……とまあ、事態の急展開を迎え。俺こと魔王……単なる無職ヒッキーの不知火は隊員に召集を掛けた。頭数は多いな、アナザー隊員加えるとさすがに。

俺・如月不知火、霞(瞳)、直人、涼平、浅尾、石田、朱莉、カズキ、ウィンソン、リム、アレス、リディア、アルバート、アヴィ、里見、公星。

 混沌としたみんなの誠意好意あってこそ、保たれる律序。まったく俺の『紙』は言語意味双方不明瞭だ。というか英語が話せないのは当然として、日本語話せるのかも怪しい。アナザー会員はみんな立派な創造主の下誕生したから、俺たちへの協力は恐縮に過ぎる。

 とにかく、新都心郊外地下にあるファーストデッキアジトの円卓をみんなで囲み、俺は場を仕切る。「……以上だ、なにか質問は? そう、知的恐竜が宇宙に住んでいる。われらの宇宙艦隊は、それに攻撃を受けたが無傷で残った」

 石田は疑惑気だ。「恐竜たちが味方なら、何故威嚇とはいえあんなに大量にミサイルを撃って来たんだ? 通信の話し合いで折り合えるではないか」

 浅尾は反論した。「私たちの度量と力量を試したのでしょう。あそこで退却していなかったら、実弾なら多大な犠牲が、というか全滅していたのでしょう?」

 公星もまったり同意する。「ですね、私たちは防御射撃でそのミサイルの99.9%を撃退し、力量を見せつけました。そして即座に全員退艦、犠牲を一名も出さなかった。これは協力し合える度量の証明です」

 朱莉は鋭く指摘した。「それは人間に通用する倫理の美徳ですね、同じ価値観を恐竜が有しているものでしょうか?」

 浅尾は引用した。「文学者風情がお門違いですが、同じく数十億年かけて地上で進化した種族。価値観が共通していても不思議はありません」

 それまで黙っていたアヴィとリムは声を合わせた。「そうね、動物も喜怒哀楽がある」「猫にだって感情も心も魂もあるわ!」

 公星は喜んだ。「ご理解頂けて嬉しいです」

 アヴィはやはりきょとんとしている。「ところで、この話すハムいつ料理するの?」

 公星は自分の胸を自慢げに叩いた。「なんなりとお任せください、料理も得意です」

「ふ~ん、自分で? すごいのね」

 いささかボケているアヴィに、アルバートはやれやれと首を振っている。小声でぼやく。「論点が違う。確かにアヴィの料理は……だけどさ」

 ……そう話がズレてまるで噛んでいないが、ここで突っ込みを入れるのはヤバ過ぎる。良識のある人間は霞も涼平も直人すらもなにも言わない。

 ふと気付く。アレス、リディア、ウィンソン、リム、アルバート、アヴィは宇宙や竜の話題について行けてない様子だ。こればかりは仕方ないな、文明圏の違いが過多過ぎる。

 例えば、ミサイルなら大きな弓矢の先に爆弾を付けたもの、みたいに説明するのだが。さしずめ電子機器は魔法の鏡だな。それでも数日で馴染んでくれるだろう。理解ある柔軟な思考で受け入れてくれるはずだ。仮にも武人たる戦士に文人たる錬金術師なのだから。

 俺は意見を提示した。「戦力の編成を行う。目下倒すべき敵はナノテック。ジェイルバードは彼らによりアウトローな過激派組織と位置付けられ、ここに集う一部の隊員も社会の弊害として、敵視していたことと思う。しかし、ジェイルバードはあらゆる欺瞞から、弱き罪なき虐げられるものを護るのが在り方だ。掟、誓い、目的を再度銘記せよ。それだけが名誉」

 公星はキューキュー語る。「倫理道義的に背いた過激な研究に実験の結果、ナノテックのエゴは肥大化し収拾がつかなくなっていますね」

 涼平は断言する。「ゆえにわれらの当面の目標は、ナノテックの飛竜を解放することにある。宇宙全体なんてどうでもいい。目の前の平和を取り戻す」

 直人が愚痴る。「われらって、ここに集ったたった十数名でか? それにはナノテックは強大過ぎるな。恐竜大艦隊十万隻の戦力はどうしたんだ? それならナノテックどころか地上の全軍事力軽く潰せるぜ」

 浅尾が指摘する。「あなたは飼い犬が喧嘩したからといって、自分の歯で相手の犬を噛み殺しますか? 同じことですよ、自分たち種族の不始末は自分たちで始末しろということですね」

 「無情なのだな……」

「いえ、けして。人口比・技術・戦力に劣るはずの、私たちへの侵略は決してしないということですから」

「。ここで戦力だが、マスター不知火?」

「こちらも、竜騎兵で応戦する。資料を投影する。閲覧してくれ」俺は虚空に何体かの飛竜と、その特徴を数値化して表示した……

騎竜フラッシュ :攻撃4 防御4 機動4 速度4

騎竜ブレード  :攻撃3 防御3 機動7 速度3

騎竜シザーズ  :攻撃3 防御1 機動5 速度7

騎竜ニードル  :攻撃1 防御1 機動7 速度7

騎竜アクス   :攻撃6 防御6 機動2 速度2

騎竜ハーケン  :攻撃5 防御6 機動1 速度4

騎竜スレッジ  :攻撃7 防御1 機動2 速度6

騎竜サイズ   :攻撃5 防御5 機動5 速度1

騎竜フォース  :攻撃1 防御7 機動4 速度4

 ……俺はぼやく。「これだけではわからないだろうね。各ドラゴンの能力は個性差がある。まあ空中戦の概論は涼平に任せるよ」

 涼平は引用した。「空中戦とは、『空を駆け、敵を見つけ、撃破する。ただそれだけだ』と、第一次大戦時の撃墜スコア百機近いエースパイロットは明言した。その『ただそれだけ』がいかに難しいかを口には漏らさずに」

 ウィンソンは同意し発言した。「正論だな。鴉族の俺からしても、先敵発見と、速攻撃破の有効性は最も高い。迂回して死角に回ろうとしても困難で、むしろ時間ばかり喰い敵を取り逃がすか付け入れられるか、不利な体勢になる危険をはらむ」

 涼平は肯く。「そう、最優先は先敵発見だ。次善は敵に襲われたら正対して応戦せよ! これが第一次世界大戦から続く、戦闘機格闘戦のセオリーだ」

 ウィンソンはリムへにこやかに目配せした。「闇部族の俺たちに飛竜はいらない、俺は鴉になって戦う。リムは俺の背で銃火器射撃を任せる」

 アレスは興味津々の様子だ。「ドラゴンに乗る騎士、竜騎兵……自由に空を飛べるなんて、少年の夢とばかり思っていたのに」

 リディアは軽く笑った。「あなたまだ少年でしょ」

 俺はニヤリと同調した。「竜騎兵の適性はアレスとリディア、きみたちが一番らしいね。文明圏からの経験の影響かな。もっともアルバートにリディア。きみたちは戦闘要員ではなく、ナノマシン、魔法の精霊と生きた金属を研究して貰う」

 不知火、霞、涼平、直人、カズキ、石田、浅尾、アレス、リディア。この九人が竜騎兵と決まった。ウィンソンとリムは獣化して戦う。 朱莉、里見、公星、アルバート、アヴィは後方勤務だ。

 こうして会議は進んでいった。続くは、ナノテックの施設座標とその戦力配置だ。重要かつ手薄なところから、死角を突き各個に落す。電脳神……情報の鍵を操れる神無月の亡霊が、俺を後押ししてくれる。

 

(グルっぽ『自由創作表現同盟』(管理人、初孤羅さま)の会員有志さまのご提供キャラに、出演頂きます二次創作です。

 亜崎愁さま、初孤羅さま、akiruさま、秋月伶さま、ゆきえもんさま、SPA-kさま、すまいるまいるさんありがとうございます。

 スレ『RPG風キャラデザインで遊ぼう†』の登録キャラで構成します。不知火ら一行の敵味方その他、コメントないしメッセージ受け付けます。

 キャラに取ってほしいアクションとかセリフとかあれば、連絡ください。めちゃくちゃに盛り上げるつもりです。

 追伸……著作権はキャラ提供者さまにあります)

(続く)