今年も終戦記念日が近づいてきました。旧世紀四十五年。日本人で戦争を自分の体験として知る世代の方は、だんだん少なくなっていくのは仕方ありません。ここで、改めて平和の大切さを明記します。あなたの価値観ともし違っても、銘記して貰えたら幸いです。

戦争が絶対悪であることは、いうまでもありませんね。どこをどう言い繕っても、これは変わりません。

なのに、小説、マンガ、アニメ、ドラマ、映画、ゲーム……すべてと言っていいほどあらゆるメディアに戦争は絡みます。

おまけに、バイオレンスもののフィクションでは、戦争を都合良く『美化』しています。愚劣な殺戮、弱い者いじめが正しくかっこいいことであるかのように。いけないこと……でしょうか。

 ですが男の子は、戦争ごっこをして育ちます。モデルガンで遊び、戦闘もののテレビゲームに熱中します。スポーツと同様にエキサイトするのです。こればかりは、禁止する方が有害と私見します。

自称リベラリストの大学生や、逆になにか宗教やっていて兵器反対する方などは、エアガンを見ただけで立腹される方多いですが。たしかにエアガンを人間に限らず生き物に撃つのはいけませんが、それでも、単に所有しているだけなのを咎めるとか、まして子供が市民プールで水鉄砲をかけ合うのを叱って止めるのはどうかと思います。

(わたしは右翼でも左翼でもありませんよ、少なくとも自分ではそう思います)

なぜなら戦うのは人間もしょせん動物の一種故の、生きるための本能です。スポーツはそれを昇華させた、理想的な血を流さない、人を殺さない戦争と言い換えることができます。受験競争もそうかも知れません。

 子供だって馬鹿ではありません。銃弾を受ければ死ぬことくらいは理解します。しかし現実とは違う甘い考えがどうしてもあるものです。戦争に勝てばヒーローになれる、腕さえ良ければ生き残れる、なんてね。これはメディア文化の責任とされても仕方ないです。

 それも、戦車や戦闘機に乗るのを憧れる子供は多いですが、現実は軍隊のほとんどは自動小銃担ぐ歩兵です。特に航空機乗りなんて、厳しい試験を突破しなければなれません。防衛大は最難関校の一つです。

 戦車は歩兵の小銃の銃弾に対しては、無敵です。しかし、戦車砲や対戦車砲の徹甲弾が貫通すれば。装甲内を砲弾は乱反射して、乗員をミンチにします。ミサイルやロケットを受ければ弾薬に引火し、大爆発で吹き飛び高熱で乗員を溶かします。いずれも一瞬、助かる可能性はありません。

空だと。ミサイルなんか直撃すれば、脱出する間なんてまずなく航空機は木っ端微塵。人間って意外と頑丈で、即死できないようです。身体を裂かれ炎に包まれて苦しみながら、地面と激突します。

 物語では主人公が弾に撃たれても、助かるケースがありますが。まあ町中だったら本当に、緊急手術を受けて助かることもあるでしょう。ですが戦争で野外の前線なら、そうはいきません。

 頭や心臓は致命傷としても。腹に銃弾を受ければ? 医者が手当てすればなんとかなる……といったって、戦場では期待できません。失血死する可能性が大きい。衛生兵によって止血だけできても、医師の待つ後方に搬送される前に腹膜炎を起こして、何日も苦しんで死ぬのがおちです。

 腕や脚だったら? 動脈からの出血さえ止血できれば、あんまり致命的にはなりませんが。7.7ミリクラスの自動小銃弾の直撃を受ければ、大穴が空きます。いまは医療技術が発達しているから町中では、完治するかもしれません。ですが医師に医薬品のない前線だったら、壊死の進行を防ぐために、もう撃たれた所から手足を切断するしかない。それも、下手をすると麻酔無しでノコギリを使ってです。

 よく戦争映画で、兵士がすぐわきで爆発する、砲弾の雨の中を突き進みますけど。実際は。榴弾は破片を撒き散らすのでこうはいきません。銃弾の雨を受けるのと同じ、全身ハチの巣になっちゃいますね。

 少し爆発から距離があり、爆風を浴びる程度でも。人間の目なんて簡単に失明します。仮に遮蔽物があり爆風の破片を浴びなくても、爆発が近距離ならその轟音に耳の鼓膜は破れます。

爆撃機からの大型の爆弾だともっと悲惨。被害半径の桁が違います。破片の直撃を受けなくても気圧の急変で、肺臓破裂。炎熱の中焼け死ぬとか、酸欠になって窒息死もありえます。

 悲惨過ぎるこれらの事実は、しっかり銘記したいものです。

ここに問います。戦争とはなにか? 政府の『外交手段の一つ』なのです。それも最悪の手段です。大義名分とか、正義とか、聖戦とかの理屈は出ません。政治的経済的に対立する国を『敵』とし、自国の利権を守るために行う非常(非情)手段なのです。

それに戦争に赴くのは、政治に直接関われない法の下無力な一般市民です。法の下権力のある政治家とその一族は、まず前線へは赴きません。日本の自衛隊は志願兵制ですが。

一兵士や下士官には上官から一方的に戦いを押し付けられるだけで、敵を殺す理由は教えられません。任務の目的すら機密扱いされ、ほとんどわかりません。はっきりいうと、権力者たちの政治ゲームの駒にされるのです。将棋もチェスも、駒は犠牲出さずに勝つことは無理なのは常識ですよね。

日本の大戦時の指導者はともかく、兵士たちを非難する気は毛頭ありません。当時は日本に限らず、あらゆる列強は帝国主義だったのですから。むしろ日本の宣戦布告と開戦、敗戦はアジアの植民地にされていた小国を解放独立させたといえます。

 最後になりますが、ですからここに温故知新を勧めます。戦略書、古典『孫子の兵法』、クラウゼヴィッツ『戦争論』、『ランチェスター戦略』。逆に、反戦書『きけ、わだつみのこえ』、『ジョニーは戦争へ行った』等。

 戦争なんて愚かしい欺瞞から、すべてが生きる世界を守るために……

 (了)