紙「この前のプレイはGMとパーティー仲間にマンチキンだマンチキンだといびられたから、今回ぼくは『漢』を演じさせて貰う」
GM「おまえが漢ねえ……少しルール変える。先に3D6(3個の6面サイコロの合計)六回振って、好きな能力に振り分けていいよ……」
紙「はいはい……。ぼくのサイコロ、呪われているんだよな。極端な結果ばかり出る」
GM「高い順に18,14,13,8,7,4か。平均並みだが個性的で、振り分けによってはとても強くなる。これはなかなか良いんじゃないか?」
涼平「名前は剣崎涼平(けんざき りょうへい)ね。ヒーローは美しくなければいけない。いちばん高い数値を魅力度に……18、と」
GM「おい! 正気か? 俺の話し、おまえいつも聴いていないだろ!」
涼平「二枚目は打たれ弱い。最も低い数値を強靭度4」
GM「マジかよ、信じられないヤツ……魔法使いにするのか? なるのは冒険者なんだぞ、商人や大道芸人のような民間人職業は対象外だ」
涼平「漢なら、戦士に決まっているっしょ!」
GM「ほう、弓使いか? それともスリンガー?」
涼平「誇り高い戦士は素手で戦う。空手家だ。ナイフや弓矢のような臆病者卑怯者の武器が使えるか! で、ヒーローは神出鬼没、敏捷度に14、ヒーローは強い体力度に13、後は知性度に8、信仰度7と」
GM「すると鎧も着ないのだな。マンチキンに行くなら体力度18、敏捷度14、強靭度13、信仰度8、知性度7、魅力度4だが。魔法使いなら知性度18、強靭度14、敏捷度13、魅力度8、信仰度7、体力度4。僧侶なら知性度と信仰度を入れ替えるだけ」
涼平「ではいざ冒険の旅へ! 勇者涼平の伝説が……」
GM「小悪鬼(いわゆるゴブリン)の砦へ四人パーティーで」……
  ……
……「百匹以上って、新米四人で対処できる数かよ!」「向かって来るわよ!」「おまえ馬鹿だろ!」「逃げ道も断たれるわ、どうするのよ」「素手で戦うと言うのが、いかにも男らしい」「アホか! 序盤いちばん強いはずの戦士がそんなことで」「うわあああ!」「自業自得だ。ここは退くぞ!」「了解、眠り魔法掛けるわ。その隙に!」
    ……中略。
紙「さようなら、涼平。平和の内に眠れ……って、最初に出会った敵の一撃で殺されるのは酷いぞ」
GM「救済策も取れないじゃないか、防御力0でHP2しかないのでは。データ使い回しで並び変えて、パーティーに欠けている盗賊に直してくれ。HPは決め直しだ、1D4に……お、4か。ついているな」
紙「三枚目ならまずは打たれ強さ、強靭度に18、次になんといっても愛される魅力度に14、三に盗賊定番の敏捷度は13。体力度8、信仰度7、知性度4はどうでもいいな」
GM「そっちの方がまだ使えそうだな、三枚目路線いってみないか? キャラ設定はどうする、名前性格」
直人「ならば真打ち登場! 名は横島直人だ! 乙女の心を盗み出せる痛快怪盗邪直人! 青ジャケットで」
GM「ったく、おまえの分身キャラかよ……あ、強靭度最高値の18だったな。するとHP7?!」
直人「強靭度と敏捷性を生かしてひたすら逃げる! だめなら魅力度で懐柔を!」
GM「せめて弓矢で後方支援しろ! 強いぞなかなか」
直人「両手がふさがる武器はポリシーとして持たない。使うなら拳銃だな。白兵戦はしないから剣も不要」
GM「この世界に銃はねえよ! では短剣投げろ」
直人「投げたらおしまいじゃないか、もったいない」
GM「どうあっても逆らうよな、このマンチキン野郎!」