冬月はむっつりと言う。「指揮は俺が執る。時雨、おまえは自分で身を守れよ。心置きなく死んで来い。全機最大戦速、ゆっくり右旋回しながら接敵! 敵の射程に入る前に急上昇、ループして背後を狙う。正面からは撃ち合うなよ、ついて来い」
俺は指揮に従った。米軍戦闘機の勝利の鍵は、実は機銃の性能なのである。ブローニング一ニ.七ミリ機銃。これは有効射程が長いから。対するゼロは。七.六二ミリは軽量過ぎて射程が短いし、二〇ミリは初速が遅すぎ射程が短い。
両者真正面からヘッド・オンして突っ込む場合、この射程差は決定的となる。一撃離脱戦法をとられれば敗北は必至だ。なんたってゼロの装甲版はジュラルミン二ミリの紙切れだもんな。なんとかドッグファイトに持ち込まなくては。
敵編隊が迫る。俺は慎重に間合いを計り、急上昇捻り込みに入る。ループの背面飛行中に、戦場を確かめる。
唇を噛み締める。正面からの銃撃をかわし切れなかった、不慣れなゼロが炎に包まれている。十機ほど殺られたか。だが敵さんも三、四機火を噴いている。命令を無視して真正面に突っ込んだヤツや、ロールしながら二〇ミリを叩き込んだ射撃の名人がいたらしい。
俺は突き抜けていった敵編隊を直ちに追撃するつもりだった。しかし敵機は異様な速度で離脱していく。射程に捕らえることができなかった。こいつはF4Fじゃない! F6F? いや、F8Fベアキャットじゃねえか! 化け猫だ!
大戦末期に登場したため倒すべき敵が無く、高性能でありながらあまり活躍の場の無かった重戦闘機だ。旋回性能を除けば、いずれもゼロなんて比ではない。こんな新型をもう投入するなんて反則も良い所だ。まだ一九四二年の四月だぞ!
「こちら冬月、インメルマンターンだ! 各機編隊を保ち高度を稼げ。敵は新型機を使っているな、一撃離脱戦法で来るぞ!」
火力・装甲・馬力いずれも勝る化け猫、それもいまや三倍の数が相手とは。勝てるはずは無い。つきあいきれん。逃げようかな?
しかし敵機編隊は十分な距離を取っても反転してこなかった。なぜか小隊ごとばらばらになっている。通信系統に異常か?
霞も不思議がっている。「どうしたのかしら、敵は。指揮官の命令に乱れでも?」
時雨はしれっと言った。「指揮官ってキリング少佐? さっきすれ違うとき、七.六二ミリでコクピットごと貫いてやったよ。僕ちゃんに喧嘩売るのが悪いの」
「上出来ね、時雨准尉殿。さすが撃墜王」どっと歓声が上がる。
しかし時雨の声はかすれ気味になっていた。「でも相打ちになっちゃった。僕も腹に一発喰らったよ。悪いね、僕はゲームオーバーだ。でも必ず帰ってくるぞ、リーマン独身貴族の資金力を舐めんなよぅ! 僕は……何度でも……甦る!」
「時雨准尉!?」俺たちは口々に声をかけた。しかしもう返信は無い。彼のゼロは、体勢を崩して落下していった。
「死ぬな、時雨!」冬月は声をかける。さっきは死んで来いと言ったくせに。「ノンセクト・インセクトへの通信周波数知っているの、おまえだけなんだぞ! 俺たち迷子になるじゃないか! クイーンの払い込みとかどうなるんだ?」
答えは無かった。実に美しい友情である。つーか、なにかけあい漫才やってやがる。俺は長々と息をついた。
「進言します、冬月准尉。時雨准尉の献身的な犠牲を無駄にしないためにも」俺はきっぱり言った。「ここは反転して逃げましょう」
「腹黒いわね、腰抜けくん!」
霞は声を上げた。だが冬月准尉は無言で了承し。生き残った三〇機あまりのゼロをまとめ台湾、フィリピン方面へ飛行を開始した。
フライトは四時間続いていた。もう九時だ。空戦の全力飛行が仇となっていた。これでは中立コロニーへたどり着けない。燃料がカラになり、墜死となることを意識し始めたころ、『ノンセクト・インセクト』からの通信が入った。ここから至近。那覇沖南海上に、彼らの空母の一隻があると。俺たちは縋る思いでその座標へ急いだ。
駆逐艦五隻に守られる一隻の空母。ちっぽけな艦隊が見えてきた。
あれは鳳翔じゃないか! 日本海軍初の空母で、この大戦中は小型、低速、老朽化を理由に訓練用に使われていた船だ。しかも史実、日本空母で唯一生き残った縁起のいい強運艦。
着艦誘導の合図が見える。俺たちは飛行甲板の短い鳳翔に、慎重に着艦していった。しくじってオーバーランし海に落ちたゼロもいたが、未熟な搭乗員はすぐに無事救助された。
甲板上に、俺たちは整列させられていた。向かい合う形で、インセクトの隊員たちが並んでいる。母艦長が進み出た。四十代半ばの、笑みの似合う温厚そうなやせぎすな男だった。俺たちに訓示を述べる。
「鳳翔を預かる、金森健夫(かなもり たけお)大佐だ。お見知りおきを。我らは自由意志で結成された遊撃部隊だ。太平洋戦争は、史実愚かな戦争だったとされている。だが、戦争が愚かでなかったことなど、いつの時代だってありえない」艦長はぐるりと、俺たち一人一人の目を覗き込む。「それでも、この惨劇を止められるために、戦う意志があるならば、諸君に頼む。我らへの協力を。それを望まないものは申し出るがいい。本国へひそかに送り返すことにする。身柄は保証する。選択は、諸君らの自由だ」
冬月が発言した。「世界を一つにするために戦うのですか、それでは侵略戦争、帝国主義と変わりません」
「逆だ。世界各国が各々自由を掴むこと。独立と人権だ」金森艦長は朗々と明言する。「すべての国家が。どんな小国であれ世界と対等の意志と権利を持ったとき。まさにそのとき、主義主張を乗り越え世界は一つになると信じている。我らはそのために戦う」
「了解しました。わたしは参戦に異存ありません」
冬月は敬礼した。他のゼロ搭乗員たちも、次々と敬礼をした。
結局俺たちは、ノンセクト・インセクトに全員編入されることになった。ま、俺は金さえもらえれば、どこに就いてもよかったのだがね。自覚しているが、根本的に、俺には社会への義務感や忠誠心というシロモノが欠けている。ゲームだからな、他のプレイヤーだってそうではないか? とにかく敬礼だけはする。
金森艦長は満足げにうなずいた。
「感謝する。ではきみたちの空戦指揮官を紹介しよう。美嶋泰雄少佐である」
いままで脇で控えていた長身痩躯の青年が進み出る。美嶋もいたとはね! 処刑後転向したのか。まったく喰えない上官だぜ。ファンタジーRPGの不死の魔物妖術師、リッチかよ。実際リッチなんだろうな、少佐ともなるとコンティニューには五十万円は掛かったはずだ。ブルジョア階級め。この男なら度量からして、俺たちを束ねる求心力にはなるな。
俺たちは空母の説明を受ける。鳳翔は大改修を受け、搭載可能艦載機を四〇機ほどに増やし、速力も五ノットほど速くなったという。
艦内の食堂に案内された。歓迎式というわけだ。
俺たち元飛龍のゼロ・パイロットは、以前の鳳翔のパイロットと総入れ替えという形で鳳翔に配属となった。それから切れ切れに聞いた艦長の訓示は妙な感じがした。
「……だからわれらの理想は、必ずしも繁栄とは限らない。過去の高度経済成長期末、いわゆるバブルの時代には『3高』なんて言葉が流行していた。高身長、高学歴、高収入。そんなものをもてはやし、そうでないものを馬鹿にしていた軽薄な一面がある。
逆に『3K』なんて言葉も。きつい、危険、汚い。農業、土木作業、清掃作業などの肉体労働者が軽蔑されていた。彼らなくして社会は成り立たないのに。職に貴賎は無い。
当時日本は戦争こそ負けたが、経済でアジアを支配してやろうなどと思い上がっていた。当時発展途上にあった、アジアの貧民を日本に雇い、肉体労働のブルーカラーを任せるつもりだった。対する日本人は、管理職のホワイトカラーという寸法だ。当時の日本は、確かに他のアジア民を見下していた。
人手不足が危惧され、誰であれ職につけば人並みな生活ができた豊かな時代。なのに学歴信仰が支配し人は学歴や家柄で劣等感と競争心を煽られ。やみくもに勉強勉強、とにかく偏差値の高い学校を目指せと中身も関係なく発破をかける。誰にでもできる単純仕事にはつくな、が合言葉だった。これは一見、向上心ともとれるが、しかし。
県下一位の進学校に合格できなかった生徒が、一家心中したなんて馬鹿な事件すらおきた。一位でなくとも十分な有名校に進める実力があったであろうに、肥大した虚栄心を満足できないために惨事となったのだ。天下の東大に現役で受かった学生が、「おれの青春を返せ!」などと親を刺し殺した事件も。豊かでも、狂った時代ではあった。
いま、情報化社会は改革を迎えたが。成長とは必ずしも良いものなのだろうか。人体において。成長期を過ぎても発達を止めない臓器があるとき、医者はそれを癌と呼ぶのだよ……」
後も長々と訓示が続き、退屈そうだな。乗員はさまざまな人種が入り混じっていた。アジア全域、中東、北欧、インド、エトセトラ。まさに混成部隊だ。
現実に腹の減っていた俺はここでゲームアウトした。カップ麺でも食べるか。眠気も催してきた。どうも最近、昼夜逆転だな。ニートの乱れた生活とはいえ良くない傾向だ。
それにしてもノンセクト・インセクトとはね。この結成者は誰なのか。クイーン。神無月真琴。俺は核心に近づきつつあるのだろうか? 支離滅裂な泥仕合の行く末は?
独立戦争 前
俺は指揮に従った。米軍戦闘機の勝利の鍵は、実は機銃の性能なのである。ブローニング一ニ.七ミリ機銃。これは有効射程が長いから。対するゼロは。七.六二ミリは軽量過ぎて射程が短いし、二〇ミリは初速が遅すぎ射程が短い。
両者真正面からヘッド・オンして突っ込む場合、この射程差は決定的となる。一撃離脱戦法をとられれば敗北は必至だ。なんたってゼロの装甲版はジュラルミン二ミリの紙切れだもんな。なんとかドッグファイトに持ち込まなくては。
敵編隊が迫る。俺は慎重に間合いを計り、急上昇捻り込みに入る。ループの背面飛行中に、戦場を確かめる。
唇を噛み締める。正面からの銃撃をかわし切れなかった、不慣れなゼロが炎に包まれている。十機ほど殺られたか。だが敵さんも三、四機火を噴いている。命令を無視して真正面に突っ込んだヤツや、ロールしながら二〇ミリを叩き込んだ射撃の名人がいたらしい。
俺は突き抜けていった敵編隊を直ちに追撃するつもりだった。しかし敵機は異様な速度で離脱していく。射程に捕らえることができなかった。こいつはF4Fじゃない! F6F? いや、F8Fベアキャットじゃねえか! 化け猫だ!
大戦末期に登場したため倒すべき敵が無く、高性能でありながらあまり活躍の場の無かった重戦闘機だ。旋回性能を除けば、いずれもゼロなんて比ではない。こんな新型をもう投入するなんて反則も良い所だ。まだ一九四二年の四月だぞ!
「こちら冬月、インメルマンターンだ! 各機編隊を保ち高度を稼げ。敵は新型機を使っているな、一撃離脱戦法で来るぞ!」
火力・装甲・馬力いずれも勝る化け猫、それもいまや三倍の数が相手とは。勝てるはずは無い。つきあいきれん。逃げようかな?
しかし敵機編隊は十分な距離を取っても反転してこなかった。なぜか小隊ごとばらばらになっている。通信系統に異常か?
霞も不思議がっている。「どうしたのかしら、敵は。指揮官の命令に乱れでも?」
時雨はしれっと言った。「指揮官ってキリング少佐? さっきすれ違うとき、七.六二ミリでコクピットごと貫いてやったよ。僕ちゃんに喧嘩売るのが悪いの」
「上出来ね、時雨准尉殿。さすが撃墜王」どっと歓声が上がる。
しかし時雨の声はかすれ気味になっていた。「でも相打ちになっちゃった。僕も腹に一発喰らったよ。悪いね、僕はゲームオーバーだ。でも必ず帰ってくるぞ、リーマン独身貴族の資金力を舐めんなよぅ! 僕は……何度でも……甦る!」
「時雨准尉!?」俺たちは口々に声をかけた。しかしもう返信は無い。彼のゼロは、体勢を崩して落下していった。
「死ぬな、時雨!」冬月は声をかける。さっきは死んで来いと言ったくせに。「ノンセクト・インセクトへの通信周波数知っているの、おまえだけなんだぞ! 俺たち迷子になるじゃないか! クイーンの払い込みとかどうなるんだ?」
答えは無かった。実に美しい友情である。つーか、なにかけあい漫才やってやがる。俺は長々と息をついた。
「進言します、冬月准尉。時雨准尉の献身的な犠牲を無駄にしないためにも」俺はきっぱり言った。「ここは反転して逃げましょう」
「腹黒いわね、腰抜けくん!」
霞は声を上げた。だが冬月准尉は無言で了承し。生き残った三〇機あまりのゼロをまとめ台湾、フィリピン方面へ飛行を開始した。
フライトは四時間続いていた。もう九時だ。空戦の全力飛行が仇となっていた。これでは中立コロニーへたどり着けない。燃料がカラになり、墜死となることを意識し始めたころ、『ノンセクト・インセクト』からの通信が入った。ここから至近。那覇沖南海上に、彼らの空母の一隻があると。俺たちは縋る思いでその座標へ急いだ。
駆逐艦五隻に守られる一隻の空母。ちっぽけな艦隊が見えてきた。
あれは鳳翔じゃないか! 日本海軍初の空母で、この大戦中は小型、低速、老朽化を理由に訓練用に使われていた船だ。しかも史実、日本空母で唯一生き残った縁起のいい強運艦。
着艦誘導の合図が見える。俺たちは飛行甲板の短い鳳翔に、慎重に着艦していった。しくじってオーバーランし海に落ちたゼロもいたが、未熟な搭乗員はすぐに無事救助された。
甲板上に、俺たちは整列させられていた。向かい合う形で、インセクトの隊員たちが並んでいる。母艦長が進み出た。四十代半ばの、笑みの似合う温厚そうなやせぎすな男だった。俺たちに訓示を述べる。
「鳳翔を預かる、金森健夫(かなもり たけお)大佐だ。お見知りおきを。我らは自由意志で結成された遊撃部隊だ。太平洋戦争は、史実愚かな戦争だったとされている。だが、戦争が愚かでなかったことなど、いつの時代だってありえない」艦長はぐるりと、俺たち一人一人の目を覗き込む。「それでも、この惨劇を止められるために、戦う意志があるならば、諸君に頼む。我らへの協力を。それを望まないものは申し出るがいい。本国へひそかに送り返すことにする。身柄は保証する。選択は、諸君らの自由だ」
冬月が発言した。「世界を一つにするために戦うのですか、それでは侵略戦争、帝国主義と変わりません」
「逆だ。世界各国が各々自由を掴むこと。独立と人権だ」金森艦長は朗々と明言する。「すべての国家が。どんな小国であれ世界と対等の意志と権利を持ったとき。まさにそのとき、主義主張を乗り越え世界は一つになると信じている。我らはそのために戦う」
「了解しました。わたしは参戦に異存ありません」
冬月は敬礼した。他のゼロ搭乗員たちも、次々と敬礼をした。
結局俺たちは、ノンセクト・インセクトに全員編入されることになった。ま、俺は金さえもらえれば、どこに就いてもよかったのだがね。自覚しているが、根本的に、俺には社会への義務感や忠誠心というシロモノが欠けている。ゲームだからな、他のプレイヤーだってそうではないか? とにかく敬礼だけはする。
金森艦長は満足げにうなずいた。
「感謝する。ではきみたちの空戦指揮官を紹介しよう。美嶋泰雄少佐である」
いままで脇で控えていた長身痩躯の青年が進み出る。美嶋もいたとはね! 処刑後転向したのか。まったく喰えない上官だぜ。ファンタジーRPGの不死の魔物妖術師、リッチかよ。実際リッチなんだろうな、少佐ともなるとコンティニューには五十万円は掛かったはずだ。ブルジョア階級め。この男なら度量からして、俺たちを束ねる求心力にはなるな。
俺たちは空母の説明を受ける。鳳翔は大改修を受け、搭載可能艦載機を四〇機ほどに増やし、速力も五ノットほど速くなったという。
艦内の食堂に案内された。歓迎式というわけだ。
俺たち元飛龍のゼロ・パイロットは、以前の鳳翔のパイロットと総入れ替えという形で鳳翔に配属となった。それから切れ切れに聞いた艦長の訓示は妙な感じがした。
「……だからわれらの理想は、必ずしも繁栄とは限らない。過去の高度経済成長期末、いわゆるバブルの時代には『3高』なんて言葉が流行していた。高身長、高学歴、高収入。そんなものをもてはやし、そうでないものを馬鹿にしていた軽薄な一面がある。
逆に『3K』なんて言葉も。きつい、危険、汚い。農業、土木作業、清掃作業などの肉体労働者が軽蔑されていた。彼らなくして社会は成り立たないのに。職に貴賎は無い。
当時日本は戦争こそ負けたが、経済でアジアを支配してやろうなどと思い上がっていた。当時発展途上にあった、アジアの貧民を日本に雇い、肉体労働のブルーカラーを任せるつもりだった。対する日本人は、管理職のホワイトカラーという寸法だ。当時の日本は、確かに他のアジア民を見下していた。
人手不足が危惧され、誰であれ職につけば人並みな生活ができた豊かな時代。なのに学歴信仰が支配し人は学歴や家柄で劣等感と競争心を煽られ。やみくもに勉強勉強、とにかく偏差値の高い学校を目指せと中身も関係なく発破をかける。誰にでもできる単純仕事にはつくな、が合言葉だった。これは一見、向上心ともとれるが、しかし。
県下一位の進学校に合格できなかった生徒が、一家心中したなんて馬鹿な事件すらおきた。一位でなくとも十分な有名校に進める実力があったであろうに、肥大した虚栄心を満足できないために惨事となったのだ。天下の東大に現役で受かった学生が、「おれの青春を返せ!」などと親を刺し殺した事件も。豊かでも、狂った時代ではあった。
いま、情報化社会は改革を迎えたが。成長とは必ずしも良いものなのだろうか。人体において。成長期を過ぎても発達を止めない臓器があるとき、医者はそれを癌と呼ぶのだよ……」
後も長々と訓示が続き、退屈そうだな。乗員はさまざまな人種が入り混じっていた。アジア全域、中東、北欧、インド、エトセトラ。まさに混成部隊だ。
現実に腹の減っていた俺はここでゲームアウトした。カップ麺でも食べるか。眠気も催してきた。どうも最近、昼夜逆転だな。ニートの乱れた生活とはいえ良くない傾向だ。
それにしてもノンセクト・インセクトとはね。この結成者は誰なのか。クイーン。神無月真琴。俺は核心に近づきつつあるのだろうか? 支離滅裂な泥仕合の行く末は?
独立戦争 前