神無月の死……デッドオブカオスヒーロー




神無月魔言(かんなづき まこと)  設定


 自由を重んじるカオスの戦士。巨大な戦斧を愛用する。モットーは「おまえのものは俺の物、俺の物は俺の物(ジャイアニズム)」。つまり自分さえよければ他はどうなってもいい破滅的性格だが、例え人類が絶滅してもそれどころか宇宙が滅んでも、自分だけは助かると信じて疑わない。


 神無月にとっては力こそ正義である。アスラ(仏神)の信徒でありながら反逆をもくろみ、いずれ自分が破壊神としてその地位につくことを目標にしている。その第一歩として「世界神無月教」を旗揚げし、倒した敵や愚民の魂を買いたたき、コレクションして優越感に浸り、悦に入る計画。

 極端な選民思想を持ち、他の下等な人間はアメーバから進化したと見なし、自分は偉大なるウボ=サスラ(邪神)の末裔であることを誇っている。親戚に大いなるクトゥールー(邪神)等がいるが、その親戚を倒して酒のツマミにするのが将来の夢。

 しかしこれを読んで、彼を悪漢と思うなかれ。神無月はなんと「人類の敵」を毎日食べ、社会に貢献しているのだ。なんのことかって? 古来からあるバイオハザードだよ。




奥津来  日本刀使い

神代   呪術師

壬生月  超能力者

ジャックフロスト  雪ダルマの妖精





 白銀の世界。氷付けにされた、謎の施設。無邪気に遊ぶ妖精たちを見て、声を掛けたのが始まりだった……。

「やあ僕たち、おじさんについておいで。あったかいお風呂にいれてあげるよ」

 それから。わいの視界は、真っ白に染まった。

奥津来「……なづき……神無月、起きろ!」

神無月「うぅ……寒い、ごっつ寒いで」

神代「気づいたか、神無月。いま、ディア(回復魔法)掛けとるさかい」

壬生月「おっさん、このポケット瓶、飲みな。暖まるで」

神無月「わいがなにをしたっちゅうんや……ちょっと暖かいギャグをカマしただけやんけ」

奥津来「このドあほ! めちゃ寒いで、それ」

神代「そうや! あいつらにしてみれば、『ガス室にぶちこむぞ』と言われんのと同じやで」

神無月「だって、あいつらそうゆう名前やんか!」

神代「なにがや」

神無月「ジャック、風呂すっと」

奥津来「……こいつにフロストの意味言っても、無駄やろな」

神無月「あの子らかわいそうに、手も足も冷とうて、凍えとった! 体中、霜ついてたで」

奥津来「それは……(雪ダルマだからや!)」

神代「ええか? フロストってのは、風呂・ストップの略なんやで」

神無月「そうなんか! しらへんかったわ」

奥津来「……お~い」

壬生月「そうや、言うやろ子供は雪の子や。今度あいつらにあったら、雪遊びでもつきおうたりや」

神無月「わかったで」

奥津来「おまえらなんとかの扱い、得意やな」

神代「職業柄、ぎょうさん相手しとるからな」

壬生月「まったくや。ほな捜索、すすめよか……奥の部屋に、なんかおるで。雪ダルマの親玉みたいんが」

神無月「やつらの保護者かい! ほな、けじめとったらなあかんな!」

奥津来「ちんぴらか、おまえ」

壬生月「こ~ゆうのを、「逆上」っていうんや。ほんまみっともあらへんな~」

神代「入り口まで戻って、携帯で応援呼ぶべきやで」

神無月「わいは、この世の真理を知ったんや。雪ダルマは人類の敵、ちゅうことや! 殺さなあかん」

壬生月「いや、雪ダルマは子供の友だちやろ。それを壊すほうが鬼やで」

神無月「なんでもええ! わいはあいつを倒すんや」

奥津来「待てい、神無月! ……飛び込んで行きおった」

神代「……タコ殴りにされとる」

壬生月「まるで、雪合戦やな。傍目には、楽しそうや」

神代「そんなこと言っててええんか? わいらの手間が増えるだけやんけ!」

壬生月「そうやな、あたりまえや。あ、おっさん倒れたで」

奥津来「なんてこった! 神無月が殺されてもうた!」

神代「この人でなしぃ!」

奥津来「いや、自業自得やで、どう考えても」

壬生月「そうや。第一、人やないで」

神無月「まだ、生きとるわい! わいもう身体動かへん、助けんかい、ボケども!」

奥津来「わいが背負う。サポート頼むわ」

神代「ほな、アギラオ(火炎魔法)かましたろ」

壬生月「助けるんか? こっちの身まで、危険やで」

神代「そやかてな。わいこいつに金貸しとるもん。いままでの怪我の治療費、回収せなあかん」

奥津来「わいも。飲み代のツケ、ぎょうさんあるんや」

神無月「待てい、おまえわいを盾にするんか!?」

奥津来「そやかて、おれが倒れたら、おまえも回収できなくなるんやで」

雪ダルマ「マハブフだぁあああ~~~いぃん!(最大の氷結魔法)」

 ちゅどぉおおおおん!

神無月「うわぁあああああ!!!!」

 ……わいにも最期が来たんか……わいは、誰にも負けへん力があるはずや……これは、夢やったんやろか……良い夢……いや、悪夢や! がくっ

……

奥津来「なんとか逃げれたな」

壬生月「神無月を盾にしてな」

神代「くそぉ! もはやうごけん敵に向かい、悪魔のようなやつや!」

壬生月「悪魔やんけ」

奥津来「それもあいつ、フロストキングやで。外見は雪ダルマでも魔王や」

神代「わいやったら、しんでもうた馬鹿に鞭打つようなこと、せえへんけどな」

壬生月「馬鹿、やなくてウマ、やろ」

神代「いかん。つい口が滑ったわ」

奥津来「そうかあ? 倒れた敵には、追い打ちを掛けるのがセオリーやろ」

神代「無駄なんとちゃうか? なんのセオリーや」

奥津来「格ゲー。それはそうと、動かへんで、こいつ」

神代「どれどれ……瞳孔が開いとる。うそやろ、ここまで面倒掛けて!」

奥津来「無神論者の最期なんて、やっぱこんなもんやな。みじめなもんや」

壬生月「おっさん、死んだんか?」

神代「アギ(炎)で解凍できへんかな」

奥津来「さらばだ、戦友。最期まで馬鹿な男だった……」

壬生月「死んだもんの悪口は、いかんで。神無月魔言……享年二十歳。雪ダルマに殺された男、ここに眠る。墓碑はこんなもんかな」

神代「ものは相談なんやが……こいつの死体、臓器売り飛ばすんと、ゾンビにして奴隷にするんとどっちが得や思う?」







新・神無月  設定


 口に火炎放射器。足に自動ローラー。片手はドリルでもう片方はハンマー。

 サイボーグ手術を受け、半人半機として甦った神無月。人間としてのアイデンティティーを失った事で、悪魔と戦う理由も同時に失っている。自由のため法のためという目的すら無く、自分さえ良ければよいというエゴが極限まで膨れ上がっている。

もはや戦う理由はどうでもよく、戯れに殺戮の衝動に駆られては破壊を繰り返す。歩くとき地球の上を歩いて進む、ではなく、足で地球の方を回して進むと信じて疑わない。

 ちなみにモットーが、「おまえのものは俺の物、俺の物は俺「だけ」のもの」にパワーアップしている。相変わらず、好物はイナゴの佃煮。

 人間、こうなっちゃいけません……どうせおいらはマンチキン。



おしまい