 彼女私を食べようと……そうか! 石田さんが調理して、酒飲みの浅尾さんたちが酒の肴にするつもりですね。その手は乗りません!

 ここは速攻反転してブーストです! いくら私でも互角かそれ以上の戦闘機十機も相手にしては敵いません! む、逃走方向に新たな敵機!

 アルバート氏とアヴィさんがEF2000戦闘機、ユーロファイターに! これは当然、F16を凌ぐ。やばい、完全に包囲されてしまった!

 側方に新たな戦闘機! あれはまさかのF22ラプター。パイロットはアレスにリディアとは……

 ここまできて……終わりなのか。私はここまでの運命だったのか……知性も体力も器量も度量も……至尊の権力を手にするには及ばなかったのか……

 あれ、Su27スホーイ戦闘機が急速接近。垂直機動コブラ飛行ができる性能抜群の機体。なんだ、この戦闘機は? 敵か! む、なんという攻撃……銃撃とミサイル爆発の嵐。空が燃えるかのような。敵機が次々と落ちていく……まさかの全滅? 秒殺です!

 たった一機の戦闘機に……こんな無敵な戦いができるとすれば……帝国憲兵旅団長、時雨大佐の他に誰がいるか。彼が味方してくれた?!

 え? 私の機もレーダー照射を受けている! 時雨は憲兵として、私闘(喧嘩)両成敗をするつもりなのか!? やばいです! しかし逃げるには機体の性能差、速度差で不可能、ここは覚悟を決めて戦うしかありません。時雨機は一連の戦闘で燃料弾薬が消耗しているはず! そこに勝機を見出すのです。

 

(続く)

 

後書き 初孤羅さま、秋月伶さま、SPA-kさま、亜崎愁さま、akiruさま、ゆきえもんさま、すまいるまいるさん、キャラ出演ありがとうございます。すっかり修羅場と化したこの空の行く末は?!