時雨 ドワーフの君主。悪。魔法使いレベル13から転職。
逢香 エルフの侍。善。僧侶レベル13から転職。
大地 ホビットの忍者。中立。盗賊からアイテムで転職。
真理 エルフの司教。善。転職はしていない。
直人 人間の盗賊。中立。魔法使いレベル13から転職。
魔言 人間の魔法使い。悪。僧侶レベル13から転職。
それはいまとなっては昔、神話の時代から受け継がれた物語。
すでにラスボス『&竜』も倒し終えた、連達した冒険者六人のパーティーが地下の迷宮内深層階で、いつものように雑魚最強のモンスターとの戦いに余裕で弄り殺し勝利し、戦利品の宝箱の罠を外そうと忍者の大地がしたときに起こった。
眩い閃光!? What happen at just now here? Oops, trap!? Gasp! Whap! たちまち地面に転がる三人……
時雨「うわぁ!? なにが起こったんだよう! 逢香ちゃん、真理ちゃん、魔言ちゃん? しっかりして!」
大地「魔法使い、司教、侍。この三人が麻痺したってことは、メイジブラスター(魔法使い職を攻撃する罠)っすね」
直人「そうだ! おれの調べでは罠はメイジブラスターと解っていた! おまえだろ、『罠は掛かっていない』なんてすっとぼけたこと言ったのは! そもそもなんでテレポーター(ランダム座標にパーティーをテレポートする罠)外そうとしたんだよ」
大地「すまんす。忍者になると罠識別力が半減するんす。でも真理がカルフォ(罠識別魔法)を掛けようとしたのをケチって止めたのはあんたっす。テレポーターは罠の中で最も危険っす。なにか迷ったときにはテレポーターを外すべきっす」
直人「だからって! おれを信用していればこんな事故はなかったろ! どアホがぁっ!」
時雨「おうちへ帰ろうよ、直人ちゃん、マラー(テレポート魔法)を使ってよ。もう僕レベル7呪文使えないから」
直人「時雨、座標が分からない。経緯を除けば壁の中に入ることは無いだろうが、下手に上に飛べば空の上に出て墜死か、暗闇や落とし穴、果てしない隠し扉ばかりの罠の階に入る。お互いカティノ(眠りの魔法)を使い果たしたから、デュマピック(座標を知る魔法)も使えないし。せめて逢香だけでも起こせないか?」
時雨「僕ちゃんも魔法使い切っちゃったよう。この戦い総力戦だったから、ディアルコもマディも使えないよう」
直人「時雨、いまお前以外に僧侶魔法使えないんだぞ! 魔法使いに次いで接近戦に弱い盗賊のおれが前衛(パーティー最大六名中、最初の三人は前衛、残りは後衛になる)に出るのか?」
時雨「うぅ……六人中四人が魔法使いと僧侶のすべての魔法使えたのに皮肉だねえ。仕方ない、神様にリセットお願いしようよ」
直人「駄目だ! おれがマハマン(願いを叶える魔法)使って一レベル下がってやってまでして、グレーターデーモン倒しまくって経験値五十万以上稼いだんだぜ! 街へ帰って宿に泊まれば全員三、四レベル上がるし、戦利品の剣が村正ならどうする」
大地「あるパーティーは僧侶と忍者の二人だけで、なにも装備しないでそれもレベル1で一回も街へ戻らずにラスボス倒したって言うっすよ。階段使わないで、罠のテレポーターで最深部に入り込んで」
直人「って、元はといえば大地が悪い! この落とし前をどうつける!? 手裏剣も装備できねえ半端忍者!」
大地「私に喧嘩売るっすか? 忍者の私より腕の悪いヘボ盗賊!」
直人「なんだと、お前おれに勝てるとでも思っているのかよ! なめた口きいているんじゃねえ! ティルトウェイト(最強の全体攻撃魔法)喰らってみるか? You fool!」
大地「Damn! It’s yourself. でも私あんたの首刎ねるかもよ~っ!(忍者は敵を一撃で即死させるクリティカルヒットを出せる)」
直人「おれだって即死魔法使えるぜ。てめえは魔法一つも使えねえ無能だろ。ヒットポイントも少ないし。Drop dead you cock master! Suck my ball! Challenge you try death test for luck with me?」
大地「でもレベルとステータスはパーティー最高っす。上等! 覚悟っす! I‘ll kill you, go to hell!」
時雨「二人とも、やめなよう~! だめだよう、協力しなきゃ帰れないよう。We need to talk! I will cast the spell for you sake……」
大地「Attack, Battle, Crush, Die! Take that! I can see my enemy……」
直人「T!(以下略だが最強魔法はこれだけで発動する)」
この刹那、大地は素手で直人の首を刎ねた!
ちゅどおおおおんん!!(ティルトウェイトの爆発)
時雨「止めて! うぎゃわあぁああああ!!」
地面に転がる五人の遺体……
時雨「う……直人ちゃん、大地ちゃん!? つうか僕を巻き添えにしないでよう。痛いよう、痛いよう! 僕一人になっちゃったよう、助けてよう! リセットの神様、リセットの神様~! Help stray sheep me, please my god!」
……神は見捨てられた。
これが最強のパーティーでも簡単に全滅する、この迷宮探険の恐ろしさのほんの一例である。
ちなみに最強呪文浴びても生き残った一世の英雄悪の君主時雨は、遺品を引きずっての単独の帰路全ての敵との戦いをアンデッドモンスターに限り解呪で乗り切り、まさに九死に一生を得た脱出行を果たしギルガメッシュの酒場に生還してこの悲劇を伝え、みんなは(We doubt them sanity!)と驚嘆し呆れている。
いかに強い冒険者でも、愚かでは破滅する顕著な証明である。これはボルタック商店ならぬ『ボッタクリ昇天』として有名な無駄死を象徴する故事でもある。都々逸がある。『勇者殺すにゃ刃物はいらぬ、馬鹿の二人もいればいい』
ちなみに何故時雨が悪なのかというと、友好的であれ、モンスターは倒さねばならないからが持論だからだ。友好的なコボルド、くらいはまあ見逃してやってもいいが、友好的なアンデッドコボルドなんて倒してやる方が供養だろ。ましていくら友好的とはいえ、グレーターデーモンを倒さずにいられるか!? 人として。
カント寺院に運ばれた五人の遺体は、蘇られるか灰になるか。ロストするか、墓に眠るか。すべては神のみぞ知る、であるが。
(終)
逢香 エルフの侍。善。僧侶レベル13から転職。
大地 ホビットの忍者。中立。盗賊からアイテムで転職。
真理 エルフの司教。善。転職はしていない。
直人 人間の盗賊。中立。魔法使いレベル13から転職。
魔言 人間の魔法使い。悪。僧侶レベル13から転職。
それはいまとなっては昔、神話の時代から受け継がれた物語。
すでにラスボス『&竜』も倒し終えた、連達した冒険者六人のパーティーが地下の迷宮内深層階で、いつものように雑魚最強のモンスターとの戦いに余裕で弄り殺し勝利し、戦利品の宝箱の罠を外そうと忍者の大地がしたときに起こった。
眩い閃光!? What happen at just now here? Oops, trap!? Gasp! Whap! たちまち地面に転がる三人……
時雨「うわぁ!? なにが起こったんだよう! 逢香ちゃん、真理ちゃん、魔言ちゃん? しっかりして!」
大地「魔法使い、司教、侍。この三人が麻痺したってことは、メイジブラスター(魔法使い職を攻撃する罠)っすね」
直人「そうだ! おれの調べでは罠はメイジブラスターと解っていた! おまえだろ、『罠は掛かっていない』なんてすっとぼけたこと言ったのは! そもそもなんでテレポーター(ランダム座標にパーティーをテレポートする罠)外そうとしたんだよ」
大地「すまんす。忍者になると罠識別力が半減するんす。でも真理がカルフォ(罠識別魔法)を掛けようとしたのをケチって止めたのはあんたっす。テレポーターは罠の中で最も危険っす。なにか迷ったときにはテレポーターを外すべきっす」
直人「だからって! おれを信用していればこんな事故はなかったろ! どアホがぁっ!」
時雨「おうちへ帰ろうよ、直人ちゃん、マラー(テレポート魔法)を使ってよ。もう僕レベル7呪文使えないから」
直人「時雨、座標が分からない。経緯を除けば壁の中に入ることは無いだろうが、下手に上に飛べば空の上に出て墜死か、暗闇や落とし穴、果てしない隠し扉ばかりの罠の階に入る。お互いカティノ(眠りの魔法)を使い果たしたから、デュマピック(座標を知る魔法)も使えないし。せめて逢香だけでも起こせないか?」
時雨「僕ちゃんも魔法使い切っちゃったよう。この戦い総力戦だったから、ディアルコもマディも使えないよう」
直人「時雨、いまお前以外に僧侶魔法使えないんだぞ! 魔法使いに次いで接近戦に弱い盗賊のおれが前衛(パーティー最大六名中、最初の三人は前衛、残りは後衛になる)に出るのか?」
時雨「うぅ……六人中四人が魔法使いと僧侶のすべての魔法使えたのに皮肉だねえ。仕方ない、神様にリセットお願いしようよ」
直人「駄目だ! おれがマハマン(願いを叶える魔法)使って一レベル下がってやってまでして、グレーターデーモン倒しまくって経験値五十万以上稼いだんだぜ! 街へ帰って宿に泊まれば全員三、四レベル上がるし、戦利品の剣が村正ならどうする」
大地「あるパーティーは僧侶と忍者の二人だけで、なにも装備しないでそれもレベル1で一回も街へ戻らずにラスボス倒したって言うっすよ。階段使わないで、罠のテレポーターで最深部に入り込んで」
直人「って、元はといえば大地が悪い! この落とし前をどうつける!? 手裏剣も装備できねえ半端忍者!」
大地「私に喧嘩売るっすか? 忍者の私より腕の悪いヘボ盗賊!」
直人「なんだと、お前おれに勝てるとでも思っているのかよ! なめた口きいているんじゃねえ! ティルトウェイト(最強の全体攻撃魔法)喰らってみるか? You fool!」
大地「Damn! It’s yourself. でも私あんたの首刎ねるかもよ~っ!(忍者は敵を一撃で即死させるクリティカルヒットを出せる)」
直人「おれだって即死魔法使えるぜ。てめえは魔法一つも使えねえ無能だろ。ヒットポイントも少ないし。Drop dead you cock master! Suck my ball! Challenge you try death test for luck with me?」
大地「でもレベルとステータスはパーティー最高っす。上等! 覚悟っす! I‘ll kill you, go to hell!」
時雨「二人とも、やめなよう~! だめだよう、協力しなきゃ帰れないよう。We need to talk! I will cast the spell for you sake……」
大地「Attack, Battle, Crush, Die! Take that! I can see my enemy……」
直人「T!(以下略だが最強魔法はこれだけで発動する)」
この刹那、大地は素手で直人の首を刎ねた!
ちゅどおおおおんん!!(ティルトウェイトの爆発)
時雨「止めて! うぎゃわあぁああああ!!」
地面に転がる五人の遺体……
時雨「う……直人ちゃん、大地ちゃん!? つうか僕を巻き添えにしないでよう。痛いよう、痛いよう! 僕一人になっちゃったよう、助けてよう! リセットの神様、リセットの神様~! Help stray sheep me, please my god!」
……神は見捨てられた。
これが最強のパーティーでも簡単に全滅する、この迷宮探険の恐ろしさのほんの一例である。
ちなみに最強呪文浴びても生き残った一世の英雄悪の君主時雨は、遺品を引きずっての単独の帰路全ての敵との戦いをアンデッドモンスターに限り解呪で乗り切り、まさに九死に一生を得た脱出行を果たしギルガメッシュの酒場に生還してこの悲劇を伝え、みんなは(We doubt them sanity!)と驚嘆し呆れている。
いかに強い冒険者でも、愚かでは破滅する顕著な証明である。これはボルタック商店ならぬ『ボッタクリ昇天』として有名な無駄死を象徴する故事でもある。都々逸がある。『勇者殺すにゃ刃物はいらぬ、馬鹿の二人もいればいい』
ちなみに何故時雨が悪なのかというと、友好的であれ、モンスターは倒さねばならないからが持論だからだ。友好的なコボルド、くらいはまあ見逃してやってもいいが、友好的なアンデッドコボルドなんて倒してやる方が供養だろ。ましていくら友好的とはいえ、グレーターデーモンを倒さずにいられるか!? 人として。
カント寺院に運ばれた五人の遺体は、蘇られるか灰になるか。ロストするか、墓に眠るか。すべては神のみぞ知る、であるが。
(終)