久しぶりに、エチオピアでカレーを食した。
http://www.ethiopia-curry.com/ethiopialink3.html
個人的にはピーマンでなくインゲンが入っていた時代の方が好きだったが、食後の後味がやはり「エチオピアだ」と感じさせる。
ちなみに、「エチオピア」という国は存在するが、関連に関してはよく分からない。
コーヒー豆はエチオピア産のものを使っている可能性はあるが、カレーについてはおそらく無関係であろう。
エチオピアの国は面白い宗教分布をしていて、なんとユダヤ教が一定層いる。
ユダヤ人の定義を「ユダヤ教を信ずる人」と言葉通り取るなら、肌の黒い「エチオピア系ユダヤ人」が一定数存在するのである。
ユダヤ教については、ある程度地域的に広がったが、この「エチオピア系ユダヤ人」については、「さすがにあれは別」とされたらしい。
専門外なのであまり詳しく書けないのが残念だが、様々な迫害を受けマイノリティとして生き抜いていたユダヤ人の中のさらにマイノリティ。
「エチオピア系ユダヤ人」は、真にユダヤ教を信ずることのみにアイデンティティを結び付けている点で興味深い存在といえよう。
ナチスドイツの迫害にも無縁であったようだが、そもそもそんな時代のドイツに究極のマイノリティがいたとは思えないが。
話を、カレー屋のエチオピアに戻す。
場所を記すと、御茶ノ水駅を降り、明治大学のバベルの塔を右手に見ながら車道沿いを真っ直ぐ下りる。
三省堂のある大通りに出たら行き過ぎで、引き返し少し戻るとエチオピアがある。
驚くのは、近くに別のカレー屋があることである。
エチオピアの1軒下流には、スープカレー屋があった。
2軒上流には、インド料理屋があった。
今は潰れたようだが、さらに上流に行き、細い横道を越えたところ(ロシア料理サラファンの向かい辺り)にも、昔カレー屋があった時期もあった。
他に近くには共栄堂やボンディ、御茶ノ水駅沿いにカレー屋ジョニーなど、いろいろある。
「青酸カリー」というメニューを出していたカレー屋(林真須美以前)は行く前に潰れてしまったが、カレーを食べるには困らない街である。
最近、御茶ノ水では、カレー屋ジョニーでカシミールカレーを食べることが多かった。
中央線沿線では、意外とカシミールカレーを食せる店は少ない。
常磐線では、東京でも千葉でも食べたいときに食べられるのだが。
ちなみにカレー屋ジョニーのカシミールは、松戸の「印度」より今は亡き柏の「ボンベイ」に近めの食感の気がする(正直記憶は曖昧であるが)。
トッピングができる店に正直偏見がないとは言えないが、カシミールが食せるのはやはり嬉しい。
話をエチオピアに戻す。
昔は、2階だけが店舗であった。
今でも2階のテーブル席に行くと、当時の面影が残っている。
コーヒーを入れるマシンの写真とか、スパイスの効用の羅列だとか。
二人以上で行ったときには、階段を昇ることをお勧めしたい。
今は、1階も店舗で、一部を除いてカウンター席が並ぶ。
久々に行ったら、奥の方にさらに席が追加されていた。
あくまでも厨房は2階なので、食べるためのスペースとなっている。
壁にはレコードのジャケットが並べられ、おそらくある時期(今かもしれないが)のスタッフの趣味が反映されているのであろう。
メニューは、チキン、ビーフ、野菜、ミックス(肉と野菜)あたりが定番である。
だが、いつの頃だったからか、豆のカレーが加わっている。
他の系統とはまるで異なり、スープカレー的な汁にヒヨコ豆などが入っている。
豆のマイルドな味が、カレーのスパイスのスープとマッチしていて意外と美味しい。
昔、稲毛のシバで、セットで付いていた2つ目のカレーが豆ベースだった記憶がある(別の店だったら申し訳ない)。
だが、それだけで食するにはマイルドすぎて、食が進まなかった。
レンズ豆にしてもヒヨコ豆にしても、基本は柔らかなマイルドな味がベースなので、他の食材かスパイスを効かせたい。
エチオピアの豆カレーは、かなり成功しているといえよう(以前紹介した二和向台ニューデリーの豆のスープカレーは絶品であるが)。
定番系カレーを注文して驚くのは、普通盛りでもそこそこ多めのご飯とルーが出てくるところである。
よほど空腹でなければ、大盛りにする必要はないと思える。
辛さは、0倍から70倍までできる。
昔は、少し値段に差を付けていた気がするのだが(別の店の記憶違いかもしれない)、今は値段は同じである。
噂によると、辛さの倍率は辛みパウダー(おそらくガラムマサラ系)を1倍なら1回、2倍なら2回と振っているらしい。
正直、少し辛くしても、カレールーが美味しいので結構大丈夫である。
肉はやわらかく美味しい。
大体、チキンばかり食べているが、野菜も味が染みてよいようだ。
昔、ボルツというチェーン店があり、あちらも確か、30倍ぐらいまであった。
だが、ボルツのカレーは辛さが口の中で籠もるカレーで、辛さの割に食べていて閉塞感のような苦痛を感じた。
ボルツはそのうち見かけなくなり、一時期渋谷のセンター街に復活したときには辛さを売りにした店ではなくなっていた。
センター街のボルツもいつの間にかなくなり、少し前に下北沢のクラブキューの方面の地下で見かけて入った。
スープカレー系のメニューもあり、そちらはなかなか美味しかった記憶がある。
多分、何年も経っていないので、下北沢のボルツはまだ営業していると思う。
初期ボルツのような籠る系の辛さのカレーはあまり見かけなくなったが、祐天寺のカーナ・ピーナで一番辛くしたときがそうだった。
祐天寺といえば、ナイアガラが別の意味で有名だが(入れば分かる)、カーナ・ピーナも独特の特色がある。
話をエチオピアに戻す。
エチオピアのカレーはいわゆる「辛(から)いカレー」であるが、「辛(つら)いカレー」ではない。
辛くても、発汗があり、鼻の奥からスッと抜けていく爽やかさが含まれている。
香辛料は詳しくないので分からないが、コリアンダーシードか桂皮あたりのスパイスなのだろうか。
初期ボルツやカーナ・ピーナ系とは違う、抜ける辛さのカレーなので、17~20倍ぐらいなら辛いのに慣れた人であれば問題はないであろう。
だが、他のスパイスとの調合バランスも含めて辛くなるのならよいのだが、辛みスパイスのみが増量する。
そのため、エチオピアのカレーの程よいスパイスバランスが崩れる気がした。
現在は、10~13倍ぐらいで注文をするようにしている。
なお、最初に別に出されるジャガイモを取っておけば、カレーに入れて楽しむこともできる。
4年前後は昔であっただろうか、レトルトの製品がS&B食品あたりから発売されていた。
意外と元の味に忠実で、値段も店内料金より安めであったので、よく自宅で調理し食した。
ビーフもチキンも、食後の満足感は高く(スパイスによる身体変化も含め)、毎日でも口にしたい秀逸なできであった。
現在、販売を終了してしまっているのは大変残念である。
少々値が張ってもまとめ買いをするので、ぜひ復活させてほしいと思う。
ちなみに、人生に疲れたときに効果があるような、多幸感を与えるレトルトカレーは、このカレーが一番だったと思う。
今販売されているものの中では、ケララカレー
(手作り版が有名だが、出来合いのものもある)辺りが一番近いだろうか。
話をエチオピアの店に戻す。
普通、これだけ有名なカレー屋にもなれば、マスターとか店長とかが存在し、常連になれば顔を互いに覚え合うといったことが多い。
だが、御茶ノ水のエチオピアは、いつ行っても若い店員が1階も2階も切り盛りしているようで、マスターらしい人物の印象がない。
もちろん、2階だけの営業の頃は違っていたかもしれないし、高田馬場店にはマスターがいるのかもしれない。
しかし、御茶ノ水店が若いスタッフだけで運営できているのだとすると、あのカレーの味の維持については、しっかりしたレシピができていることになる。
柏のボンベイはマスターがいなくなり消えてしまったが、エチオピアは職人芸で味を維持しているのでない分、100年後もあると思われる。
ちなみに、ここはしっかりと一杯一杯作っているようで、混んでいるときなどは結構待つ。
食後のコーヒーも含め、ゆったりと味わって食べるのであれば、1時間ぐらい見ておいたほうがよい。
当然、持ち帰りカレーにしても時間はかかる。
ただ、玄米にしてもこのカレーはよく合うので、家の好みの炊飯に合わせるのであれば、持ち帰りもよいと思う。
最後になるが、やはりこのカレー屋の一番の魅力はルーである。
皿に少し残ったカレーを、スプーンで掬いそのまま舌に乗せても、離れがたい香辛料の香りと味が染み渡ってくる。
個人的には、ピーマンではなくインゲンが入っていた頃の組み合わせの方が好きではある(繰り返しになってはしまうが)。
だが、このルーがある限り、エチオピアは今後も不滅で、次の世紀に残っていくことであろう。