それはいつかの時代、誰かがどこかで見た世界。世界の東の最果てにあるちっぽけな島国の物語。
永久の紡ぐ時の中、人は大地を駆け海に挑み遠き空に想い馳せる……。
戦争は続いていた。人間の国、自由自治権都市同盟に対する悪鬼、亜人の国シント立憲君主共和国。戦力比では、都市同盟が有利なはずなのだが……。
晴天の晩秋の夕刻、同盟都市アルセイデスの場末の酒場にて。煙草を吸い紫煙を燻らす長身の男と、強烈な火酒のグラスを傾ける小柄な男。二人とも簡素な衣装だが、首に下げているのは交易証と通行証だ。
煙草を吸う涼平「竜騎兵辺境方面軍、最前線の『狂戦士連隊』か。最近うわさが華々しいが」
火酒を飲む直人「連隊長『撃墜王』ダグア卿の実績と人望は絶大だ。無冠の帝王、空の貴公子」
涼平「『英雄』か。連隊長でありながら必ず最前線で戦うとか。それがソードケイン卿ダグア。この地に残った最後の撃墜王」
直人「もっとも、三人いた撃墜王の中では小物とされる。一騎の竜騎兵として強いだけ」
涼平「どこが悪い? 一戦士としての能力がなければ、兵は心服しない。前線で戦えないような将に、兵は付いて来ないぞ」
直人「強いだけじゃ戦えないことくらい、知っているはず」
涼平「英雄騎士の猛将ファルシオンに、知勇兼備の参謀レイピアか。たしかにダグアは将としての指揮能力も、参謀としての作戦立案能力もないらしいが」
直人「二人の有能な撃墜王をよりによって味方同士の決闘で失った。は、馬鹿な話だ」
涼平「戦士は不器用な生き方しかできないものさ」
直人「そうさ、おまえは戦士だよ。おれなんかとは違ってね」
涼平「褒めているのか、自嘲しているのか。だが俺たちはどのみち竜騎兵ではない」
直人「そうだな。次の航海は?」
涼平「食料品、医薬品、衣類等に戦地貨幣の補給物資を件の辺境の狂戦士連隊に運ぶ。帰路は戦傷者を後送する。俺たちの商船、『サイの目』号には適している」
『サイの目』号。これがパーティー一行の船だった。船員五十余名乗りの木造中型高速帆船。大砲のような武装こそないものの、航海士たちは歴戦の猛者だ。平の水夫だってみな命知らずの荒くれだ。
航海士は涼平、直人、真理、逢香、魔言、時雨。
直人「よりによって最前線行きかよ。これでは悪鬼の竜騎兵に襲われたら、ひとたまりもないな」
涼平「連隊輜重担当のフェイク大隊長が送迎護衛してくれる手はずだ。さほどは前線まで近づかないで済む」
直人「港も使わず、海上でドラゴン相手に物資の積み下ろしか。まあ港を作れないのは仕方無いが。そんな拠点作ったら真っ先に攻略目標にされる」
涼平「だな。それより、真理遅いな。商談に失敗したのかな? 彼女にしては珍しく」
直人「真理煙草に酒嫌いだからな。酒は勝手に飲む分はいいが煙はそうはいかないし」
ここで酒場の扉が勢いよく開き、長身の女性が入ってきた。
逢香「直人、涼平! わたしたちの船、サイの目号が海賊に乗っ取られたわよ! 積荷資金根こそぎ奪われて。真理、魔言、時雨が人質にされたわ」
直人「なんだと! 真理を傷つける奴は、俺は許さない。この世のあらゆる痛み苦しみ、苦痛という苦痛を味あわせて殺してやるぞ!」
涼平「魔言の坊やはなにをしていた!? 監視兼測量要員だぞ」
逢香「涼平は船長兼操舵士でしょう。直人は砲雷士兼航法士、真理は主計官兼外交員。水夫を仕切る張帆兼甲板要員のわたしと時雨がいちばん悪いわね」
直人「おれたちは全員戦闘要員さ。責任のなすりつけをしても意味はない。とっとと船奪還に向かうぞ!」
アルセイデスの港、民間商船係留場所……
涼平「俺たちの船はどこへ向かっただろうな」
直人「他の船を借りて、追い掛けるにも困る」
逢香「進んでそんな危険な航海する船長、いると思う? 第一、サイの目号は船足が速い。追いかけても間に合わないわよ」
涼平「ならば陸路で海賊が寄港しそうな街へ行き、待ち伏せするか」
直人「正論ではあるが、おれたちの手勢だけではとても手が回らない。司法当局に被害届けを出した方がマシだな」
逢香「そんな届け出、とっくにしたわよ。効果あるとも思えなかったけど」
思いもかけずここで、数名の文官を連れた板金鎧の武官の中年男が近づいてきた。
中年オヤジ「わしは騎士ブラジオンだ。アルセイデス女太守シャムシール卿フレイル閣下からの伝令を貴君らに運んで来た」
涼平「太守閣下直々の伝令?」
ブラジオン「諸君らにアルセイデス警備軍飛行隊所属飛竜と通話機『耳』を人数分貸し与えるものである。無償だ。シャムシール卿特別の御裁可だ」
涼平「願ってもない! 太守閣下にはよろしくお伝えください。感謝します」
直人「戦力たっておれたちは三人、たった飛竜三騎か。機動性に優れるニードル、防御力の高いハーケン、速度にすべてを賭けるスレッジ」
逢香「ぼやかないの、一竜騎兵の戦力は千兵に匹敵する。乗り込むわよ」
三人は各々の飛竜の背の鞍に乗り込み、ベルトで固定した。飛竜に命じる。
逢香「行きましょう、ニードル、飛翔!」
涼平「戦い抜くのみ、ハーケン、飛翔!」
直人「もう自棄だね、スレッジ、飛翔!」
逢香「空は視界が広いわね、もっと高空へ昇りましょうか。それから一時散開して索敵を……」
直人「いや、北方を見ろ、あんなところにいるぞ! 飛竜なら数分で追いつける。間違いなくサイの目号だ……しかも竜騎兵と戦っている! あれはまさか悪鬼の竜騎兵ではないか?! 八騎いるが」
涼平「確認した、間違いなく悪鬼だ。何故こんな同盟都市至近に接近を許した! すると悪鬼にも母艦にできる海軍戦力があったのか」
逢香「サイの目号は弓矢で応戦しているわね……海賊に乗っ取られたとあっても、水夫は変わらない猛者揃いね。ここは救援に向かうべき?」
涼平「無論だ。人質に仲間三人捕られているんだぞ!」
直人「こう言う落ちかよ、上手い話には裏があるな。戦力の無償提供どころか、こっちが報酬貰いたいね」
涼平「敵竜騎兵は数は多いが、俺たちに気付いていない上、海面すれすれと高度・速度とも不利な体勢にある。ここは急降下突撃して一気に仕留めるぜ! 異論は無いな?」
直人「賛成!」
逢香「了解!」
涼平「一撃後はそのまま急速離脱するから、俺は最後尾を守る。直人、先陣は任せた!」
直人「突貫する、続け!」
直人はあっさりと一騎墜とし、離脱再上昇に移った。逢香も攻撃し、撃墜には至らなかったものの三騎を負傷させ機動性を生かし急旋回した。涼平は傷ついた二騎を仕留め、高度を上げないまま直線飛行し、オトリ役を務めた。
涼平「これで三対五! 悪鬼のドラちゃん、俺を追ってくるな! はは、ついてこい」
涼平を追う五騎を、直人と逢香は高空と背後から強襲した。まったく危険のないターキーハント。仲良く一騎ずつ撃墜し、三対三となった。こうなれば好きなように料理できる。
なんといっても、敵は高度も速度も無い無防備な態勢にあるのだ。いまさら反撃することも逃げることもできない。
涼平は悪鬼相手に『耳』で降伏勧告を告げた。残った悪鬼は承諾し、着水した。撃墜された悪鬼にも、落下傘脱出したものが多いはずだ。
と、ここで思わぬ通信が入った。
魔言「よくやった、ありがとう」
涼平「魔言、無事だったのか! どうやって助かった?」
魔言「もともと海賊なんていなかったのさ、策略だ。こうでもしなければ、都市の連中竜騎兵隊なんか動かしてくれなかったろうからな。真理と時雨も無事だぞ」
涼平「魔言の自作自演だったのか!? たしかに時雨が捕虜になるなんておかしいとは思ったが……」
逢香「魔言ちゃん、わたしにも秘密にするなんて!」
魔言「敵を騙すにはまず味方からさ。では総力で敵母船を拿捕する」
直人「金蔓だ!」
魔言「サイの目号を急行させ、接弦白兵戦闘を挑む。竜騎兵隊、援護を!」
飛行戦力を失った悪鬼の母艦は、サイの目号よりはるかに大きかったが逃げようとしていた。船足は遅く接弦に成功した。
怪物染みた時雨の独壇場だった。加えて三騎の竜騎兵を前に悪鬼たちは降伏した。時雨が素手で戦ったため、犠牲者は一連を通しても少なかった。
敵船の拿捕と飛竜三騎の鹵獲、大戦果だ。
時雨「僕たちが勝って終わるなんて、珍しくない?」
魔言「なにを言うんだ、『籠の鳥』は常勝不敗だろ」
時雨「そうかなあ……気のせいかなぁ」
涼平「では本来の任務に戻ろう。補給物資を前線へ送るぞ。悪鬼……亜人たちは武装解除したことだし、逃してやろうか」
真理「負傷者の介護手当て手伝って。敵味方問わず救えるだけ助けるわよ」
結局この夜は降伏した亜人を手厚くもてなし、食事と酒に煙草を与えささやかな懇親会となった。いずれ戦争の終わる日を夢見て。
(終)
永久の紡ぐ時の中、人は大地を駆け海に挑み遠き空に想い馳せる……。
戦争は続いていた。人間の国、自由自治権都市同盟に対する悪鬼、亜人の国シント立憲君主共和国。戦力比では、都市同盟が有利なはずなのだが……。
晴天の晩秋の夕刻、同盟都市アルセイデスの場末の酒場にて。煙草を吸い紫煙を燻らす長身の男と、強烈な火酒のグラスを傾ける小柄な男。二人とも簡素な衣装だが、首に下げているのは交易証と通行証だ。
煙草を吸う涼平「竜騎兵辺境方面軍、最前線の『狂戦士連隊』か。最近うわさが華々しいが」
火酒を飲む直人「連隊長『撃墜王』ダグア卿の実績と人望は絶大だ。無冠の帝王、空の貴公子」
涼平「『英雄』か。連隊長でありながら必ず最前線で戦うとか。それがソードケイン卿ダグア。この地に残った最後の撃墜王」
直人「もっとも、三人いた撃墜王の中では小物とされる。一騎の竜騎兵として強いだけ」
涼平「どこが悪い? 一戦士としての能力がなければ、兵は心服しない。前線で戦えないような将に、兵は付いて来ないぞ」
直人「強いだけじゃ戦えないことくらい、知っているはず」
涼平「英雄騎士の猛将ファルシオンに、知勇兼備の参謀レイピアか。たしかにダグアは将としての指揮能力も、参謀としての作戦立案能力もないらしいが」
直人「二人の有能な撃墜王をよりによって味方同士の決闘で失った。は、馬鹿な話だ」
涼平「戦士は不器用な生き方しかできないものさ」
直人「そうさ、おまえは戦士だよ。おれなんかとは違ってね」
涼平「褒めているのか、自嘲しているのか。だが俺たちはどのみち竜騎兵ではない」
直人「そうだな。次の航海は?」
涼平「食料品、医薬品、衣類等に戦地貨幣の補給物資を件の辺境の狂戦士連隊に運ぶ。帰路は戦傷者を後送する。俺たちの商船、『サイの目』号には適している」
『サイの目』号。これがパーティー一行の船だった。船員五十余名乗りの木造中型高速帆船。大砲のような武装こそないものの、航海士たちは歴戦の猛者だ。平の水夫だってみな命知らずの荒くれだ。
航海士は涼平、直人、真理、逢香、魔言、時雨。
直人「よりによって最前線行きかよ。これでは悪鬼の竜騎兵に襲われたら、ひとたまりもないな」
涼平「連隊輜重担当のフェイク大隊長が送迎護衛してくれる手はずだ。さほどは前線まで近づかないで済む」
直人「港も使わず、海上でドラゴン相手に物資の積み下ろしか。まあ港を作れないのは仕方無いが。そんな拠点作ったら真っ先に攻略目標にされる」
涼平「だな。それより、真理遅いな。商談に失敗したのかな? 彼女にしては珍しく」
直人「真理煙草に酒嫌いだからな。酒は勝手に飲む分はいいが煙はそうはいかないし」
ここで酒場の扉が勢いよく開き、長身の女性が入ってきた。
逢香「直人、涼平! わたしたちの船、サイの目号が海賊に乗っ取られたわよ! 積荷資金根こそぎ奪われて。真理、魔言、時雨が人質にされたわ」
直人「なんだと! 真理を傷つける奴は、俺は許さない。この世のあらゆる痛み苦しみ、苦痛という苦痛を味あわせて殺してやるぞ!」
涼平「魔言の坊やはなにをしていた!? 監視兼測量要員だぞ」
逢香「涼平は船長兼操舵士でしょう。直人は砲雷士兼航法士、真理は主計官兼外交員。水夫を仕切る張帆兼甲板要員のわたしと時雨がいちばん悪いわね」
直人「おれたちは全員戦闘要員さ。責任のなすりつけをしても意味はない。とっとと船奪還に向かうぞ!」
アルセイデスの港、民間商船係留場所……
涼平「俺たちの船はどこへ向かっただろうな」
直人「他の船を借りて、追い掛けるにも困る」
逢香「進んでそんな危険な航海する船長、いると思う? 第一、サイの目号は船足が速い。追いかけても間に合わないわよ」
涼平「ならば陸路で海賊が寄港しそうな街へ行き、待ち伏せするか」
直人「正論ではあるが、おれたちの手勢だけではとても手が回らない。司法当局に被害届けを出した方がマシだな」
逢香「そんな届け出、とっくにしたわよ。効果あるとも思えなかったけど」
思いもかけずここで、数名の文官を連れた板金鎧の武官の中年男が近づいてきた。
中年オヤジ「わしは騎士ブラジオンだ。アルセイデス女太守シャムシール卿フレイル閣下からの伝令を貴君らに運んで来た」
涼平「太守閣下直々の伝令?」
ブラジオン「諸君らにアルセイデス警備軍飛行隊所属飛竜と通話機『耳』を人数分貸し与えるものである。無償だ。シャムシール卿特別の御裁可だ」
涼平「願ってもない! 太守閣下にはよろしくお伝えください。感謝します」
直人「戦力たっておれたちは三人、たった飛竜三騎か。機動性に優れるニードル、防御力の高いハーケン、速度にすべてを賭けるスレッジ」
逢香「ぼやかないの、一竜騎兵の戦力は千兵に匹敵する。乗り込むわよ」
三人は各々の飛竜の背の鞍に乗り込み、ベルトで固定した。飛竜に命じる。
逢香「行きましょう、ニードル、飛翔!」
涼平「戦い抜くのみ、ハーケン、飛翔!」
直人「もう自棄だね、スレッジ、飛翔!」
逢香「空は視界が広いわね、もっと高空へ昇りましょうか。それから一時散開して索敵を……」
直人「いや、北方を見ろ、あんなところにいるぞ! 飛竜なら数分で追いつける。間違いなくサイの目号だ……しかも竜騎兵と戦っている! あれはまさか悪鬼の竜騎兵ではないか?! 八騎いるが」
涼平「確認した、間違いなく悪鬼だ。何故こんな同盟都市至近に接近を許した! すると悪鬼にも母艦にできる海軍戦力があったのか」
逢香「サイの目号は弓矢で応戦しているわね……海賊に乗っ取られたとあっても、水夫は変わらない猛者揃いね。ここは救援に向かうべき?」
涼平「無論だ。人質に仲間三人捕られているんだぞ!」
直人「こう言う落ちかよ、上手い話には裏があるな。戦力の無償提供どころか、こっちが報酬貰いたいね」
涼平「敵竜騎兵は数は多いが、俺たちに気付いていない上、海面すれすれと高度・速度とも不利な体勢にある。ここは急降下突撃して一気に仕留めるぜ! 異論は無いな?」
直人「賛成!」
逢香「了解!」
涼平「一撃後はそのまま急速離脱するから、俺は最後尾を守る。直人、先陣は任せた!」
直人「突貫する、続け!」
直人はあっさりと一騎墜とし、離脱再上昇に移った。逢香も攻撃し、撃墜には至らなかったものの三騎を負傷させ機動性を生かし急旋回した。涼平は傷ついた二騎を仕留め、高度を上げないまま直線飛行し、オトリ役を務めた。
涼平「これで三対五! 悪鬼のドラちゃん、俺を追ってくるな! はは、ついてこい」
涼平を追う五騎を、直人と逢香は高空と背後から強襲した。まったく危険のないターキーハント。仲良く一騎ずつ撃墜し、三対三となった。こうなれば好きなように料理できる。
なんといっても、敵は高度も速度も無い無防備な態勢にあるのだ。いまさら反撃することも逃げることもできない。
涼平は悪鬼相手に『耳』で降伏勧告を告げた。残った悪鬼は承諾し、着水した。撃墜された悪鬼にも、落下傘脱出したものが多いはずだ。
と、ここで思わぬ通信が入った。
魔言「よくやった、ありがとう」
涼平「魔言、無事だったのか! どうやって助かった?」
魔言「もともと海賊なんていなかったのさ、策略だ。こうでもしなければ、都市の連中竜騎兵隊なんか動かしてくれなかったろうからな。真理と時雨も無事だぞ」
涼平「魔言の自作自演だったのか!? たしかに時雨が捕虜になるなんておかしいとは思ったが……」
逢香「魔言ちゃん、わたしにも秘密にするなんて!」
魔言「敵を騙すにはまず味方からさ。では総力で敵母船を拿捕する」
直人「金蔓だ!」
魔言「サイの目号を急行させ、接弦白兵戦闘を挑む。竜騎兵隊、援護を!」
飛行戦力を失った悪鬼の母艦は、サイの目号よりはるかに大きかったが逃げようとしていた。船足は遅く接弦に成功した。
怪物染みた時雨の独壇場だった。加えて三騎の竜騎兵を前に悪鬼たちは降伏した。時雨が素手で戦ったため、犠牲者は一連を通しても少なかった。
敵船の拿捕と飛竜三騎の鹵獲、大戦果だ。
時雨「僕たちが勝って終わるなんて、珍しくない?」
魔言「なにを言うんだ、『籠の鳥』は常勝不敗だろ」
時雨「そうかなあ……気のせいかなぁ」
涼平「では本来の任務に戻ろう。補給物資を前線へ送るぞ。悪鬼……亜人たちは武装解除したことだし、逃してやろうか」
真理「負傷者の介護手当て手伝って。敵味方問わず救えるだけ助けるわよ」
結局この夜は降伏した亜人を手厚くもてなし、食事と酒に煙草を与えささやかな懇親会となった。いずれ戦争の終わる日を夢見て。
(終)