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くまもと手しごと研究所というフェイスブックページに、

い草(いぐさ)のことが紹介されて、とっても嬉しい!!



小さいころの私の故郷のなつかしい風景を、

少しでも多くの方に知ってもらえたら嬉しいな。





ご存じない方のために、

い草とは、畳の原料となる細くて長ーい、草のことです。

多分、熊本、その中でも八代は日本一の生産地。




昔は、八代では、お米の裏作でどこも、い草を作っていました。


フェイスブックの写真を見ていたら、

い草づくりのいろんな風景が思い出されて、

懐かしくて、懐かしくて、泣きそうになりました。





というのも、

実家の周りでは、ほとんどの農家がい草づくりをやめてしまい、

懐かしい風景が見られなくなってしまったのです。


中国産の安いものが入るようになってから。

今は、八代市全体では、全盛期の1割だそうです。


亡き祖父は、い草をやめた途端に、認知症になってしまいました。


ふるさとの風景がなくなってしまうのは、

それに伴う関わった人たちとのつながりまでなくなってしまうようで、

本当に、淋しいのです。







思い出されるいろんな風景。





伯母の、ゴザを打つ、しゃがんだ後ろ姿。織機の音。

小学校から逃げ出して、(プールと給食が苦手で)

ゴザを打つ伯母の周りを見つからないようにうろうろしていたこと。



祖父が、ゴザの花を切る(作業の呼び方が思い出せません)音。

できたゴザを道路に干す姿。ゴザが擦れる音。



伯父が田んぼに杭を打つ姿、辺り一面に響く音。




い草は夏に太い苗ができたら、

冬場にそれを小さく割り、新たに育てる苗を作ります。


い苗割りのときの、かじかむ手、ストーブの暖かさ、

膝にかけたゴザ、

親族総出で夜更かしして、い苗を割りながらのおしゃべり、

夜食の準備。



子どもの手では、太い苗を割る(分ける)のも一苦労。

そして、苗はある程度の太さが必要で、

細いときは、苗と苗を合わせて、

い草を1本使い、

キュッと縛って、ちょうどいい太さにします。

でも手がかじかんでいると、

それがうまくできないのです。



夏のい草刈りの忙しさ。

朝4時から村中で響く、軽トラの音。


い草刈りのときだけ公民館で作ってくれる給食の匂い。

それを受け取りに行くのは私の仕事。

おいしくて、毎日祖父宅でご飯を食べるので、

毎日、母が怒って迎えにきたこと。



中学生のいとこが運転する荷台のい草の上に乗って、

曲がり角でドブに滑り落ちたこと。

ドブ臭さ(笑)。



い土(いつち。い草を染める泥のこと)の匂い。

い草を染めたあとの乾燥小屋の轟音。



い草刈りのときの、

たばくまん(方言で「おやつ」のこと)を田んぼに届けるのも、

私の仕事だったなー。

祖父宅には常に、三ツ矢サイダーがダースで山積みでした。



い草刈りは2~3週間くらい続いたのかな。

本当に忙しくて大変な作業で、

暑い時期に、朝早くから夜まで続くので、

大学生のアルバイトを雇うのですが、

30年前に1日1万円でした。(結構な高額)

だけど、きつくて、黙って逃げ帰る人もいたものです。



い草を運ぶ機械を、「ジャガー」と言うのですが、

(運転席と荷台だけの、屋根のない軽トラみたいなもの)

祖父がジャガーを運転する後ろ姿。

エンジンを起こすときの腕の筋肉。

小学生の私も遊びで運転したなー。



祖父、祖母、伯父、伯母、いとこたち、母、私、

近くの親戚・・・

(なぜか姉は全く加わらなかった)

それぞれに、自然と仕事の役割が決まっていました。








当たり前だと思っていた風景ですが、

機械も、人の姿も、音も、においも、

すべてなくなってしまいました。


今は少なくなった土地で伯父が一人、細々と米を作るだけ。


当たり前だったので、写真も一枚もありません。





懐かしくて、懐かしくて、

今は、その風景も土地もないことに、

亡き祖父、曾祖母が、ご先祖様が、悲しんでいるような気がして、

「私、八代に帰って田んぼや機械を買い戻して、

無農薬でい草と米づくりを始めようか」

と、奮い立ったのですが、

一瞬で、

その財力も、人手も、能力もないことに気づき、愕然。。。

一度無くなったものを取り戻すのは、本当にむずかしい。








と、ここまで読んでくださった方、

ただのノスタルジーに付き合ってくださって、

ありがとうございます。


あまりに懐かしくて、

いつか、

今でも畳表を守り続けてくださる方のところにお邪魔して、

写真を撮ってみたいと思うので、

そのときは、ご紹介します。


い草から畳表ができるまでの工程って、

本当にいろんな手がかけられていて、おもしろいんですよ。





読んでくださった方、

家を建てるときは、

日本で丁寧につくられた畳表の部屋を、

一部屋でも作ってくださると嬉しいな


真新しい畳の、清々しいにおいを感じてください。


湿度を調整してくれます。


人の手をかけて丁寧に作られたものには、

いいエネルギーが宿っているんじゃないかな。




私も、大量生産の安いものに流れがちですが、

丁寧に作られたものを買うことって、

その小さな選択が、

作る人、関わる人、想い、

まわりの風景、自然を守ることでもあるんですね。






そして、なくなりつつある日本の数ある手仕事に、

少し、興味を持ってくださったら嬉しいです。











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