長い私の野球観戦経験からも、その解説者の一言は衝撃的であり、屈辱的なモノでもあった。
6回まで2-1の最小得点差。
得点はともに、両チームの主砲級バッターのHRによるもののみ。
普通に考えれば、これは「投手戦」なのだろうが、
CSフジテレビの解説を務めていた、的確な野球観を持つ矢沢健一さんが、
「ヤクルトの攻撃が淡泊ですね。得点も両チームHRだけか…大味な試合だなぁ」
と酷評したのだ。
この瞬間、私が抱いていたモヤモヤ感が確信に変わる。
この試合は、稀にみる凡戦だ、と。
結局この試合は投稿時刻時点でまだ続いている(3-2で広島リード、10回裏1死1,2塁でヤクルト攻撃中)が、9回2死無走者からヤクルトが代打・大引のHRで追いつくシーンを、私は映像で見ていない。
なぜって?
8回裏の逸機で心底覚めて、飽きちゃったから。
っていうか、ある程度野球を見慣れているファンなら、この時点でヤクルトの負けを確信するはずだ。
まぁ、それでも昨年よりはヤクルトと広島の実力差は実はかなり縮まっているように思える。しかし、それは何故かというと、
広島の野球が雑になっている(実力が落ちている)
のであって、小川監督(二次)・宮本慎也ヘッドコーチのヤクルトが実力を飛躍的に上げた訳では決してない。
その根拠を数字で示す。昨日(5月5日)終了時点で、
1位 広島 20勝11敗 勝率.645
得点:149 失点:124(ピタゴラス勝率 .591)
防御率:3.76(リーグ4位)
2位 巨人 15勝13敗1分け 勝率.536
得点:150 失点:110(ピタゴラス勝率 .650)
防御率:3.68(リーグ3位)
6位 ヤクルト 11勝18敗 勝率.379
得点:131 失点:147(ピタゴラス勝率 .443)
防御率:4.49(リーグ6位)
※:なお、阪神・DeNA・中日の3球団は総得点が総失点を下回っていいる。また、5月6日時点では2位阪神、3位巨人となっている。
まずは2位・巨人の成績に注目してほしい。かなり得点が失点を上回っている。得失点からの推定勝率である「ピタゴラス勝率」は、広島をはるかに上回る6割5分である。しかしながら、実際にはそれよりも1割以上も低い勝率になっているのは、防御率があまり良くないこともあるが「勝つときに無駄にバカ打ちし、負けるときは競り負けている」からに他ならない。
だいたいが1周りした時点では今年の巨人は最下位、防御率もリーグワーストだったのだ。(この記事を参照してほしい。)まぁ、これは毎年夏場以降に強い半面、スタートダッシュに失敗しやすい巨人では「いつものこと」なのかもしれない。しかし、今年の巨人はやはり「強い」チームとは思えない。とにかく無駄が多い。そして、試合ごとのムラも多い。
ヤクルトは、意外と得失点では健闘している。まぁ、まだ試合数が30程度だからこの程度で済んでいるのかもしれないが、少なくともピタゴラス勝率が4割5分近いことを考えれば、惨敗というほどの内容ではない。むしろ、抑えの切り札にと期待していたカラシティーの不振に端を発したリリーフ陣の総崩れこそが、この勝率にいる理由であるといえる。ちなみに、盗塁もリーグ中位の18であり(その半数以上が山田哲人一人によるものだが)、去年より野球の内容は改善されてはいる。
ただ、その山田は過剰なまでの大振りが目立ち、しかもチャンスや勝負どころの打席では結果を残せていない。だから、このままでは昨年より高い打率は残せても、年間打率3割は無理に思えるし、「価値の高い一打や走塁」も、あまり多くはならないかもしれない。基本的に真面目な彼だが、やはりまだ何か自分を見失っているように思える。まぁ、史上初の2年連続トリプルスリーの実績から、過剰な期待をされているのもまた事実だが…。
なお、ここに細かい数字を上げるまでもない次元の話として、DeNAと阪神は投手陣は健闘しているが、いかんせん打線が弱い。中日もヤクルトに近い防御率であり、近年ずっとの課題である投手陣再建はなっていない。
ということは、結局今年広島が首位にいられるのは「他の5チーム
もパッとしないための棚ボタ首位」だとしか言いようがないのだ。残念ながら、今年のカープは2016,17年度を圧倒的な実力差で連覇したチームとは違う。
なお、パ・リーグでも似た現象は起きており、埼玉西武のバカ勝ちと楽天のバカ負けに見えて、実は全球団の防御率が3.5を超えるというお寒い状況になっている。だから、この先もこのままである保証はない。それに、とにかくこういう野球は大味だし、見ていても玄人なファンは面白くない。
近年は野球人気がやや復権しているが、だからこそあえて言いたい。今年の野球は内容が悪い。何が原因なのか、関係者各位は徹底的に調査し、内容を改善してほしい。
…まさか「申告敬遠制」や「リクエスト」じゃないよね?w
#:ちなみにこの「すさまじき」試合において、この記事を書いている間にヤクルトがサヨナラ勝ちをしたことを知った(お断りしておくが、現在の標準のアメブロエディタにおいて、「投稿時刻」とは「記事を書き始めた時刻」である。本文とは関係ないが、この仕様にも問題がかなりある。)。だからといって、別にヤクルトが強くなったわけでも何でもないので、念のため。坂口はすごいけどね。
ちなみに次の神宮でのヤクルトの試合は、20日近く先の5月25日だそうだ。そういえば、各チーム4月からやたらと2連戦が多いし、どうやったらそんなクソ日程組めるの?意味わからん。