(アメブロ創作同盟有志のキャラが出演します! 著作権はキャラ提供者さまにあります)

 

 僕は時雨。155cm、66.6kgの小男だけど警備隊監査役とか歴任した警備員だよ。高卒からの叩き上げで、二十五歳にはその地位にあった。

 つ~か、十三歳の時には宇宙艦隊の戦闘機パイロットとして、大佐の地位だった。時空間航法で未来世界、過去世界を行き来した。むちゃくちゃな経歴だなあ、履歴書に書けないよ。めちゃ命懸けで苦労してきた経歴が生かせないなんてあり?

 割と名門の私立中学に合格してから、狂い始めた。成績不良なのに付属高校にエスカレーターしたけれど。実績とコネで大手警備会社に幹部候補で就職できた。

 二十歳の時には、まだ駆け出しの警備員で、身を立てるのに必死だった。それを魔女っ子にはとんでもない方向に転ばせてもらったけど、あれでいちおうハッピーエンドかな。神も悪魔も敵に回して仲直りとは。

 二十六歳の時は、全世界を巻き込んだ戦史物ネットゲームでゼロ戦に乗っていたな。撃墜王マンチキン厄病神と評され恐れられた戦闘機乗りだよ。

 そしていま、二十七歳。僕はまた異世界へ迷い込んでしまった。街並みは二十一世紀の都会をさらに未来電子化、サイバー風にした感じだ。白、黒、灰、ガラス窓で構築された雑多なビル街。

 それなのに人と来たらまるで中世洋風ファンタジー。妖精のような可憐な美女や、子供ではないが小柄な愛らしい小人、角ある鬼まで歩いているぞ! ここはヴァーチャル世界か夢ではないかな? 去年までゲームにのめり込み過ぎたからな……

 とりあえず、東洋人らしいおじさんに聞いてみる。日本語で。おじさんも日本語で親切に答えてくれた。良かった、僕外国語できないもん。ここは「太陽に一番近い島」の、「シント共和国」だとか。するとここは……なるほど、さすが『紙』、なんてカオス。

 で、これからどうしようかな……と迷っていたら、制服らしい黒い皮革の上着に腰に拳銃を下げている警官っぽい連中十名ほどに包囲されてしまった。

 隊長と思える中年の一人が言い渡す。「貴方はシント国民ではない。シントでは余所者は受け入れない、そうそうに立ち去ることを命じる」

 冷たいなあ……追放刑か。僕は車(電気自動車かな)に乗せられ、五分と掛からず街の境の街門に送られていた。ここで気付く。この国は堅牢な城塞都市だ。

 車は街外一分ほどで停止した。僕は降ろされた。と、車を出たところで隊長は言った。「貴方がどうやって侵入したのか、検索できない。一切、犯罪はしていないから動機が不明だ。それに辺境の連中とも違い、衣服もまさかスーツとは上質だ」

「あのう、僕は日本に帰りたいだけなんだけど……」

「なんだ、ニホンとは。辺境にそんな国があるのか、それに貴方が蛮国の出にはとても思えないが」

「ここはどこですか? 日本語通じていますよね」

「なにを言っているのか。この島の言語は共通語だ。共和国、王国、辺境数々の蛮国含めみな同じ言葉だ。大陸方面は違うらしいが、そこへは海と不毛地帯が広がり滅多に国交は無い」

「僕はどこへ連れて行かれるのですか?」

「シント国外だ。平和な都市からいきなり法の通用しない荒地だ。余所者を入れないのがシントの掟。純潔は穢せない。悪いが貴方のような平凡な小男では、人買いに奴隷にされていいところ。悪ければ追い剝ぎに殺されるな、身なりが良いから」

 ひええ、それはひどい! 僕なにも悪いことしてないのに流刑だなんて! 何がいけなかったんだろう、思えば生保暮らしだったのに、名門私立中奨学枠で入ってから狂い出したな。

 そこから突然宇宙軍隊にスカウトされ、十二歳にして少尉の戦闘機パイロットをしていたし、大佐まで昇進した……誰も信じてくれないけれど。

 警備隊の男は、小声で忠告した。「これは口外しないでくれよ、貴方はキュート王国へ辿り着くことだ。そこでなら、兵士なり小作農なり漁師なりで雇ってくれるだろうから」

 見渡す一面、砂地か野原。遠くに山と森林……僕は着の身一つで放り出された。

 持ち物……財布……日本の貨幣も銀行カードも使えないらしい。運転免許社員証書その他の身分証……もう意味を成さないのか。携帯……圏外になっている。

 腕時計……これだけは正確と信じたいな、プレミアもののGショックだもん。でも時刻はともかく日付合っているのかな? 日付が合わないなら時刻も合うはずがないし……いずれ調整がいるかも。

  

 ほっぽられて三時間。ひたすら王国とやらに向かい早足で歩き続けた。このくらいで疲れる僕じゃないけど、お腹減ったよう! ひもじいよう! 喉も渇いたよう、お茶くらい無いの、この世界!

 まあ異世界トリップは初めての経験ではない。僕は十三歳で月も火星も金星も踏破した! 二十歳の時には魔界と神界の悪魔と神々ことごとく制圧した!

 この僕をパラノイアと呼ばないのは、仲間だけだろう。『ジェイルバード』隊員たち。和訳して籠の鳥……魔王ことザ・マスター率いる十二名の有志。神話の時代から連綿と続く、世の欺瞞を砕くもの……

 と、建て前をあげればどこか少しかっこいいが、実状は愚者の群れだな。僕もやっと己が馬鹿だと気付いたよ、確信犯だから許してね。

 少年時代から体験してきたから、僕はこんな異世界の背景を、少しは知っている。『現実』とされる二十一世紀『現代』世界に対し、ここは『未来』なのだと。

 未来世界は、現代世界が『融合炉の惨劇』としてしられる核融合炉連鎖爆発によって半壊したなれの果てなのだ。皮肉にも日本が生き残ったのは、二十一世紀初頭に大震災があり、核分裂炉がメルトダウンしたため、核融合炉が一切建造されなかった背景による。

 異常なのは、僕が中学の時に迷い込んだ未来世界は科学技術が発展していたのに、ここの世界は衰退していることだ。

 ここの未来へ僕の元いた現代世界と人類を招くのはまずいかな……これだけは解る。『籠の鳥』は有事の際、世界に必ず結成される。僕はなんらかの理由で、ここの世界へ召喚されたのだ。ならば成すべきは?

 

(続く)

 

追記……グルっぽ『自由創作表現同盟』のみなさまに貴方のキャラの登場と言動活躍をリクエストします。コメント・メッセージ受け付けます。できる限り本編に反映します。おおまかな概要で結構です。

 『RPG風キャラデザインで遊ぼう†』スレに登録されたキャラでご参加ください。

 背景世界は『籠の鳥伝奇』のラスト直後です。『従軍心理医師の休日』のやや前となります、なのでシントはイレギュラーを受け入れていないのです。

 ややこしくてすみません。キャラの出会いとか前後の話が被らないよう、なんとかごまかして作ります。

 とりあえず、迷子で腹ペコな時雨を助けてくれる方いませんか? 困難な敵役として登場もありですよ。もし不評ならこのテーマは取り止めにします。