2019年後半に見た映画20選 | さっぽこのウェブログ

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動画配信で今年後半に見た映画は約150本

その中でツボに入った映画の感想を徒然なく書いていくよにやり

(順序は最近見たものから、ネタバレ猛注意)


『苦役列車』

山下敦弘作品。
二部構成の原作に対しこちらは若い頃に特化して描いているので「苦役」感が強い。
だからこそもがき苦しむ様とそこに指す一筋の光を描く事に定評がある山下ワールドが爆発してる。
主人公は『阿Q正伝』を思い起こさせる人物で、転落する展開に「ざまぁ」と感じる反面、欲求を抑制できない様に切なさも感じる。


『福福荘の福ちゃん』

森三中大島が気のいい男を演じるコメディ。
これ、コント番組でやってた「おどやん」じゃんw
切ない恋愛模様とか孤独な人たちの繋がりとか曲者揃いの俳優の演技とかどうでもいい、「おどやん」の本気のドラマが見られたので満足w


『海の上の君は、いつも笑顔。』

無くしたものを探すだけ、そんなムダに思える日々がいつの間にか大きな出会いや発見を生み出す。
移動はしないけど、心のロードムービー。


『探検隊の栄光』

フェイクドキュメンタリー番組を本気で作ろうとするスタッフと翻弄される藤原竜也。
ユースケ・サンタマリアや小澤征悦の能天気なテンションと翻弄される藤原竜也のテンションがすれ違う前半、それが融合する中盤は今年見たコメディとしては最高傑作に思えた。
後半の展開がやや勿体ないが、それでも気楽に楽しめる。


『旅立ちの島唄~十五の春~』

沖縄の離島、高校のない島。
親子の別れが必然となる15歳の少女に訪れる様々な出来事。
自分の意思に反して大人にならざるを得ない現実の中で、折り合いをつけていく主人公の姿が切ない。


『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』

漫画家・西原理恵子の元夫であるカメラマン・鴨志田穣の実話を元にした作品。
破滅的なアルコール依存症患者の再起を最高の曲者俳優達を揃えて面白おかしく描く。
そして「家族」との時間を大切にしたいともがく。


『二度目の夏、二度と会えない君』

青春キュンキュン系タイムリープ作品。
と思いきや、やり直しが進むほど主人公の思惑と異なる展開になり関係はこじれていく。
SF作品が好きな自分は深読みしすぎてヒロイン役もタイムリープをしてると思い込んでいたが、残念ながらそういうシナリオではなかった。
主人公の演技力を含めて勿体ない部分が多かったものの、登場人物一人一人の役割がハッキリしててラストも安易さがない堅実な作品になっている。


『ぼんとリンちゃん』

全てを知ったつもりになっていた女の子が出会いと反発を越えて精神的に成長していく。
『ももいろそらを』に続く小林啓一作品で、独特のセリフまわしが癖になる。
社会が寛容であるからこそ生きていけるヲタク、しかし自身が誰よりも寛容ではないことに気がつくヲタク。
その矛盾と自問自答の果てに「アナルは出口じゃなく入口だ」という答えを見出だす。(なんじゃそりゃ)


『いつか読書する日』

岸部一徳と田中裕子の主演によるラブストーリー、とはいえ大人のラブストーリーとも言い切れない。
親同士の事件によって結ばれる事が許されなくなった二人。
数十年の時を埋め新たな人生を進むかに思えた二人に訪れる事故と岸部一徳の表情が人の儚さを語る。


『素晴らしい一日』

金策に走る男と金策を急かす女。
マイペースで女たらしな男にいらだちつつもいつの間にか懐の深さと出会いに感化されていく女。
わずか一日の濃厚な出来事を描いた韓流ロードムービーの良作。


『海街diary』

家族の形と原罪、矛盾と破綻を描かせたら現代日本では一番と言っても過言ではない是枝裕和作品の中ではやや異色な今作。
多くの是枝作品における矛盾の顕在化は後半がピークとなるが、この作品は前半に矛盾の種が顕在化し中盤で小さめのピークを迎える。
異母姉妹を素直に受け入れる優しい姉達と出生が原罪となり遠慮する妹。
その邂逅が緩やかに優しく、破綻なく訪れる。
そして能書きを全て書き消す綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずの豪華共演が最高の清涼剤となる。


『世界は今日から君のもの』

不器用な主人公が一歩一歩成長していく姿を門脇麦が繊細に演じる。
本人のチャレンジを抑え込んでいるのは不器用さからくる自信のなさだけではなかった。
それを乗り越えたとき、世界は自分だけのものになる。


『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』

ほとんど視力のない主人公が周囲に病気を隠しホテルマンを目指す、無理やろ…。
実際、無理ばかりでその生活は破綻してしまう。
しかし、苦難を打ち破った時に得る達成感はスポ根作品のそれである、爽快。


『バンガロール・デイズ』

奔放な主人公を通して価値観の転換期にあるインド社会の窮屈さを皮肉りつつ、恋愛模様や夢を追う姿を時にコミカルに描く。
三人の従兄弟が抱える問題が並行して進むなか、それを繋ぐもう一つのストーリーが現れクライマックスを迎える。
気楽に見られる作品でありながら、後から咀嚼したくなるスルメ感もある。


『そこのみにて光輝く』

とにかく暗く重いストーリー。
それでいて映像はカラッと乾燥した雰囲気があり、それほど重さは感じない。
菅田将暉の飄々とした演技がウザくも癖になり、そして最後には登場人物達がもつ「重い」部分全てを背負って行く。
もがき苦しむ先に一筋の光を感じさせる好きな作品。


『万引き家族』

是枝作品としてはオーソドックスな展開、矛盾からの破綻を描いた傑作。
冒頭からもう矛盾の塊であり破綻のラストが目に見えていたが、重層的に存在する矛盾で繋がった「家族」が葛藤を抱えつつ、日々刹那的な欲求で満たし誤魔化しながらギリギリの所で維持されている。
しかし、矛盾を維持していた「万引き」に対する葛藤が矛盾を顕在化させあっけなく破綻。
しかし、「家族」は緩やかながら「家族」であり続ける。


『きっと、うまくいく』

インドの青春コメディ。
ダンスもあるよ!
常識破りな主人公が周囲を巻き込み、時に軋轢を起こし、時に人を成長させる。
この作品もインド社会の窮屈さを皮肉った部分があり、価値観の転換期にあたる様子が伺える。
後半は常識破りな主人公の素性が明らかになり、夢を持ちチャレンジする姿が描かれるどんでん返し展開。
コメディとしても、青春ドラマとしても良作。


『ゾウを撫でる』

一つの映画制作に関わる関係者の物語をオムニバス的に繋いでいく作品。
個々の物語が静かで時に切なく、全体を通しても起伏が少ない。
それが関係者の挑戦や再起にかける思いを相対的に浮かび上がらせてくれる。


『月と雷』

二枚目にして個性派俳優である高良健吾が持ち味を存分に発揮した作品。
性に奔放で家族という形を保てない母親とその息子に振り回される主人公の女。
しかし、次第に主人公と息子は肉体的にも精神的にも結び付いていく。
葛藤を越え家族を作る決心をした二人に訪れた性(さが)ゆえの結末に唖然とさせられるが、ストーリー上は矛盾がなくいい意味で裏切られた。


『THE NET 網に囚われた男』

エンジンが壊れ韓国領に流されてしまった北朝鮮の漁師。
韓国で激しい取り調べを受け、資本主義の「毒」を浴びせられるも耐え、命からがら北朝鮮に送還される。
しかし、北朝鮮でも転向した疑いをかけられ激しい取り調べを受ける。
ただ国境を超えただけなのに…。
まるで網にかかった魚のように、本人の意図は関係なく「獲物」は釣り上げた者に翻弄される。