テレビゲームの中で、印象深いものを紹介します。古いですがナムコ、PS2の「Ace Combat4」です。シリーズの中では一番難易度が低いかな? そのためか、ネットのレビューでは評価低いですが。簡単だから初心者にはお勧めなのですが、ゲーム性としては「Ace Combat0 ベルカ」か、PS1の「Ace Combat3 エレクトロスフィア」の方が面白いですよ。
戦闘機ものフライトシューティングですが。サイドストーリーをあの「紅の豚」「千と千尋の神隠し」とかの、スタジオジブリが製作したものです。それに出てくるプレイヤーのライバル、敵のエースパイロットの話です。
ネタ晴らしになりますから、プレイされたい方は以下を読まないでください。ですが、読まれた方がプレイしたいというならお勧めします。中古なら安く買えますよ。
それから飛行機もの3Dシューティングは、馴染みの無い方には全く操作方法が分からないかも知れません。単なる左右の旋回(ヨーイング)よりむしろ、機体を左右に倒して(ロール)それから見た目上方向に敵機を捕らえ、見た目上方旋回(ピッチ)または下方旋回(ダウン)を駆使して動くのです。これは慣れないと敵機に撃ち落とされる以前に、すぐに地面と激突してゲームオーバーになります。
このゲームはなんと、プレイヤー側の視点ではなく、敵、ライバル側の視点でサイドストーリーが流れるのです。そのライバルっていうのが、「男ってこうあるべき」って感じのいい『漢』なんです。
「戦果より、自分の部下を必ず生きて連れ帰ることを誇りにする男」。
物静かでクールな二枚目ですが、ほんとうに仲間思いなのです。出撃してもいままで一機も撃墜されたことがないという無敵の部隊、「黄色中隊」の指揮官、「黄色の13」。
小説や映画ならともかく、テレビゲーム、しかも敵役でこんなキャラクター、過去に例がなかったと思います。
序盤から中盤までの黄色中隊は半端でなく強く、プレイヤーがまともに戦って勝てる相手ではありません。わたしなんかの腕では、狙おうとしても照準に0.5秒も捕らえられないくらいです。
ですがその無敵の部隊も。プレイヤーの別の戦場での勝利で、敵国全体が戦争に負けていくにつれ。部下は他に引き抜かれ、代わりに補充されるのが未熟な新兵になってしまい。補給も途絶え戦闘機も満足に飛べない、なんて状況に追い込まれて。ついに、プレイヤーの手で全滅させられてしまうのです。
敵国の首都を攻める決戦で、もう敗北は避けようが無いのに立ち向かってくる黄色中隊の戦闘機は。太平洋戦争の特攻隊のような悲壮感があります。
それで、なんでその部隊の名が「黄色」なんだ? って考えてしまいます。黄色って、あんまりかっこいいイメージでは使われません。黄色人種をバカにする差別用語でもあるし、隠語で「憶病」って意味もあります。
「13」は常に5機で飛びますが。最後の決戦以外では戦闘中、一機でもダメージを受けるとその部下が撃墜されないように、部下全機をまとめて高速で戦場から撤退してしまうのです。戦闘を放棄してですよ。
でも、だからって一方的に負けるのではなく、そうなる前にはそうとう暴れ回っているから、プレイヤーの方の味方は大損害を受けているのです。でもひょっとしたら、敵軍内部では13は敵前逃亡者としてニラまれているのかもしれませんね。あくまで仲間思いだから。だから「黄色中隊」なのかな、なんて。
だれだって憶病ものに思われるのは嫌ですが、こんな憶病者にだったらなってみたい。
ちなみに「撃墜数より部下の命を最優先する」パイロットのモデルは、おそらく日本の生き残ったゼロ戦の撃墜王坂井三郎でしょう。わたしは彼が亡くなった時の新聞訃報記事を切りぬいて、彼の著作ノンフィクション「大空のサムライ」に挟んであります(2000/9/22没)。彼と同じ時間を過去生きていたこと、彼がゼロ戦乗りとして現役だった年齢を自分は超してしまったということは感慨深いです。
彼も二十一世紀が見たかったでしょうね。戦争を美化したりましてや賛美したりするつもりはありませんが、愚かな戦争と呼ばれた時代に生き、決して無駄死にをしたのではないはずの、当時の世界すべての兵士たちの命に代えて……
了
戦闘機ものフライトシューティングですが。サイドストーリーをあの「紅の豚」「千と千尋の神隠し」とかの、スタジオジブリが製作したものです。それに出てくるプレイヤーのライバル、敵のエースパイロットの話です。
ネタ晴らしになりますから、プレイされたい方は以下を読まないでください。ですが、読まれた方がプレイしたいというならお勧めします。中古なら安く買えますよ。
それから飛行機もの3Dシューティングは、馴染みの無い方には全く操作方法が分からないかも知れません。単なる左右の旋回(ヨーイング)よりむしろ、機体を左右に倒して(ロール)それから見た目上方向に敵機を捕らえ、見た目上方旋回(ピッチ)または下方旋回(ダウン)を駆使して動くのです。これは慣れないと敵機に撃ち落とされる以前に、すぐに地面と激突してゲームオーバーになります。
このゲームはなんと、プレイヤー側の視点ではなく、敵、ライバル側の視点でサイドストーリーが流れるのです。そのライバルっていうのが、「男ってこうあるべき」って感じのいい『漢』なんです。
「戦果より、自分の部下を必ず生きて連れ帰ることを誇りにする男」。
物静かでクールな二枚目ですが、ほんとうに仲間思いなのです。出撃してもいままで一機も撃墜されたことがないという無敵の部隊、「黄色中隊」の指揮官、「黄色の13」。
小説や映画ならともかく、テレビゲーム、しかも敵役でこんなキャラクター、過去に例がなかったと思います。
序盤から中盤までの黄色中隊は半端でなく強く、プレイヤーがまともに戦って勝てる相手ではありません。わたしなんかの腕では、狙おうとしても照準に0.5秒も捕らえられないくらいです。
ですがその無敵の部隊も。プレイヤーの別の戦場での勝利で、敵国全体が戦争に負けていくにつれ。部下は他に引き抜かれ、代わりに補充されるのが未熟な新兵になってしまい。補給も途絶え戦闘機も満足に飛べない、なんて状況に追い込まれて。ついに、プレイヤーの手で全滅させられてしまうのです。
敵国の首都を攻める決戦で、もう敗北は避けようが無いのに立ち向かってくる黄色中隊の戦闘機は。太平洋戦争の特攻隊のような悲壮感があります。
それで、なんでその部隊の名が「黄色」なんだ? って考えてしまいます。黄色って、あんまりかっこいいイメージでは使われません。黄色人種をバカにする差別用語でもあるし、隠語で「憶病」って意味もあります。
「13」は常に5機で飛びますが。最後の決戦以外では戦闘中、一機でもダメージを受けるとその部下が撃墜されないように、部下全機をまとめて高速で戦場から撤退してしまうのです。戦闘を放棄してですよ。
でも、だからって一方的に負けるのではなく、そうなる前にはそうとう暴れ回っているから、プレイヤーの方の味方は大損害を受けているのです。でもひょっとしたら、敵軍内部では13は敵前逃亡者としてニラまれているのかもしれませんね。あくまで仲間思いだから。だから「黄色中隊」なのかな、なんて。
だれだって憶病ものに思われるのは嫌ですが、こんな憶病者にだったらなってみたい。
ちなみに「撃墜数より部下の命を最優先する」パイロットのモデルは、おそらく日本の生き残ったゼロ戦の撃墜王坂井三郎でしょう。わたしは彼が亡くなった時の新聞訃報記事を切りぬいて、彼の著作ノンフィクション「大空のサムライ」に挟んであります(2000/9/22没)。彼と同じ時間を過去生きていたこと、彼がゼロ戦乗りとして現役だった年齢を自分は超してしまったということは感慨深いです。
彼も二十一世紀が見たかったでしょうね。戦争を美化したりましてや賛美したりするつもりはありませんが、愚かな戦争と呼ばれた時代に生き、決して無駄死にをしたのではないはずの、当時の世界すべての兵士たちの命に代えて……
了