虎箱に殴り込んだ私ことハムスターのスター、公星です。いくら虎と言えど、私の必殺技を喰らえば沈みますね。ん? 虎って四足歩行ではなかったですか、私が殴り飛ばした相手は二足で立ち……

 うわわぁあ! かつて冒険を共に闘った仲間、直人さんではありませんか! かれはあれで、いちおうは人間ですよ、寅年なのかな? む? 酔っ払いの暴漢を捕縛するところを虎箱というのですか。先に言ってくださいよ。この上私は傷害罪まで追加ですか?

 しかし、直人さんは痛い痛いと言いながらあっさり起き上がった! 恐ろしく立ち直りが早いですね。並の人間なら一晩気絶して当然の打撃のはずなのに。

 あれ、奥には不知火さんもいますよ。みんなで宴会していたのですかね。長いこと監獄にいた私にはただうらやましいです。酒の味も忘れた……

 なんで囚人は酒タバコダメなのでしょうね。きっとそれらは美味しく気持ちいいことで、故に禁止されているのでしょう。ただ、娯楽は滅多にないとはいえ、勉強なら集中して学べる時間に書籍は揃っています。

 故に確信犯的大物は、収監されても平気で、まるで応えないと豪語している方が実在します。見習うべきなのでしょうか、私はそこまで開き直れるほど図太くありません。とにかくこれはシャバへ出られそう!

 ま、いまはそれより両者と再開を祝うとき……え、ジェイルバードを再結成する? なんのために、ん! 歴史を変える? なんと1941年初夏にドイツへ日本海軍の零戦の設計図を持ち込む陰謀が……メッサーシュミットの代わりに使うのか。もしも成功したら間違いなく独が勝つ! 歴史が選民思想に染まる。

 ゼロ戦ならスピットファイアなんぞ容易に蹴散らしイギリス首都ロンドンを瞬時に陥落せしめる、続いてたとえ絶対的多数相手でも、ロシア機を圧倒する!

 これは阻止せねば。高い城の男みたいなのは怖い。しかし、私の母国である日本、大日本帝国が戦争に勝つ過去が生まれる可能性も……自国が負けるために戦うのも愚かしいですね。迷うところです。

 む? 怠惰で無能な創造主『紙』から手紙が届いている……私になんだろう。これは!

(……日本の太平洋戦争敗戦は、江戸時代から定められていた。当時の身分制度が如実に示している。

 建前上の「士農工商」

 実質上の「商工士農」

 転じて「将校死のう」……はは、お粗末だ。

 現実の「志NO考証」とどちらがマシかな。)

 現在日本は農業が危機にさらされているのに国防力に乏しく、政府も「農士」ならぬ「脳死」状態ですね。ですが社会は機能しています。公安員に看守は私を可愛がってくれました。無事に社会復帰できるよう、倫理面で優しく教えてくださる。同じく囚人をみな大切にしてくれると信じましょう。

 看守が述べるには軽犯罪ではもっとも救われ難かったのは、「弟が早稲田の政経だから許してね」と弁明する囚人と聞きます! 家族の学歴が高ければ罪を許されるとでも思っているのか。まあ可愛いならなにをやっても許されると信じた私も愚かですが。

 他には「俺には国会議員の友人がいるんだぞ!」と居直って、自分自身には有りもしない他人の権力振りかざし、罪を反省せず釈放をひたすら絶叫したのも。そいつは政党に繰り返し電話をしては跳ねのけられ、終いには精神病院送りになったそうです。

 つまり社会的地位が高く権限が大きいのに反省の色の無い犯罪者は罪を重く量られ刑期が長くなります。例えば「宇宙の戦士」によりますと、兵士なら鞭打ち十回で済む刑罰が、士官では銃殺になるとか。まあ、鞭打ちでも気絶ものなのですが。

 それにしても私の運命はどうしてこうも流されるのでしょう。『紙』のネタが絡んだパスタ状態ですね、家にある雑学本を無作為読みしていたら支離滅裂に仕上がったと憶測します。私としては気紛れに命のやりとりはしないでほしいです。毎回生きるか死ぬかなんて、たまりません。あれ、不知火さんなんですと?!

 ほう、過去へこれから時空間移動する……ゼロ戦のパイロットになるのですか。乗りかかった船、呉越同舟。了解、公星行きます!

 

(続く)

 

後書き 長編になりそうな勢いになってきましたね。『ステイルメイト』の続編? まさか。正統派『籠の鳥伝奇』の続編だとして多々コラボ作を経て到るから……なんてカオスな。

 次回からコラボ復帰、再稼働します。ストーリーはこのまま、テーマは『同盟会員参加式コラボ』に移転します。すまいるまいるさんのハムスターに加え、自由創作表現同盟の皆様のキャラを募集します。過去ですでに出演されているキャラは、許可頂ければ即応致します。連絡待ちます。皆様にSense!