夕刻。秘密結社ジェイルバードのアジトに集うは、直人、一典、逢香の三人だ。と、直人の携帯から着信音が響いた。
電話を取る直人「涼平、準備はいいか?」
涼平(OK。今日は飲みまくろうぜい)
直人「今日は、じゃなくて今日も、だろ」
涼平(それは直人だけだ。このアル中患者。肝硬変になったら、一典に食べられちゃうよ。フォアグラとかいって)
直人「わははは。一典食べるんだろうなあ」
涼平(前、一典の家に遊びに行ったとき、夕食をご馳走になったんだけど。そのとき、一典の母親に言われたよ。{これは、一典の分を二人で分けたのよ~~っ}て。それでも俺、食べ切れなかったのに)
直人「それはすごいなあ」
涼平(一典はキメラだからね。頭は人間、身体は熊。実際あいつはクマゴロウだし)
直人「クマゴロウ?」
涼平(博打の玄人のこと。あいつと博打しちゃだめだよ。特に麻雀はいけない。なんでもありだから。元禄積み、爆弾、吊り、ぶっこ抜き、エレベーター……。それにいろいろな意味でバイニンだからね、気をつけな。じゃあ、いつもの飲み屋で)
直人「わかった。じゃあな」
一典「直人さん、時間かな?」
直人「ああ。そろそろ行こうぜ」
一典「涼平さんに特製煙草を。これを喫うと副腎髄質を刺激して、どばどばアドレナリンを分泌するんだよ。短時間、通常の二倍近い力が出せる」
逢香「そんな危ないアイテム、使っちゃだめよ」
直人「涼平、中学ではよく喫煙で補導されていたもんな。あのニコチン大王。前科者め」
逢香「未成年が酒・煙草をするのは、禁止されてはいるけど、別に罪にはならないわ。法律は厳格だけど、ある程度寛容で融通も効くの。例えば、他人の庭先の花を一本折って拝借しても、窃盗の罪には問われない。軽微な犯罪として、許容されるのよ。もっとも他人の敷地に入れば不法侵入だけど」
直人「そうなんだ。でも中高生で煙草吸って警官に補導されるようなやつは、間抜けだよね。煙草だから一発でバレるんだ。酒にしろ! ジュースのビンに移し替えて置けば、学校内だろうが登下校中だろうが誰も気付かないぞ」
逢香「止めた方がいいわよ、一典くん。直人みたいになりたくなければ」
直人「でも涼平も呑むんだよね~」
逢香「酒だって麻薬の一種なんだから」
直人「酒が禁止されてないのは、ワインを許容するキリスト教圏が世界を支配した結果にすぎない……」
逢香「あらゆる文明圏内で、酒は独自に発明され飲まれていたわ。酒は宗教とともにあった。お神酒ね。歴史的には酒は宗教の儀式としての祭りで、人と神とが契る媒介物だった。日常生活では不要だったのよ。今でこそアル中は多いけど、それは酒が日常化したためと、強い蒸留酒が発明されたからで、むかしは酒に中毒するなんて人いなかったはずなのよ」
直人「いいじゃない、飲み会も祭りだよ。宴会と言えば、甲羅酒呑みたいなあ。でも、高いからちょっと手が届かないよね」
一典「なんで? コーラなんて、どこでも売ってるじゃない」
直人「ジュースのコーラじゃないよ。カニの甲羅に、日本酒を注いでくいっ、きゅうぅ~とやるんだよ。ああ、カニみそと混ざり合うあの味、こたえられない~!」
逢香「オヤジね。直人くん」
直人「岩魚骨酒もいいなあ。こっちなら、値段は少し手頃だし。塩焼きしたまるまる一匹の岩魚に、日本酒をなみなみと」
一典「ぼく本物のコカコーラ持ってるよ」
直人「本物って?」
一典「コカインが入ってるの。最初のコカコーラはそうだったって。コカインだから、コカコーラって言うんだよ」
直人「涼平が言っていたよ。一典はバイニンだから、気をつけろって」
一典「そう、ぼくは禁制品の売人。それから博打の玄人もバイニンっていうんだよ」
直人「それで、あだ名がクマゴロウっていうのか」
一典「直人さんって、あだ名無いの?」
直人「ああ、おれ高校のときはムーミンって呼ばれていた……」
一典「ムーミン? 似てないよ」
直人「英語のテストで校内最低点とって赤点……みんなから馬鹿って呼ばれて……馬鹿がいつの間にかカバになって、それが終いにはムーミンになった」
逢香「ムーミンてカバじゃないわよ。欧州の広い地域に伝わる妖精、トロールなの。実際、作品中ではムーミン・トロールって呼ばれてるわ」
直人「じゃあおれ、不当に馬鹿にされていたのか!」
逢香「直人くんよりムーミンのほうがかわいそうね」
と、そのときだ。再び直人の携帯が鳴った。
直人「また涼平かな? あれ……0からメールだ。今日は平穏に終わると思っていたのに。{悪態をつかなかった日は、気をつけろ}、か……なんてこった!」
一典「モンスターか。最近多いよなあ」
直人「人生の道を誤った……」
逢香「直人くん、方向音痴だもんね」
一典「法学部に入れればよかったね。で、今度はなに?」
直人「オーガー。もうアジト付近をうろついている」
逢香「日本語では鬼、それも人喰い鬼って訳されているわね」
直人「人喰いって……オーガーに太刀打ちできるほどの戦力は、おれたち以外にいないらしいよ。でもいま武装無い!」
一典「防災シャッターを閉じよう……うわあ、ここに来ている!」
体長3メートルはあろうかという鬼が、邪な笑みを浮かべている。あまりの背丈に天井がじゃまになり、歩くのに苦労している様子だ。
逢香「扉、閉めるわよ!」
直人「どうしよう? 窓から逃げようか?」
逢香「だめよ、どのみち追ってくるわ」
直人「オーガーって、どんなモンスターなの」
逢香「鬼、といえば日本では、もっとも有名な妖怪よね。西欧ではオーガーは比較的最近創作されたモンスターとの説もあるけど」
直人「弱点はないの?」
逢香「心当たりが無いわ。トロールなら、日光に当たると石になるとかあるんだけど……でも鬼なら節分豆があれば効くかも」
直人「季節外れだね。携帯で涼平を呼ぼう」
涼平(……直人? な~に~?)
直人「涼平、急いで来てくれ! いま、おれたちアジトでモンスターにおそわれて……」
涼平(俺疲れているんだ。他の人に頼みな)
直人「おまえ、隊員だろ!」
涼平(今日は非番。戦闘要員なら一典がいるだろ。切るよ)
直人「待てい!」
涼平(ま、話だけは聞いてやるよ。どんなモンスター?)
直人「馬鹿でかいオーガーだ! 頭が天井につかえている」
涼平(なんだ、そんなことか)電話は切れた。
悲痛に直人「涼平~~!!」
一典「切れたの?」
直人「あいつ! それで自称クリスチャンか!」
逢香「進退窮まったわね」
ばん! ばん! と大きな音がした。オーガーが扉を叩いているのだ。見れば、扉が軋んでいる。
直人「このアジト、作りが頑丈だけど。でも、これじゃあ扉を破られるの時間の問題だよ。ああ、扉が歪んできた!」
逢香「なんとかわたしたちに倒せないかな?」
一典「オーガーって、どのくらい強いんだろう?」
逢香「どのくらいって言っても……わたしには分からないわ」
直人「じゃあ。推定すると一典はおよそ身長2メートル」
一典「ぼくそんな無いよ」
直人「例えだ。{完全ではなくても概算でもって問題を解決すべき}さ。細かい数字にこだわらず、一桁単位のオーダーで計算する。素粒子を扱う量子力学から、銀河を扱う天文学までを同じテーブル上で扱うために。端数を気にせずに読むと、人間の身長は皆1m。同じく体重は百kg、寿命は百年となる……」
逢香「いま、それどころじゃないでしょ! 本題をいってよ」
こうしている間にも、扉はどんどん叩かれ、壊れつつある。
直人「オーガーが3メートル。身長差は1.5倍。身長が1.5倍と言うことは、体重はその三乗……およそ3.4倍となる」
逢香「とすると、あのオーガーは一典くんより三倍以上強いの……」
直人「いや、力の強さは、筋肉の断面積に比例するから、身長が1.5倍だと二乗しておよそ2.3倍」
逢香「それでも、一典くんより二倍強いってことじゃない」
一典「聞くだけ損した。そんな比較ないよ。机上の空論だね」
直人「ああ、そうだろうなあ……動物では、同じ筋肉でも人間よりずっと力が出せるらしいし」
一典「そうだよ。二倍って言ってもねえ。プロレスラーに、並みの人間三人で太刀打ちできると思う? 十人だって大変だよ」
直人「三人? いや、おれは戦わないよ」
一典「ぼくだけに戦わせる気?」
直人「あたりまえだ。オーガーと戦っておれが逃げる時間を稼げ!」
一典「卑怯者、自分だけ助かればいいのか!」
直人「葬式には出る!」
一典「うそつけ、無神論者のくせに」
直人「一典は、クリスチャンだろ。おまけに仏壇も神棚も祀っているな。死んでも天国へいけるよ!」
一典「神仏をも恐れぬ不届き者、無間地獄に落ちるぞ!」
逢香「見苦しいわよ、止めなさい!」
こうしている間にも、ばんと音がし、ついに扉が倒れた……
ひょっこりと顔を出す涼平「なにやってるの? にぎやかだねえ。俺も混ぜて」
三人は、言葉が無かった。
涼平「オーガーなら、もういないよ」
逢香「オーガーを倒したの?」
涼平「うん。ちょろいもんだよ」
直人「しかも酒臭い……飲んでやがるのに」
げっぷをする涼平「ああ、もちろんだ。飲んで来たよ{鬼殺し}」
(終)
電話を取る直人「涼平、準備はいいか?」
涼平(OK。今日は飲みまくろうぜい)
直人「今日は、じゃなくて今日も、だろ」
涼平(それは直人だけだ。このアル中患者。肝硬変になったら、一典に食べられちゃうよ。フォアグラとかいって)
直人「わははは。一典食べるんだろうなあ」
涼平(前、一典の家に遊びに行ったとき、夕食をご馳走になったんだけど。そのとき、一典の母親に言われたよ。{これは、一典の分を二人で分けたのよ~~っ}て。それでも俺、食べ切れなかったのに)
直人「それはすごいなあ」
涼平(一典はキメラだからね。頭は人間、身体は熊。実際あいつはクマゴロウだし)
直人「クマゴロウ?」
涼平(博打の玄人のこと。あいつと博打しちゃだめだよ。特に麻雀はいけない。なんでもありだから。元禄積み、爆弾、吊り、ぶっこ抜き、エレベーター……。それにいろいろな意味でバイニンだからね、気をつけな。じゃあ、いつもの飲み屋で)
直人「わかった。じゃあな」
一典「直人さん、時間かな?」
直人「ああ。そろそろ行こうぜ」
一典「涼平さんに特製煙草を。これを喫うと副腎髄質を刺激して、どばどばアドレナリンを分泌するんだよ。短時間、通常の二倍近い力が出せる」
逢香「そんな危ないアイテム、使っちゃだめよ」
直人「涼平、中学ではよく喫煙で補導されていたもんな。あのニコチン大王。前科者め」
逢香「未成年が酒・煙草をするのは、禁止されてはいるけど、別に罪にはならないわ。法律は厳格だけど、ある程度寛容で融通も効くの。例えば、他人の庭先の花を一本折って拝借しても、窃盗の罪には問われない。軽微な犯罪として、許容されるのよ。もっとも他人の敷地に入れば不法侵入だけど」
直人「そうなんだ。でも中高生で煙草吸って警官に補導されるようなやつは、間抜けだよね。煙草だから一発でバレるんだ。酒にしろ! ジュースのビンに移し替えて置けば、学校内だろうが登下校中だろうが誰も気付かないぞ」
逢香「止めた方がいいわよ、一典くん。直人みたいになりたくなければ」
直人「でも涼平も呑むんだよね~」
逢香「酒だって麻薬の一種なんだから」
直人「酒が禁止されてないのは、ワインを許容するキリスト教圏が世界を支配した結果にすぎない……」
逢香「あらゆる文明圏内で、酒は独自に発明され飲まれていたわ。酒は宗教とともにあった。お神酒ね。歴史的には酒は宗教の儀式としての祭りで、人と神とが契る媒介物だった。日常生活では不要だったのよ。今でこそアル中は多いけど、それは酒が日常化したためと、強い蒸留酒が発明されたからで、むかしは酒に中毒するなんて人いなかったはずなのよ」
直人「いいじゃない、飲み会も祭りだよ。宴会と言えば、甲羅酒呑みたいなあ。でも、高いからちょっと手が届かないよね」
一典「なんで? コーラなんて、どこでも売ってるじゃない」
直人「ジュースのコーラじゃないよ。カニの甲羅に、日本酒を注いでくいっ、きゅうぅ~とやるんだよ。ああ、カニみそと混ざり合うあの味、こたえられない~!」
逢香「オヤジね。直人くん」
直人「岩魚骨酒もいいなあ。こっちなら、値段は少し手頃だし。塩焼きしたまるまる一匹の岩魚に、日本酒をなみなみと」
一典「ぼく本物のコカコーラ持ってるよ」
直人「本物って?」
一典「コカインが入ってるの。最初のコカコーラはそうだったって。コカインだから、コカコーラって言うんだよ」
直人「涼平が言っていたよ。一典はバイニンだから、気をつけろって」
一典「そう、ぼくは禁制品の売人。それから博打の玄人もバイニンっていうんだよ」
直人「それで、あだ名がクマゴロウっていうのか」
一典「直人さんって、あだ名無いの?」
直人「ああ、おれ高校のときはムーミンって呼ばれていた……」
一典「ムーミン? 似てないよ」
直人「英語のテストで校内最低点とって赤点……みんなから馬鹿って呼ばれて……馬鹿がいつの間にかカバになって、それが終いにはムーミンになった」
逢香「ムーミンてカバじゃないわよ。欧州の広い地域に伝わる妖精、トロールなの。実際、作品中ではムーミン・トロールって呼ばれてるわ」
直人「じゃあおれ、不当に馬鹿にされていたのか!」
逢香「直人くんよりムーミンのほうがかわいそうね」
と、そのときだ。再び直人の携帯が鳴った。
直人「また涼平かな? あれ……0からメールだ。今日は平穏に終わると思っていたのに。{悪態をつかなかった日は、気をつけろ}、か……なんてこった!」
一典「モンスターか。最近多いよなあ」
直人「人生の道を誤った……」
逢香「直人くん、方向音痴だもんね」
一典「法学部に入れればよかったね。で、今度はなに?」
直人「オーガー。もうアジト付近をうろついている」
逢香「日本語では鬼、それも人喰い鬼って訳されているわね」
直人「人喰いって……オーガーに太刀打ちできるほどの戦力は、おれたち以外にいないらしいよ。でもいま武装無い!」
一典「防災シャッターを閉じよう……うわあ、ここに来ている!」
体長3メートルはあろうかという鬼が、邪な笑みを浮かべている。あまりの背丈に天井がじゃまになり、歩くのに苦労している様子だ。
逢香「扉、閉めるわよ!」
直人「どうしよう? 窓から逃げようか?」
逢香「だめよ、どのみち追ってくるわ」
直人「オーガーって、どんなモンスターなの」
逢香「鬼、といえば日本では、もっとも有名な妖怪よね。西欧ではオーガーは比較的最近創作されたモンスターとの説もあるけど」
直人「弱点はないの?」
逢香「心当たりが無いわ。トロールなら、日光に当たると石になるとかあるんだけど……でも鬼なら節分豆があれば効くかも」
直人「季節外れだね。携帯で涼平を呼ぼう」
涼平(……直人? な~に~?)
直人「涼平、急いで来てくれ! いま、おれたちアジトでモンスターにおそわれて……」
涼平(俺疲れているんだ。他の人に頼みな)
直人「おまえ、隊員だろ!」
涼平(今日は非番。戦闘要員なら一典がいるだろ。切るよ)
直人「待てい!」
涼平(ま、話だけは聞いてやるよ。どんなモンスター?)
直人「馬鹿でかいオーガーだ! 頭が天井につかえている」
涼平(なんだ、そんなことか)電話は切れた。
悲痛に直人「涼平~~!!」
一典「切れたの?」
直人「あいつ! それで自称クリスチャンか!」
逢香「進退窮まったわね」
ばん! ばん! と大きな音がした。オーガーが扉を叩いているのだ。見れば、扉が軋んでいる。
直人「このアジト、作りが頑丈だけど。でも、これじゃあ扉を破られるの時間の問題だよ。ああ、扉が歪んできた!」
逢香「なんとかわたしたちに倒せないかな?」
一典「オーガーって、どのくらい強いんだろう?」
逢香「どのくらいって言っても……わたしには分からないわ」
直人「じゃあ。推定すると一典はおよそ身長2メートル」
一典「ぼくそんな無いよ」
直人「例えだ。{完全ではなくても概算でもって問題を解決すべき}さ。細かい数字にこだわらず、一桁単位のオーダーで計算する。素粒子を扱う量子力学から、銀河を扱う天文学までを同じテーブル上で扱うために。端数を気にせずに読むと、人間の身長は皆1m。同じく体重は百kg、寿命は百年となる……」
逢香「いま、それどころじゃないでしょ! 本題をいってよ」
こうしている間にも、扉はどんどん叩かれ、壊れつつある。
直人「オーガーが3メートル。身長差は1.5倍。身長が1.5倍と言うことは、体重はその三乗……およそ3.4倍となる」
逢香「とすると、あのオーガーは一典くんより三倍以上強いの……」
直人「いや、力の強さは、筋肉の断面積に比例するから、身長が1.5倍だと二乗しておよそ2.3倍」
逢香「それでも、一典くんより二倍強いってことじゃない」
一典「聞くだけ損した。そんな比較ないよ。机上の空論だね」
直人「ああ、そうだろうなあ……動物では、同じ筋肉でも人間よりずっと力が出せるらしいし」
一典「そうだよ。二倍って言ってもねえ。プロレスラーに、並みの人間三人で太刀打ちできると思う? 十人だって大変だよ」
直人「三人? いや、おれは戦わないよ」
一典「ぼくだけに戦わせる気?」
直人「あたりまえだ。オーガーと戦っておれが逃げる時間を稼げ!」
一典「卑怯者、自分だけ助かればいいのか!」
直人「葬式には出る!」
一典「うそつけ、無神論者のくせに」
直人「一典は、クリスチャンだろ。おまけに仏壇も神棚も祀っているな。死んでも天国へいけるよ!」
一典「神仏をも恐れぬ不届き者、無間地獄に落ちるぞ!」
逢香「見苦しいわよ、止めなさい!」
こうしている間にも、ばんと音がし、ついに扉が倒れた……
ひょっこりと顔を出す涼平「なにやってるの? にぎやかだねえ。俺も混ぜて」
三人は、言葉が無かった。
涼平「オーガーなら、もういないよ」
逢香「オーガーを倒したの?」
涼平「うん。ちょろいもんだよ」
直人「しかも酒臭い……飲んでやがるのに」
げっぷをする涼平「ああ、もちろんだ。飲んで来たよ{鬼殺し}」
(終)