今回は久々に映画の話。
DVDで観た『ゾディアック』という作品について。
毎度の事ですが、ネタバレは含みません。


【概要】
実話に基づく連続殺人ミステリー。
シリアルキラーもののくせにレーティングはかかっていない。


【コメント】
この作品の基になった事件を知らない自分にとっては、あまりに衝撃のラストだった。
普通、ミステリーものを観る人は、「どれが伏線か、どこからどこまでがミスリードなのか」などといった事を考えながら観る。
それだけに、ラストの衝撃度は他のミステリーものが追い付き得ないほど大きい。

ドキュメンタリーにすればもっと売れただろうと心底思った。


【映像等】
シリアルキラーものなのにレーティングをかけてないという事は、直截的なエグイ映像を用いずに、事件の恐怖感や犯人の残忍さを表現しようと試みたのだと思う。
その試みは十分に結実しているといえる。

少しだけ例を挙げると、序盤の、公園で遊ぶ子供や親達のシーンは、街の本来の平和さがよく表れている。子供らのショット、肉の焼けるショット、トランジスタのショット等々、そのどれもが美しく、かつモンタージュが適切だからである。

同じく序盤、花火の下で車を停めて男女がイチャついてるところも、田舎くささが出ててとても良い。だが、そこに別の車のヘッドライトが現れる事によって、「犯人の接近」という恐怖がキッチリ描かれる。

中盤、劇中劇と犯人の映像がサブリミナルの様に繋がれ、かつ、その中でマッチカットがなされるというシーンがある。センスと技術を感じさせるシーンであり、観客を煽る効果も十分にある(結論的には、煽っちゃダメなんだが)。

終盤、背中グサグサのシーンは、まず、澄んだ秋の青空と、黄金色の草原のショットから始まる。この青と金の突き抜けるような美しい色彩が、直後の凄惨な所業を際立たせる。

以上みたように、さほど潤沢ではないであろう予算の中でも、なかなか光る映像が多い。
個人的な欲を言えば、セット撮影でのライティングをもっと気持ち悪くしてもらいたかった。


【総評】
とにかく、ジャンルを間違えてるのが痛すぎる。ミステリーにするなよ。せめて再現ドキュメンタリーくらいにしといてよ。
「暗号」とか「子供の謎解き」を最後まで引っ張っちゃ絶対ダメ。

つまらない訳ではないです。
元ネタの事件を知らなかった自分が悪いだけかもしれないし。
元ネタの事件を知らずに観ると、ほんとにラストでぶっ飛ぶ、声が出る。