東京カレーラボ アーモンドチキンカレー〈中辛〉/江崎グリコ
今月、まだカレーについては何も記していない。
デリーのルーとグリーンカレーのペーストとで、代わり番こにカレーを作り、食してはいた。
だが、レシピと言えるほどのたいしたものではないので、レトルトについて1つ採り上げることにする。
「東京カレーラボ」自体は、東京タワーの中にあるカレーショップらしい(行ったことはない)。
「アーモンドチキンカレー」も店内で注文すると、1000円ぐらいするらしい。
武蔵小金井のぷーさんや神保町の共栄堂でも、1000円ぐらいの値段は普通にするので美味しければよいだけのことではある。
だが、場所柄、地代や人件費、宣伝費の割合が、他店よりも大きいのではないかとも勘繰ってしまう(実際のところは分からないが)。
もちろん、機会があればそういったコンセプト系の店にも足を運んでみたいが(そういえば横浜カレーミュージアムもだいぶ前につぶれてしまったらしい)、場所柄なかなか機会がない。
このレトルトバージョンは定価も300円と手頃であり(スーパーだともう少し安い)、店で1食する値段で3箱は楽に買えてしまう。
ルー自体の味は、(店のものを食べたことはないが)おそらく特徴ある製法はそのまま踏襲していると思われる。
昔、御茶ノ水の「エチオピア」もチキンカレーとビーフカレーを、メーカーからのレトルト製品で出していたが、そのときも店のルーに近い本格的なものであった。
一般的に、この手のレトルトカレーは、店の評判を落とすことがないように、しっかりと監修が付いて味の管理がされていることが多い。
期間限定品が少なくないことが、少々残念なところではあるが。
「アーモンド」と言っても、クラッシュやスライスのアーモンドがトッピングされているわけではない(自分でかけるのはありだとは思う)。
おそらく、パウダーか溶かすか(どうやって?)して、カレーの味に溶け込むようにアーモンドは使用されているのであろう。
ナッツ系かクリーム系か分からないが、まろやかなコクと深みがあり、インドカレーで言えばチキンコルマをたっぷりクリーミーにしたところに近い。
もちろん、いわゆるインド系のカレーではなく、匙で掬うととろとろとしたまろやかさがある(「デミカレー」レベル)。
カシミールカレーやタイグリーンカレーを毎日食した後だともちろん辛さは弱いが、甘すぎると言うほどではない。
アーモンド系、クリーミー系の他に、フルーティーな後味と奥行きが感じられたので、りんごがある程度の隠し味として活用されているのであろう。
実際、辛さだけを求めていないのであれば、口にルーを入れたときにも、いろいろ混ざり合った味のハーモニーを楽しむことができ、トッピングの活用によりさらに幅が広がることも予想される。
原材料で言えば、ウスターソースが由来と思われる、ルーの土台の味付けがしっかりしていて、飽きが来ないメリットがある。
共栄堂のカレーのように、至近距離で見ると黒い小さな点が分かり、煮込みか何かの過程でルーに旨味が溶け込んだことが確認できる。
鶏肉が2切れ入っているが、硬めで圧縮された紙を食べているようにも感じる。
熱を加えすぎた牛肉のようであり、よく噛んでも鶏肉の名残はあまり残ってはいない。
おそらく、この点が誰の目にも明らかな短所であり、市販のサラダ系チキンのパックを温めて別に入れるのがよいと感じた。
法律上、レトルト食品は(たとえ加熱するにしても)生肉を食材として加えることができない。
そのため、うどんすきなどのセットの肉も、一度ボイルされてパックされる。
だが、柔らかく煮込んである加工肉は、ヌードル系でもカレー系でも味が染み込みながら、肉であることのアイデンティティを主張し続けることが少なくない。
ここまで細かいルーのバランスに気を配りながらどうして、という思いはあるが、もしかするとここが大きく値段の設定を変えてしまう要素なのかもしれない。
ルーさえしっかりしたものがあれば、肉は自分で加工するにせよ加工品を揃えるにせよ、自分でも入れることはできる。
本家の店は柔らかくて美味しい肉を使っているらしいので、その部分がささやかな差別化の抵抗であったのだろうか。
このカレーの(自分にとっての)最大の長所は、インド系でないにもかかわらず重い味付けでなく、コクも味わえるところである。
レトルトでコクを求めると、胃にもたれて何時間も胃から欧風カレーの自己主張が上がってくることも多い。
だが、このカレーはスープ的な舌触りと喉越しを残しながら、スパイスが直接体内で交友するインド系とは一味違う「素材から引き出された味」を大切にしているところがある。
「食材至上主義」のレトルト派には、おそらく向くカレーではない。
しかし、自分のような「スパイス至上主義」の人間には、「辛物好き」「インド系好き」であっても、理解できる部分はたぶんに感じられると思う。
「研究所」でこれよりユニークで、人口に膾炙するものが出てくるかは分からない。
それでも、このカレーを世に出し、レトルトの形で一般の家で食することができるようにしたのは、大いに意義のあることと言えよう。
このカレーはあまりコンビニでは見ないが、西友には置いてあった。
西荻窪にも津田沼にもあったので、西友であれば購入できると思われる。
個人的には、このカレーの固形のルーが販売されたら、台所に常備しておきたいと感じた。