今シーズンが始まる前に臨んだ「宿敵」広島とのスーパーカップ戦、昨季の公式戦は3戦全勝していた広島、あと1歩としながらも土壇場でJ1優勝タイトルを奪っていった「あの」広島が相手とあって9年ぶりの出場となった今回こそ未踏のカップ戦タイトル獲得なるかと期待されながらも結果は前述のとおり0-2の完封負け。露呈した「勝負弱さ」を克服して今季こそ2004年シーズン以来となるJ1優勝を飾りたい横浜にとって今節、「落とす訳にはいかない」1戦が控える。
今節の相手となるのは開幕から余裕の3連勝を経て現在首位に立つ鹿島アントラーズ。優勝を目指す現在3位の横浜にとっては「いずれ乗り越えなくてはならない壁」となるチームだ。
2012年から継続して毎年同じチームスローガン:「All for Win(全ては勝つために)」を掲げている横浜だが、「勝つために」どのような補強、放出をし、その成果はどうなのか?昨シーズン終盤から今季前節までを振り返り紐解いてみよう。
まずチーム戦力を昨シーズン時と比較する上で無視できない事実が一つある。
日本でプレーしている13年間で353試合に出場、170得点を挙げているベテランフォワードの不在は横浜の攻撃力にどこまで影響を及ぼすのだろうか!?
このマルキーニョスの抜けた穴を埋めるため、ひいては昨シーズンの戦いで露呈した「勝負弱さ」の要因の一つである中盤~ディフェンス陣の守備力向上のため横浜は以下の補強を施している:新潟から三門雄大、大宮から下平匠、名古屋から藤本淳吾、清水から伊藤翔、そして川崎からは矢島卓朗を獲得。逆に放出、退団した選手は以下の通りとなっている:前述のとおりマルキーニョスはヴィッセル神戸、丁東浩は蔚山現代、天野貴史は千葉(レンタル)、田代真一も千葉、比嘉祐介は京都(レンタル)、金井貢史は鳥栖、そしてすでに鳥取へレンタル移籍されていた武田英二郎は福岡(レンタル)へとそれぞれ移籍している。
さて、そんな横浜だがこの首位・鹿島との戦いを前に気になる事実がある。それは前節、今回の対戦相手となる鹿島が開幕戦で対戦、敵地で0-4と快勝している甲府を相手に1-0で敗れているのだ。
その試合で露呈した弱点は既に課題として挙がっている「守備力向上」に加えて「決定力不足」だった。
なぜ「決定力不足」なのか!?それはこの試合を観戦した方なら言うまでもないだろう。試合序盤から圧倒的なボールポゼッションを奪いながらも、甲府の敷いた強固なディフェンスに阻まれ続け得点はならず。逆にそのディフェンスの末甲府がボールを奪うと素早い切り替えでゴールに迫られる場面も幾度かあるなど、前半は無失点に抑えるのが精一杯と言えるほどボロボロな戦いぶり。そして後半23分には左からの阿部のクロスに反応した石原に先制点を許し、それを受けせめてドローに持ち込もうと前へ、前へと出ようとする横浜だったが甲府守備陣に穴を見つけることはできず、リーグ戦初白星を献上してしまった。
さらに、「決定力不足」を裏付ける事実として首位・鹿島はここまでのリーグ戦において9得点、2位・セレッソ大阪も8得点、14位・川崎フロンターレですら戦績はともあれ10得点を挙げているというのに、横浜の得点は6となっている。
最後に、「ハマのメッシ」と異名を取る日本代表MF斉藤学はこの鹿島戦、欠場することが濃厚である。日本代表がワールドカップで活躍するには是非ともしっかりと静養、ケガの完治に専念して欲しいところではあるが、優勝を目指す立場としてはこの序盤戦の大一番というタイミングでの中盤の要の欠場は痛すぎるだろう。