早朝だった。ペオは城塞都市国家ケネローの病室で一人端末を使い、三夜前の『悪魔』の映像を閲覧していた。高層ビル並にでかい異形の醜悪な怪物の何十体もの群れが、逃げ惑う無力な街人を片手で拾い上げてはつまみ食いしている! あるいは口を地面に近付けてのすくい喰い。なんて残酷な……まるで人間が豆粒を拾って食べるかのように。口から流れ溢れる紅い鮮血、正視に堪えない。黙視するわけにもいかないが。
しかしペオは悲痛に思った。人間が獣を食べるように、人間を食べる化け物がいておかしくはない理屈はわかる。一方で人間はマンイーターの存在を決して許しはしない。それこそ人間が地上で最高の生き物と位置づけられる所以。この理屈に、どんなヒューマニズムもヒロイズムも不要だ。人間が一介の動物の一種だという顕著な証明なだけだ。
いま見えているのは、シント街壁付近のダウンタウンの映像だった。ただでさえ人口少ないこの技術立国に、大変な被害だ。シントは無敵とされた武装を誇っている。しかしデーモンの群れに対し火砲に銃撃が無数に撃ち込まれているのに、足止めにもならない!
ペオは慎重に観察を続けた。急所、弱点はないのか、脳みそ、心臓その他……しかしデーモンはどこに砲弾を浴びても平然としている。考えられない。デーモンとはこれほど恐ろしいものなのか……。黎明とともに消え去ったが。朝日が上るとペオは病室を抜け、病院の整えられた爽やかな春の花と緑ある中庭に入った。ティルスとラドゥルが待っていた。
ペオは問う。「いちばんデーモンの被害が大きかったのは、帝国だろう、大丈夫かな……」
ティルスは疑問気だ。「敵の国が心配か?」
「いや、偶然知り合った王国貴族のおっさんが帝国に行くと言っていたのでね。フーハクとかいう憎めないオヤジだったから少し心配なんだ」
ティルスは聞いてきた。「なんだ、ペオシィン、貴女はフーハクを知っているのか」
ペオはやれやれと答えた。「以前ここケネローでラドゥルと一緒に会ったよ。にわか成金放蕩貴族の不良中年だな、まあ人の好いおっさんだったよ。温厚なのになにげに強いし、面白そうなおじさんだよな。ハシとかいうこれまた強い美少年を連れていたし」
ティルスは残念そうだ。「入れ違いで会えなかったか……彼に竜騎兵隊旅団長を頼もうと思っていたのに」
ペオは吹き出した。「ティルス殿の代わりにあの不良中年が旅団長か、こいつはいいな」
「失礼だぞ、彼のような立派な戦士に向かって」
「だって、ああいう金持ちは金の価値を知らない。月給二十と三十の差が分からないのさ」
ラドゥルが口を挟んだ。「そのくらいは僕でも分かるよ、五割増だろ」
「違うよ、この差が生活レベルに直すと、三倍にも十倍にもなるんだ。一カ月最低限必要な生活費が十五だったら? 月給二十では遊ぶ金は五だけ。しかし月給三十なら十五、つまり三倍だ。なにか病気か事故とか突然の出費があって五失ったら? 月給二十では生活だけに手いっぱい、下手すると借金地獄だ。だが月給三十ならなお十余る余裕の生活だ」
「そうか……計算すると三倍差は五割り増し差の六倍だね。この差は無限大といっていいな。僕は自足生活が当たり前だったから考えたことなかったよ。世知辛いね、街で働いて暮らすのは。辺境流れの狩人としては同情するよ。ペオは金持ちじゃなかったのかい?」
「過去の文明、学士の平均初任給が二十万円くらいだった。学士で無ければ五年務めたって手取り十七万円が良いところ。俺はそんな中、中卒どころか今の歳でも、初任給三十万円を約束された。軽く二、三年のキャリアで年収一千万目指せとされて。それなのに議員のお嬢さまは、「貴女は神童と呼ばれる割に、ずいぶん倹しいですね」とのたまった。毎日宴会同然、一食に一万円軽く掛けるような金持ち層といえばこうさ。なんでも、自分で働かなくても家には毎週百万円単位の金が流れるんだってさ。軽薄な取り巻き連中連れて力を誇示して。長いものには巻かれろ、なんてなめた口を叩く」
「やっぱりきみは神童だったんじゃない~っ!」ラドゥルがやれやれと指摘した。
ペオは顔に血が上るのを感じた。言い訳する。「俺は馬鹿だよ、まあただの馬鹿ではない専門馬鹿だが。ものを知らないのは仕方ないことで頭の良さとは関係ない。おまえこそ天性の魔力を秘めているのだろう? 魔人たちはみんな。ラドゥルだって一尉の指揮官だぜ」
ラドゥルが質問した。「指揮官っていわれても、僕は軍隊のことそのものを知らないよ。例えば「りょだん」とかって何のことだい?」
「旅団は軍隊を構成する戦力の大きさの単位だ。この単位は大きい順にまず、一個師団は二個旅団、一個旅団は二個連隊、一個連隊は三個大隊、一個大隊は二~四個中隊、一個中隊は三~四個小隊、小隊は戦闘機とかなら三~四機からなるし、歩兵なら十名程度だ」
「だからきみは学があると言うんだよ。無限の知力だね」
「ゲームで知っただけさ」ペオは畏縮していた。「無限を想像すると。果てしない宇宙に呑み込まれそうで怖いのだ。奇数と偶数は等しい数だろうか? ゼロが偶数なら、数は奇数で終わる? 最初の数が1からなら偶数で終わる? いや、理屈上、数は無限で上限が無い。現実の宇宙は地球どころか銀河すらその営みを終える時が来る。それが恐ろしい」
ラドゥルはクスクス笑った。「妙なこと怖がるね、変わっているな。神童ともなると違う」
ここで連絡がソングから来た。「隕鉄鉱は赤白どちらともシントに一度運び込む必要があります。シントには『精霊』が宿っているのです。それが、斥力を封じてくれます」
ペオには検索された情報の意味が理解出来た。精霊……ナノマシンか……生きた極小の情報端末機器。これがそもそもの魔力の源だろう。過去の文明最先端の遺産……人々がすべて超人的な魔法を使え、どんな無謀な夢も叶えられたはずの理想郷……ペオはそこに生きていたのだ。その中で間違いなく最強の魔力は……ラドゥル。なにか胸が熱くなる。
ソングは、無言のまま次いで端末に映像を通信してきた。夜の闇の中、松明の灯りに映し出される巨大な影……デーモン。立ち向かうは酒樽のような中年オヤジ、これって!
フーハク!? 生身でしかも素手でデーモンに挑むなんて、自殺行為だ! いくらなんでも、ネズミが象と戦うようなものだぞ。げ! フーハクつまみあげられ、喰われた。デーモンの口に丸吞みだ!? デーモンは身もだえを始めた。地面に倒れ、絶叫しながら手足を振り回し苦しんでいる……? デーモンは塵となって風に舞い散らされ消えた……後に平然と現れるフーハク。なんてインチキ! こんなものを戦いと呼べるのか、まったくでたらめじゃないか、あまりの事態に悪態以外に評す言葉が浮かばない……。
ティルスは引用した。「金剛のごとき強い意志は外敵の力を挫くものだ。不撓不屈の精神」
ペオはしかしはっと嘲る。「金剛不壊だと。人の意志はそう強くない。欺瞞だ、撞着だ、道理に合わない。実事求是を怠り、失念したのだろう」
「そうかな? ペオシィン、貴官の意志の強さは称賛に値する。知識も技量も傑出しているし、我としても見習うところ大だ」
通信機越しのソングも賛同していた。ソングは提案した。「ペオシィン、体調が戻られたのなら、魔力を試してはいかがですか? 魔力とは完全に身につけるには訓練がいると私は知りました」
ペオは肯いた。「では無害な目標に……あの立木のいらない枝を伐るのはどうかな?」
ペオは意識を集中し、念じてみた。刃物で切断するのをひたすらイメージする。しかしなにも起きない。三分ほど念じ、なんら変化がない事をペオは言った。「どうすれば魔法って使えるんだ? いくら思い念じてもダメだぞ」
「どうすればって……自然に使えるものです、自分の手足を動かすように、当たり前に。私はそうでしたが、ティルスとラドゥルはどうです?」
ティルスも驚いていた。「ペオシィンの魔法が効かない? どういうことだ! 我も魔力はひとたび目覚めてからは自然に使えた」
ラドゥルも指摘した。「僕も一端使えるようになってから、気ままに使い、いろいろと試してどんどん力を伸ばしたよ。あ、そうか! 魔力に目覚めるには契機となる命の代償が必要だ。ペオはそれを思い出せないのではないか?」
ティルスは意見した。「そもそも魔力で轢断、それだけで倒せる相手なら戦闘機でも竜騎兵でも、悪魔を倒せるはず」
ペオにも理解できなかった。「どうやって意識失っていた俺はデーモンを倒せたのだ?」
この事態に、しばし沈黙が覆った。ペオの魔力は実に期待され羨望されていたものだったのだ。魔力で直接デーモンを倒せるなら怖いもの無しのはずだから当然だが。
ペオは策を思いついた。「ラドゥルとソングの力を合わせれば、電子機器の誘導操作が可能になる! 単なる誘導ミサイルではなく、無人小型V/STOL機の先端に隕鉄鉱製の鋭い穂先を付けたミサイルランスだ。これなら何度でもデーモンを殺傷できる!」
ソングは即答した。「素晴らしい妙案です。シントに直ちに配備させます。模型試験機を、ラドゥルの遠隔操作に任せます、私はナビを」
しょせん万全とはいえぬ付け焼刃の次善の策。ペオはいささか対処療法ではあるが、デーモンとの戦いに切り札ができたことにほっとしていた。
しかしペオは悲痛に思った。人間が獣を食べるように、人間を食べる化け物がいておかしくはない理屈はわかる。一方で人間はマンイーターの存在を決して許しはしない。それこそ人間が地上で最高の生き物と位置づけられる所以。この理屈に、どんなヒューマニズムもヒロイズムも不要だ。人間が一介の動物の一種だという顕著な証明なだけだ。
いま見えているのは、シント街壁付近のダウンタウンの映像だった。ただでさえ人口少ないこの技術立国に、大変な被害だ。シントは無敵とされた武装を誇っている。しかしデーモンの群れに対し火砲に銃撃が無数に撃ち込まれているのに、足止めにもならない!
ペオは慎重に観察を続けた。急所、弱点はないのか、脳みそ、心臓その他……しかしデーモンはどこに砲弾を浴びても平然としている。考えられない。デーモンとはこれほど恐ろしいものなのか……。黎明とともに消え去ったが。朝日が上るとペオは病室を抜け、病院の整えられた爽やかな春の花と緑ある中庭に入った。ティルスとラドゥルが待っていた。
ペオは問う。「いちばんデーモンの被害が大きかったのは、帝国だろう、大丈夫かな……」
ティルスは疑問気だ。「敵の国が心配か?」
「いや、偶然知り合った王国貴族のおっさんが帝国に行くと言っていたのでね。フーハクとかいう憎めないオヤジだったから少し心配なんだ」
ティルスは聞いてきた。「なんだ、ペオシィン、貴女はフーハクを知っているのか」
ペオはやれやれと答えた。「以前ここケネローでラドゥルと一緒に会ったよ。にわか成金放蕩貴族の不良中年だな、まあ人の好いおっさんだったよ。温厚なのになにげに強いし、面白そうなおじさんだよな。ハシとかいうこれまた強い美少年を連れていたし」
ティルスは残念そうだ。「入れ違いで会えなかったか……彼に竜騎兵隊旅団長を頼もうと思っていたのに」
ペオは吹き出した。「ティルス殿の代わりにあの不良中年が旅団長か、こいつはいいな」
「失礼だぞ、彼のような立派な戦士に向かって」
「だって、ああいう金持ちは金の価値を知らない。月給二十と三十の差が分からないのさ」
ラドゥルが口を挟んだ。「そのくらいは僕でも分かるよ、五割増だろ」
「違うよ、この差が生活レベルに直すと、三倍にも十倍にもなるんだ。一カ月最低限必要な生活費が十五だったら? 月給二十では遊ぶ金は五だけ。しかし月給三十なら十五、つまり三倍だ。なにか病気か事故とか突然の出費があって五失ったら? 月給二十では生活だけに手いっぱい、下手すると借金地獄だ。だが月給三十ならなお十余る余裕の生活だ」
「そうか……計算すると三倍差は五割り増し差の六倍だね。この差は無限大といっていいな。僕は自足生活が当たり前だったから考えたことなかったよ。世知辛いね、街で働いて暮らすのは。辺境流れの狩人としては同情するよ。ペオは金持ちじゃなかったのかい?」
「過去の文明、学士の平均初任給が二十万円くらいだった。学士で無ければ五年務めたって手取り十七万円が良いところ。俺はそんな中、中卒どころか今の歳でも、初任給三十万円を約束された。軽く二、三年のキャリアで年収一千万目指せとされて。それなのに議員のお嬢さまは、「貴女は神童と呼ばれる割に、ずいぶん倹しいですね」とのたまった。毎日宴会同然、一食に一万円軽く掛けるような金持ち層といえばこうさ。なんでも、自分で働かなくても家には毎週百万円単位の金が流れるんだってさ。軽薄な取り巻き連中連れて力を誇示して。長いものには巻かれろ、なんてなめた口を叩く」
「やっぱりきみは神童だったんじゃない~っ!」ラドゥルがやれやれと指摘した。
ペオは顔に血が上るのを感じた。言い訳する。「俺は馬鹿だよ、まあただの馬鹿ではない専門馬鹿だが。ものを知らないのは仕方ないことで頭の良さとは関係ない。おまえこそ天性の魔力を秘めているのだろう? 魔人たちはみんな。ラドゥルだって一尉の指揮官だぜ」
ラドゥルが質問した。「指揮官っていわれても、僕は軍隊のことそのものを知らないよ。例えば「りょだん」とかって何のことだい?」
「旅団は軍隊を構成する戦力の大きさの単位だ。この単位は大きい順にまず、一個師団は二個旅団、一個旅団は二個連隊、一個連隊は三個大隊、一個大隊は二~四個中隊、一個中隊は三~四個小隊、小隊は戦闘機とかなら三~四機からなるし、歩兵なら十名程度だ」
「だからきみは学があると言うんだよ。無限の知力だね」
「ゲームで知っただけさ」ペオは畏縮していた。「無限を想像すると。果てしない宇宙に呑み込まれそうで怖いのだ。奇数と偶数は等しい数だろうか? ゼロが偶数なら、数は奇数で終わる? 最初の数が1からなら偶数で終わる? いや、理屈上、数は無限で上限が無い。現実の宇宙は地球どころか銀河すらその営みを終える時が来る。それが恐ろしい」
ラドゥルはクスクス笑った。「妙なこと怖がるね、変わっているな。神童ともなると違う」
ここで連絡がソングから来た。「隕鉄鉱は赤白どちらともシントに一度運び込む必要があります。シントには『精霊』が宿っているのです。それが、斥力を封じてくれます」
ペオには検索された情報の意味が理解出来た。精霊……ナノマシンか……生きた極小の情報端末機器。これがそもそもの魔力の源だろう。過去の文明最先端の遺産……人々がすべて超人的な魔法を使え、どんな無謀な夢も叶えられたはずの理想郷……ペオはそこに生きていたのだ。その中で間違いなく最強の魔力は……ラドゥル。なにか胸が熱くなる。
ソングは、無言のまま次いで端末に映像を通信してきた。夜の闇の中、松明の灯りに映し出される巨大な影……デーモン。立ち向かうは酒樽のような中年オヤジ、これって!
フーハク!? 生身でしかも素手でデーモンに挑むなんて、自殺行為だ! いくらなんでも、ネズミが象と戦うようなものだぞ。げ! フーハクつまみあげられ、喰われた。デーモンの口に丸吞みだ!? デーモンは身もだえを始めた。地面に倒れ、絶叫しながら手足を振り回し苦しんでいる……? デーモンは塵となって風に舞い散らされ消えた……後に平然と現れるフーハク。なんてインチキ! こんなものを戦いと呼べるのか、まったくでたらめじゃないか、あまりの事態に悪態以外に評す言葉が浮かばない……。
ティルスは引用した。「金剛のごとき強い意志は外敵の力を挫くものだ。不撓不屈の精神」
ペオはしかしはっと嘲る。「金剛不壊だと。人の意志はそう強くない。欺瞞だ、撞着だ、道理に合わない。実事求是を怠り、失念したのだろう」
「そうかな? ペオシィン、貴官の意志の強さは称賛に値する。知識も技量も傑出しているし、我としても見習うところ大だ」
通信機越しのソングも賛同していた。ソングは提案した。「ペオシィン、体調が戻られたのなら、魔力を試してはいかがですか? 魔力とは完全に身につけるには訓練がいると私は知りました」
ペオは肯いた。「では無害な目標に……あの立木のいらない枝を伐るのはどうかな?」
ペオは意識を集中し、念じてみた。刃物で切断するのをひたすらイメージする。しかしなにも起きない。三分ほど念じ、なんら変化がない事をペオは言った。「どうすれば魔法って使えるんだ? いくら思い念じてもダメだぞ」
「どうすればって……自然に使えるものです、自分の手足を動かすように、当たり前に。私はそうでしたが、ティルスとラドゥルはどうです?」
ティルスも驚いていた。「ペオシィンの魔法が効かない? どういうことだ! 我も魔力はひとたび目覚めてからは自然に使えた」
ラドゥルも指摘した。「僕も一端使えるようになってから、気ままに使い、いろいろと試してどんどん力を伸ばしたよ。あ、そうか! 魔力に目覚めるには契機となる命の代償が必要だ。ペオはそれを思い出せないのではないか?」
ティルスは意見した。「そもそも魔力で轢断、それだけで倒せる相手なら戦闘機でも竜騎兵でも、悪魔を倒せるはず」
ペオにも理解できなかった。「どうやって意識失っていた俺はデーモンを倒せたのだ?」
この事態に、しばし沈黙が覆った。ペオの魔力は実に期待され羨望されていたものだったのだ。魔力で直接デーモンを倒せるなら怖いもの無しのはずだから当然だが。
ペオは策を思いついた。「ラドゥルとソングの力を合わせれば、電子機器の誘導操作が可能になる! 単なる誘導ミサイルではなく、無人小型V/STOL機の先端に隕鉄鉱製の鋭い穂先を付けたミサイルランスだ。これなら何度でもデーモンを殺傷できる!」
ソングは即答した。「素晴らしい妙案です。シントに直ちに配備させます。模型試験機を、ラドゥルの遠隔操作に任せます、私はナビを」
しょせん万全とはいえぬ付け焼刃の次善の策。ペオはいささか対処療法ではあるが、デーモンとの戦いに切り札ができたことにほっとしていた。