某有名文学賞入門書によると。文学賞を取る最大条件は、作品の独創性、オリジナリティにあるとされているが。ただ奇をてらったものは、仮に受賞したとしても続きが描けず、大半は一発屋で終わる。そんな奇抜過ぎる設定が、続編を作れるほどネタが溢れているなんてまずないから。

 だいいち、売れないのではないか? 奇抜なものがキャラクター、ストーリー、背景世界、登場アイテムいずれにせよ。

 単に斬新というだけなら、好奇心を満たす意味はあるが、そんなものを必要とする読み手の需要は少ないはず。新し過ぎるものはついていけないものだ。

 むしろプロ作家の書いている本は、微塵も独創性なんて無いマンネリ化したものばかりだ。

 しかし『普遍的』で『万民向け』な人気テーマを扱っているので、駄作であれ売れるのだ。

 これは小説だけでなくドラマアニメを見れば明らかだ。マンネリといっても受け手は、水戸黄門の印籠のような『お約束』の一幕を見て溜飲を下げるのだ。というかそれでも売れないプロの方が多いのだが。

 だが素人がプロの真似をして、独創性に欠ける普遍的なテーマなど扱ったら、審査一発で落とされる。そんなものを書けるのは大作家だけでなく、凡人にも大勢替りがいるのだと、相手にしてもらえない。例え過去作品を超えるような名作であれ、無名は売れないとの理由で闇に葬られる。

 図書館に並び百年残るような名作ロングセラーは、大半の一流プロにだって作れない。しかし本当の傑作はここに眠る。単に売れただけの作品は決して図書館には並ばない。そうしたものは読者の劣情を誘うだけのような低俗な作品が多いから。

 受賞する作品、プロの売れる作品、プロの売れない作品、図書館の名作、さらに読者が本当に欲しい作品はそれぞれ別のものだ。ベストセラーが必ずしも良書ではない。

 

 仮にノンフィクションでなくても、作品に現実性は条件に入らない。何故なら一流の大作家が、中学生レベルの理数を扱えない件もしばしば見受けられる。

 これは文系二流大の三文作家(現在はともかく二昔前は大勢いた)によく転がっているが、それならまだしも一流大学院出たはずのなんたら博士が、子供でも当たり前な常識を知らないのである。

 そんな稚拙な作品でも直木賞芥川賞、ヒューゴー賞ネビュラ賞受賞しているのが文学界の現実だ。三流理系私大中退のわたしが言うのもなんだが、審査員の学識がつくづく知れる。

 それともこうした作品作家は確信犯なのだろうか。わざと科学考証を無視し、読者になんらかの葛藤や疑問や優越感を与えたり、欺いたりして誤誘導して円満なエンディングにする。

 反面、高卒の学歴なのに実にれっきとした最先端の科学知識に裏付けされた、名作を生んでいる大作家もいる。むしろ、学歴が低い大作家も人気がある。自分と同じ無いし、自分より低い学歴として親しみを感じるのだ。作家志望の新人が、希望の星とするわけだ。

 以前もエッセイに書いたが、文学賞の条件に、作品の登場人物より作家そのもののキャラクター性が問われるからだろう。ただし一流大出、大学院出を除けば、高卒、中卒、障害者、前科者、生活保護、自費出版……で成功した作家は少数派だ。

 これらはえてして同じ立場の作家志望の新人が二匹目のドジョウを狙うエサに使われる。エサにひっかかったら、無論獲物にされる。鋭利目的の自費出版社とかに多い。自費出版からメジャーデビューするなど、経済に余裕ある金持ちの道楽である。

 言いたかないが過去の大作家も生まれが恵まれていただけのも多い。本は利鞘が薄い商品だ。儲かるものではない。一冊万引きされたら穴埋めに十冊売れなくてはペイしないのだ。そんな中金持ちは本を出版して利益になるほど売れたか疑問だ。

 大学の教授でテキストを自分で執筆出版販売していた方は、幾ら儲けたろう? 印税が一冊百円としても、一年間に全学科に講義したところで、学生はせいぜい五百人。つまり年五万円の収入にしかならない。

 繰り返すが本の損益分岐点は約六千冊だ。無論それだけでは儲からないので、最低でも一万部は売れなくてはならない。しかしそれでは一万部売れても収入は数十万円だ。

 

 話が飛躍してきたが、とにかく文壇はほんとうの実力が試される場ではないのではないか?

 いまの時代アマチュア作家が自由にホムペサイトで自作品公開できる。そうした作品はランキングもされているが、必ずしも上位が傑作とは呼べない。

 むしろ駄作であれひとたび上位にランキングされた作品は、誰しも閲覧に飛び易いから勝手にアクセス数が伸びさらにランキングが上がるという拡大再生産を生み出す。悪名は無名に勝る、である。

 読者としては決して外聞風評などに惑わされず、自分が読んでいて納得がいき満足できる作品に作家を探すべきであろう。ネットを通して、素敵なアマチュア作家さんはそこいらにキラキラしているのだから。

 

 追記……乱文失礼しました。自分でも書いていてまとまらない。突然すみませんがここで……。

(了)