(R15指定です。初めにお断りしますが、この物語には不適切な表現が多々描かれています。分別とご理解のある方だけ読まれてください。通報はしないでくださいね)
「泰雄ちゃん~!」千秋は頼りない悲鳴を上げた。俺に縋りつく。
おお! 下半身が熱く反応するぜ。しかしはっと気づいた。「魔法陣を忘れていた! これでは悪魔を制御できない」
千秋は至近距離からなぜか俺をまじまじと見つめていた。ほおを染めおずおずと話す。「泰雄、あなた……」
「おまえ裸眼だったのか。たしか視力悪いのだよな」
「コンタクトは目に悪いもの。泰雄、あなたイケメンだったのね」
「いまごろ気付いたのか……ふぐっ!!!」千秋は信じられない力で、俺の胸を殴った! 心臓が破裂するかと思った。なんで?
「私中学でいじめられていたの。バカデブスがあだ名だったわ。拒食症になって痩せたけど……そうしたら高校ではとたんに美少女扱いされて、軽薄な男どもが群がるようになったわ。ルックスだけの低能なんて最低! 大嫌い!」
「俺は千秋のことを、ほんとうに愛しているんだ! きみのためなら死ねる」
「出会って二時間もしないのにありがとう、でも後始末は? 奈落の門を開いて悪魔怪物徘徊させて」
「こうなったらとことんやってやる!」
「手があるんだ! どうするの、泰雄」
「某大国の国防総省へ潜入して、開発されている白兵戦用パワードスーツを強奪する。一体コスト百万ドル、開発費十億ドルの代物だ。それなら悪魔怪獣化け物相手に戦える! 機動歩兵ビバ、ハインライン! 永久に栄光みつる歩兵よ、その名を輝かしめよ」
「泰雄、壊れてない? 頭大丈夫?」
「俺はいつだって真面目だよ、のわはははははは!」
「真面目に言っているとしたらとんだパラノイアよ」
「パラノイア上等! 地上の戦士、フリーダム・ナックルファイター突貫します! 機動戦士俺様! 負ける気がしねぇ!」
「落ち着いて! あなた錯乱しているわよ明らかに」
「走れ、黒塗りカー、帝国○翼団! 走れ、鋼鉄都市、巨匠アジモフ氏! 自由な世界へ、何だって思いのままさ。ビバデモクラシー! でも暮らし。ビバペレストロイカ! 走れトロいカー! あはははははっ! さあ千秋、渡米するぜ、いざペンタ・ゴンタくんへ! 日本ヒッキー協会教育万歳!」
「でもどうやって渡米するつもり? パラノイアには、パスポート降りないと思うわ」
「パラノイアがどうした! 簡単さ。さっきのドラゴンに乗って太平洋を渡るだけのこと」
「泰雄、しっかりして。もう下僕なんて呼んであげないから……」
「ありがとう我が姫、千秋プリンセス。ジークライヒ! ジークハイル! ファシストに選民思想! まずは千秋葉原へGO!」
「秋葉? あんなとこいってどうするの? 萌の街よ」
「タクの武装を整えるには、世界には秋葉しかない!」
「なんてこと! ああ、神よ。私は背きました。どうかご容赦を」千秋は両手を組み祈っている。
俺は敢然と言い放った。「なにを言っている、神に与えられし正当な任務だ」
「国防省施設なんかに乗り込んだら、裁判もなく即銃殺ものよ」
訴える千秋に、俺は愉快に歌っていた。「♪ ひとは誰でも死に場所探す旅人のようなもの~死亡の墓に星になるまで……」
ここで、闇がうねり黒い影がさっと舞い降りた。さっきのドラゴン?! 体長五メートルくらいある。
「きゃあ! どうするの泰雄?!」悲鳴を上げる千秋。
俺はドラゴンに向かって行った。「闘って勝つ! やらせはせんぞ、貴様ごとき化け物などに、この俺の栄光はやらせはせん! 俺が千秋とやる前には、やらせはせんぞ!」
ヲタというか馬鹿全開で突撃する俺。ドズル・ザビかよ! はは、認めたくないものだな、己の若さゆえの過ちには。
しかしドラゴンは、俺に向かい頭と翼を下げ伏せしていた。
「わたしは飛竜ニードル」ドラゴンは俺に話し掛けていた。「わたしを倒した力量の前に閣下に仕えます。信頼と代償に忠誠を。マイ・マスター、泰雄さま」
あん? このドラゴンがしもべになるって?「聞いたか、千秋。さっそくゴンタくんへゴーだ!」
「いやあぁあああ!!」この期に及んで絶叫する千秋だった。
「なにをいまさら、失うものなんかねえよ。戦って勝ち取るのみ!」
「パラノイア、泰雄さようなら。一人で行ってね」
「ええとゴンタくんといえば日本ヒッキー協会教育……あれ? その前に秋葉へ行くんだっけ? ん? 千秋とイクんだっけ。ではホテルへ……」
俺の両ほおに、千秋の往復ビンタが炸裂した。マジ痛いんだけど、ここは拉致るぞ(←犯罪です、真似したら厳罰を受けます)。もがく千秋をお姫様抱っこ。悲鳴を上げる千秋だが、もはや周辺に人はいない。
「そんなことより」ニードルはあくまで冷静に語る。「ミスキャンパスですか、石橋小百合。彼女悪魔に攫われていきましたよ。他の学生や職員もきれいどころがそっくりと……構内は全壊も良いところですし」
「なら仕方ない」
「助けに向かわれるのですね」
「無実の罪の借金返さずに済むな」
「は? 有罪確定の罪はいかがされるのです?」
「無実と有罪、差し引いてチャラだ。さあニードル、俺たちを乗せて飛んでくれ。ハネムーン旅行だ!」
「閣下ほど珍しいマスターがいらっしゃるとは」
「嫌あ! やめて変態!」千秋は絶叫していた。ドラゴンニードルに歩み寄る俺の腕からもがき、足でニードルの鼻を蹴り飛ばしていた。
ニードルは叫び声を上げるや、様子が変わった。「なんという強烈な打撃……わたしの真に仕えるべきは貴女です。マイ・レディ、なんなりとご命令ください」
「ドラちゃん、だったらこんな」と俺を指す千秋。「ケダモノ始末してよ!」
「了解しました、マイ・レディ」
ニードルは凄まじい速度で俺の頭目掛け首を伸ばした。そして……なにもかも消え失せた。
悪は滅んだ。ええっ!
俺は激痛の中、なにも見えない暗闇をさ迷っていた。「痛えよう!! ここはどこだ?」
「地獄よ、もちろん。罪を犯して死んだのだもの」千秋の声。
「助けてくれ! 罪っていっても未遂だろ、痛え! なんとかしてくれ」
「刑法によると未遂でも既遂と同じ罰受けるのよ。地獄も寂しくなったわね、悪魔が一匹もいないし……誰かさんのせいで」
「俺はチェリーのまま死んだのか?」
「そんな秘密明かさないでいいのに」
「千秋と天国に行きたかったのに! 生き返らせてくれ、そしていざホテルへ……」
「あいにくと私には好きな人がいるのよ、ごめんね。まあ生き返らせてはあげるわ」
俺は廃墟と化した大学にたたずんでいた。頭を食べられたはずなのに、元通りもう苦痛もない。「う……あ、ありがとう。ところで好きな人ってそいつは俺よりいい男か?」
「もちろん。乱取りの化け物とされる柔道の天才次元万作(じげん ばんさく)、通称『時雨(しぐれ)』さま。私に携帯灰皿くれた方よ」
しぐれ……次元万作? 俺の高校の先輩じゃないか! あのチビデブのマンチキンに恋? まあ過去千秋が太っていたなら不思議はないか。
次元先輩は柔道の達人だ。四段だが、それは高校一年での話。以後先輩は昇級試合をしていない。あいつは手段を選ばないから、国体級の七段、無差別級の五段の敵にも勝てるといううわさだ。たかだか空手初段の俺に敵う相手ではない。
ドラゴン、ニードルが千秋に話しかけてきた。「マイ・レディ、これからどうされます?」
「悪魔退治に行くわ、もちろん。倒した敵はみんな味方となる。私の帝国を作るのよ!」
俺はうめいた。
「泰雄ちゃん~!」千秋は頼りない悲鳴を上げた。俺に縋りつく。
おお! 下半身が熱く反応するぜ。しかしはっと気づいた。「魔法陣を忘れていた! これでは悪魔を制御できない」
千秋は至近距離からなぜか俺をまじまじと見つめていた。ほおを染めおずおずと話す。「泰雄、あなた……」
「おまえ裸眼だったのか。たしか視力悪いのだよな」
「コンタクトは目に悪いもの。泰雄、あなたイケメンだったのね」
「いまごろ気付いたのか……ふぐっ!!!」千秋は信じられない力で、俺の胸を殴った! 心臓が破裂するかと思った。なんで?
「私中学でいじめられていたの。バカデブスがあだ名だったわ。拒食症になって痩せたけど……そうしたら高校ではとたんに美少女扱いされて、軽薄な男どもが群がるようになったわ。ルックスだけの低能なんて最低! 大嫌い!」
「俺は千秋のことを、ほんとうに愛しているんだ! きみのためなら死ねる」
「出会って二時間もしないのにありがとう、でも後始末は? 奈落の門を開いて悪魔怪物徘徊させて」
「こうなったらとことんやってやる!」
「手があるんだ! どうするの、泰雄」
「某大国の国防総省へ潜入して、開発されている白兵戦用パワードスーツを強奪する。一体コスト百万ドル、開発費十億ドルの代物だ。それなら悪魔怪獣化け物相手に戦える! 機動歩兵ビバ、ハインライン! 永久に栄光みつる歩兵よ、その名を輝かしめよ」
「泰雄、壊れてない? 頭大丈夫?」
「俺はいつだって真面目だよ、のわはははははは!」
「真面目に言っているとしたらとんだパラノイアよ」
「パラノイア上等! 地上の戦士、フリーダム・ナックルファイター突貫します! 機動戦士俺様! 負ける気がしねぇ!」
「落ち着いて! あなた錯乱しているわよ明らかに」
「走れ、黒塗りカー、帝国○翼団! 走れ、鋼鉄都市、巨匠アジモフ氏! 自由な世界へ、何だって思いのままさ。ビバデモクラシー! でも暮らし。ビバペレストロイカ! 走れトロいカー! あはははははっ! さあ千秋、渡米するぜ、いざペンタ・ゴンタくんへ! 日本ヒッキー協会教育万歳!」
「でもどうやって渡米するつもり? パラノイアには、パスポート降りないと思うわ」
「パラノイアがどうした! 簡単さ。さっきのドラゴンに乗って太平洋を渡るだけのこと」
「泰雄、しっかりして。もう下僕なんて呼んであげないから……」
「ありがとう我が姫、千秋プリンセス。ジークライヒ! ジークハイル! ファシストに選民思想! まずは千秋葉原へGO!」
「秋葉? あんなとこいってどうするの? 萌の街よ」
「タクの武装を整えるには、世界には秋葉しかない!」
「なんてこと! ああ、神よ。私は背きました。どうかご容赦を」千秋は両手を組み祈っている。
俺は敢然と言い放った。「なにを言っている、神に与えられし正当な任務だ」
「国防省施設なんかに乗り込んだら、裁判もなく即銃殺ものよ」
訴える千秋に、俺は愉快に歌っていた。「♪ ひとは誰でも死に場所探す旅人のようなもの~死亡の墓に星になるまで……」
ここで、闇がうねり黒い影がさっと舞い降りた。さっきのドラゴン?! 体長五メートルくらいある。
「きゃあ! どうするの泰雄?!」悲鳴を上げる千秋。
俺はドラゴンに向かって行った。「闘って勝つ! やらせはせんぞ、貴様ごとき化け物などに、この俺の栄光はやらせはせん! 俺が千秋とやる前には、やらせはせんぞ!」
ヲタというか馬鹿全開で突撃する俺。ドズル・ザビかよ! はは、認めたくないものだな、己の若さゆえの過ちには。
しかしドラゴンは、俺に向かい頭と翼を下げ伏せしていた。
「わたしは飛竜ニードル」ドラゴンは俺に話し掛けていた。「わたしを倒した力量の前に閣下に仕えます。信頼と代償に忠誠を。マイ・マスター、泰雄さま」
あん? このドラゴンがしもべになるって?「聞いたか、千秋。さっそくゴンタくんへゴーだ!」
「いやあぁあああ!!」この期に及んで絶叫する千秋だった。
「なにをいまさら、失うものなんかねえよ。戦って勝ち取るのみ!」
「パラノイア、泰雄さようなら。一人で行ってね」
「ええとゴンタくんといえば日本ヒッキー協会教育……あれ? その前に秋葉へ行くんだっけ? ん? 千秋とイクんだっけ。ではホテルへ……」
俺の両ほおに、千秋の往復ビンタが炸裂した。マジ痛いんだけど、ここは拉致るぞ(←犯罪です、真似したら厳罰を受けます)。もがく千秋をお姫様抱っこ。悲鳴を上げる千秋だが、もはや周辺に人はいない。
「そんなことより」ニードルはあくまで冷静に語る。「ミスキャンパスですか、石橋小百合。彼女悪魔に攫われていきましたよ。他の学生や職員もきれいどころがそっくりと……構内は全壊も良いところですし」
「なら仕方ない」
「助けに向かわれるのですね」
「無実の罪の借金返さずに済むな」
「は? 有罪確定の罪はいかがされるのです?」
「無実と有罪、差し引いてチャラだ。さあニードル、俺たちを乗せて飛んでくれ。ハネムーン旅行だ!」
「閣下ほど珍しいマスターがいらっしゃるとは」
「嫌あ! やめて変態!」千秋は絶叫していた。ドラゴンニードルに歩み寄る俺の腕からもがき、足でニードルの鼻を蹴り飛ばしていた。
ニードルは叫び声を上げるや、様子が変わった。「なんという強烈な打撃……わたしの真に仕えるべきは貴女です。マイ・レディ、なんなりとご命令ください」
「ドラちゃん、だったらこんな」と俺を指す千秋。「ケダモノ始末してよ!」
「了解しました、マイ・レディ」
ニードルは凄まじい速度で俺の頭目掛け首を伸ばした。そして……なにもかも消え失せた。
悪は滅んだ。ええっ!
俺は激痛の中、なにも見えない暗闇をさ迷っていた。「痛えよう!! ここはどこだ?」
「地獄よ、もちろん。罪を犯して死んだのだもの」千秋の声。
「助けてくれ! 罪っていっても未遂だろ、痛え! なんとかしてくれ」
「刑法によると未遂でも既遂と同じ罰受けるのよ。地獄も寂しくなったわね、悪魔が一匹もいないし……誰かさんのせいで」
「俺はチェリーのまま死んだのか?」
「そんな秘密明かさないでいいのに」
「千秋と天国に行きたかったのに! 生き返らせてくれ、そしていざホテルへ……」
「あいにくと私には好きな人がいるのよ、ごめんね。まあ生き返らせてはあげるわ」
俺は廃墟と化した大学にたたずんでいた。頭を食べられたはずなのに、元通りもう苦痛もない。「う……あ、ありがとう。ところで好きな人ってそいつは俺よりいい男か?」
「もちろん。乱取りの化け物とされる柔道の天才次元万作(じげん ばんさく)、通称『時雨(しぐれ)』さま。私に携帯灰皿くれた方よ」
しぐれ……次元万作? 俺の高校の先輩じゃないか! あのチビデブのマンチキンに恋? まあ過去千秋が太っていたなら不思議はないか。
次元先輩は柔道の達人だ。四段だが、それは高校一年での話。以後先輩は昇級試合をしていない。あいつは手段を選ばないから、国体級の七段、無差別級の五段の敵にも勝てるといううわさだ。たかだか空手初段の俺に敵う相手ではない。
ドラゴン、ニードルが千秋に話しかけてきた。「マイ・レディ、これからどうされます?」
「悪魔退治に行くわ、もちろん。倒した敵はみんな味方となる。私の帝国を作るのよ!」
俺はうめいた。